ITエンジニアを目指す方や、データ分析ができるようになりたいビジネスパーソンで、SQLを学びたいという方は多いと思います。
普段の仕事が忙しいので、単に勉強したいと言うよりは効率良く最短で習得したいと考えているのではないでしょうか?
私自身もマーケターとしての本業の合間を縫ってSQLを勉強しました。今では必要なデータが生まれた時に、自分で不自由なくSQLを書いてビジネスに役立てることができています。
また、これまで数十人の仲間にSQLの勉強方法を教えていく中で、未経験からSQLを最短で習得するロードマップを言語化できるようになりました。
本記事では、初心者が実践でSQLを使えるようになるまでの学習ロードマップをステップに分けて解説します。記事の後半ではおすすめの学習サイトや本も紹介しているので、ぜひ最後までご覧いただいてSQLの勉強に役立ててみてください。
目次
【はじめに】SQLを勉強する上での心構え
SQLの勉強方法を解説する前に、SQLを勉強する上での心構えを3つお伝えします。勉強に取りかかる前に知っておくことで学習の効率を上げられます。
SQLが書けるだけでは価値はない
これは承知の上かもしれませんが、「SQLが書けるだけ」ではビジネスで価値を出すことができません。SQLはあくまで手段でしかないからです。
SQLをはじめとしたデータ分析の目的は、意思決定の精度を上げることです。ビジネスの現場では日々多くの意思決定が求められます。一つ一つの意思決定でより正しい判断を下すためにSQLを書いてデータを抽出します。
ぶっちゃけ欲しいデータが手に入るのであれば、他の人が書いたSQLを丸コピしても言い訳です。実際、私もチームメンバーが書いたSQLを使い回すことがあります。
あくまでもSQLが書けることは手段であることを念頭においた上で勉強に取り組むと、SQLの習得が目的化してしまうことを避けられるでしょう。
実践 >>> 座学であることを認識する
断言しますが、SQLの習得は実践を通じてでしかできません。
これはSQLの勉強だけに限らず、様々なスキル習得に共通していることだと思いますが、実践のトライ&エラーを重ねることで血肉となる経験値を得ることができます。
いくら本に書いてある例題を解いたり、学習サイトでコードを写経したとしても、それはあくまでも基本のスキルでしかありません。ビジネスの現場で求められるのは、仮説を検証するために必要なデータが何かを突き止め、SQLを書いて抽出する「応用力」です。
企業ごとでデータベースの構造も異なるため、練習問題に時間をかけるより、自社のデータベース構造をキャッチアップする時間に費やした方がよほど効率が良いです。
実践>>>座学であるということを理解して、座学に時間をかけすぎないようにしましょう。
勉強の手法にはこだわらなくてOK
受験勉強の時に、問題集選びにこだわった経験はないでしょうか?この問題集で良かったのだろうかと考えている時間は無駄で、一問でも多くの問題を解くことに集中すべきです。
SQLの勉強においても、本や学習サイトで学び始める方は多いと思います。どの方法であっても、得られる知識に大きな差はありません。つまり、インプットの手法にこだわる必要はありません。
大事なことは、早く全体像を掴んで実践に移行することです。手法にこだわる必要がないことを知っていれば、少しでも学習する時の気持ちが楽になるかもしれません。
SQL習得までの学習ロードマップ
ここからは初心者の方がSQLを習得するまでの学習ロードマップを4ステップに分けて解説します。1ステップずつ階段を登りながら、スキルアップしていきましょう。
STEP1:データベースとSQLの基本知識をインプット(本1冊でOK)
データベースやSQLの知識が全くない方は、まずインプットをして全体像が見える状態までもっていきましょう。全体像が見えなければ、そもそも何から手をつければいいのか分からず挫折してしまいます。
ここでの全体像が見えるとは、以下3点が説明できる状態を指します。
- データベースとSQLそれぞれの役割
- データベースとSQLの関係性
- SELECT文を使ったSQLの基本文法
全体像を理解するためのインプット方法としては、本1冊もしくはオンラインの学習サイトのどちらかでOKです。とっつきやすいのは本かもしれません。実際に手を動かしながら肌感を掴みたい人はProgateのSQLコースがおすすめです。
普段、あなたが新しい知識をインプットする時と同じ方法を取るのがベストでしょう。
本と言っても1冊丸々読む必要はありません。データベースとSQLの基本部分のみを読んで、上記3点が説明できるようになれば、それ以上先を読み進めなくても大丈夫です。
記事の後半で、おすすめの本と学習サイトを紹介しているので参考にしてみてください。
STEP2:BIツールのアクセス権限をもらってクエリ作成
STEP1でデータベースとSQLの基本知識を頭に入れることができたら、早速SQLの実践に移ります。多くの企業ではBIツール(Business Intelligenceツールの略称)と呼ばれるデータを見える化するツールがあるはずです。
代表例を挙げると、Tableau、Power BI、metabaseなどです。このようなBIツールを使うと、下記のようにダッシュボード形式で様々なデータをグラフや図として可視化することができます。
一つ一つのグラフや図はSQLによって書かれています。まずは、BIツールのアクセス権限をもらってダッシュボードが触れる環境を準備しましょう。
そして、自社のデータベース構造を理解した上で、何でもいいのでSQLを書いてデータを取得してみましょう。
例えば、下記のようなイメージです。
- 月毎の新規ユーザー獲得数
- ユーザーの年代別の割合
- 先月の一人当たりユーザーの平均購入金額
今すぐ仕事に必要なデータがあるのであれば、それを取得してみるのが一番いいです。そうすると、実践練習でありながら、ほぼ本番という状況を作れます。
いきなり仕事で活かせるデータを取得できれば、強力な成功体験となってスキル習得の時間も短縮できるのでおすすめです。
STEP3:他人が書いたSQLを読み込んで理解する
STEP2でSQLを書いていると、「このデータを取得したい時は、どんなSQLを書けばいいんだろうか…」と悩んでしまうことが出てくると思います。
これは知識不足、実践不足によって起きる問題なので何も焦ることはありません。本や学習サイトをもう一回見直すのでもいいですが、おすすめは他人が書いたSQLを読み込んでみることです。
BIツールでは他人が作成したクエリを自由に閲覧することが可能です。こんな書き方もあるのかと必ず新しい発見を得ることができるはずです。
最初はコピーしながらでもいいので、他人のクエリも自分のものにしていきましょう。
STEP4:ひたすらトライ&エラーで実践
あとは、STEP2とSTEP3の無限サイクルです。これを繰り返すことが、実践で使えるSQLスキルの最短習得に繋がります。
SQLを書いていると頻繁にエラーが表示されますが、このエラーは出て当たり前です。エラーが出たら、エラー内容に沿ってSQLを修正すればOKです。
エラーを恐れるのではなく、SQLを書くスピードを上げることに注力しましょう。SQLを書くスピードが上がるほどデータ分析のスピードも上がり、仕事の成果につながりやすくなります。
一人でダッシュボードを一つ作れるレベルまで到達すると一人前と言えるでしょう。
ただし、冒頭でも解説しましたが、データ分析で大事なのはSQLが書けること自体ではなく、取得したデータを使って精度の高い意思決定ができるようになったかです。
これを念頭に置いた上で、SQLのスキルアップを目指していきましょう。これで、SQL取得までの4ステップは以上となります。
SQL初心者向けおすすめ勉強サイト4選
ここからは、SQL初心者におすすめの勉強サイトを4つ紹介します。
Progate
Progateはブラウザ上でコードを書きながらSQLを学習することができます。無料会員でもSQLの基礎を学習するには十分な量があるのでおすすめです。
テキストを読んだり動画を見るだけでなく、実践に近い環境でインプットしたい方に向いています。
ドットインストール
ドットインストールは、1本3分前後の動画でプログラミングが学べる学習サイトです。MySQL、SQLite、PostgreSQLといった主要データベースの教材が揃っているので、自社で使っているデータベースの種類に合わせて学習できます。
最初の数レッスンは無料で学べるのですが、全て学習しようと思うと月額1,080円の有料会員になる必要がある点は注意が必要です。
paizaラーニング
paizaラーニングもドットインストールと同じ、動画を見ながらプログラミングが学べる学習サイトです。また、動画を見ながらブラウザ上でコードを書く実行環境が用意されており、この点ではProgateと同じような体験が可能になっています。
一部無料で学習できますが、基本有料プラン(月額1,078円)にしないと全体像が見えてくるまでの学習はできません。
Z MARKETINGのSQL入門講座
最後は、当ブログで提供している非エンジニアのためのSQL入門講座のご紹介です。初心者の方がゼロから分かりやすく学べる教材を意識して作成しており、使用例なども交えて解説している点が特徴です。
当然、全て無料でご覧いただけるので、ビジネスパーソンで未経験からSQLを学びたい方はぜひ一度覗いてみてください。
SQL初心者向けおすすめ本3選
学習サイトはパソコンを用意しないと学習を進められないですが、移動中やちょっとした隙間時間に学習したい方は本が適しているでしょう。
ここでは、SQL初心者におすすめの書籍を3冊紹介します。
スッキリわかるSQL入門
初心者向けのSQL入門書として最も有名な一冊が「スッキリわかるSQL入門」です。
豊富な図解と丁寧な解説によって、楽しくデータベースとSQLが学べるので特にこだわりがなければこの一冊を読めば間違いありません。
SQL ゼロからはじめるデータベース操作
本書はプロのデータベースエンジニアが執筆しており、丁寧にデータベースとSQLの基礎を教えてくれます。初心者にとって理解が難しい部分は、豊富な図とサンプルプログラムを使って噛み砕いて解説されています。
ビッグデータ分析・活用のためのSQLレシピ
本書は筆者が実務で作成しているレポートやSQLのコードをより汎用化して、レシピ集としてまとめています。具体的なシーン別に様々なSQLの知識を得ることができます。
初心者がデータベースやSQLを体系的に学ぶというよりは、一通り基礎を学んだ方が発展として手に取ることをおすすめします。
内容のまとめ
- SQLを勉強する上での心構え
- SQLが書けることはあくまでも手段であり、本来の目的は必要なデータを取得して意思決定の精度を上げること
- SQLは実践を通じてでしか習得できない
- SQLは何で知識をインプットしようが大差ないので、勉強の手法にはこだわらなくてOK
- SQL習得までの学習ロードマップ
- STEP1:データベースとSQLの基本知識をインプット(本1冊でOK)
- STEP2:データベースのアクセス権限をもらってクエリ作成
- STEP3:他人が書いたSQLを読み込んで理解する
- STEP4:ひたすらトライ&エラーで実践
- SQL初心者向けおすすめ勉強サイト4選
- Progate
- ドットインストール
- paizaラーニング
- Z MARKETINGのSQL入門講座
- SQL初心者向けおすすめ本3選
- スッキリわかるSQL入門
- SQL ゼロからはじめるデータベース操作
- ビッグデータ分析・活用のためのSQLレシピ