ハウスエージェンシーは何をする会社?年収やメリット・デメリット、向いてる人を徹底解説


広告代理店の一種である「ハウスエージェンシー」。昨今特に人気が高まり、就活生や転職中の人からも志望を集めています。一方で、ハウスエージェンシーはどんな企業なのか?どのような仕事内容なのか?など、詳しく分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では「ハウスエージェンシーの仕事内容や年収、メリット・デメリット、向いてる人」を徹底解説します。

筆者は、ベンチャーと中小企業のWeb系専門広告代理店2社に勤務し、約3年半広告代理店業界にいました。実際に体験した専門広告代理店と比較しながら、ハウスエージェンシーについて解説するので、ぜひ参考にしてください。

ハウスエージェンシーとは?

ハウスエージェンシーとは、組織内や自社内などの意味を持つ「in-house(インハウス)」と、代理店や代理業という意味を持つ「エージェンシー」が組み合わさった単語です。

そのため、親会社の広告の企画や運用をほぼ独占している子会社の代理店が「ハウスエージェンシー」として当てはまります。

仕事内容

ハウスエージェンシーは、親会社が企画・開発する商品やサービスの広告業務全般を担います。先述したように、親会社の広告業務をほぼ独占できるので、営業や提案を実施せずとも自然と仕事を受注できることがほとんどです。

その分、依頼主でクライアントにあたる親会社について深く理解するのはもちろん、親会社の意向などを細かく反映させた広告の企画を求められるでしょう。

他の広告代理店との違い

ハウスエージェンシーと他の代理店との違いとして「親会社専属の広告代理店のため、クライアントがほぼ一社に絞られている」という点が大きいでしょう。ハウスエージェンシーは、親会社が属する業界の商品やサービスを専門的に扱います。

そのため先述したように、営業や提案をせずとも、安定的に親会社から仕事が獲得できることがほとんどです。あわせて、クライアントが組織内に存在するので意思伝達も比較的スムーズに行えるでしょう。

一方で総合や専門の広告代理店の場合、広告を出したいと考える企業に対して、企画の提案を行い、広告の代理出稿や運用の仕事を獲得する必要があります。そのため、複数のクライアントと取引を行い、取り扱う業界も多岐に渡ることが多いです。

さらに、外部企業がクライアントにあたるため、ハウスエージェンシーに比べると、クライアントとの意思伝達に試行錯誤を要する場合もあるでしょう。

代表的な企業

ハウスエージェンシーの代表的な企業として、下記があげられます。一部にはなりますが、大手企業がハウスエージェンシーを保持している場合が多いと言えるでしょう。

代表的なハウスエージェンシー
  • トヨタ・コニック・プロ株式会社(トヨタ自動車)
  • JR東日本企画(JR東日本)
  • 東急エージェンシー(東急)
  • 小田急エージェンシー(小田急)
  • ホンダコムテック(本田技研工業)

※()内が親会社

ハウスエージェンシーの年収・働く環境

次に、ハウスエージェンシーの年収と、働く環境に関して解説します。就職・転職を考えるうえで、大切なポイントになるかと思います。ぜひしっかりと確認してください。

年収の相場

年収の相場を代表企業ごとにまとめてみました。ただ紹介する企業は一部となるため、参考程度にご確認ください。

企業名 平均年収
トヨタ・コニック・プロ株式会社 700万円
JR東日本企画 666万円
東急エージェンシー 653万円
小田急エージェンシー 450〜550万円
ホンダコムテック 600〜650万円

引用:OpenWork 「社員による会社評価」 就職・転職クチコミ
引用:年齢・年代別に見る日本の平均年収(平均年収ランキング最新版) |転職ならdoda(デューダ)


大企業を親会社とするハウスエージェンシーが多いこともあり、一般的な年代別の平均年収よりも高めと言えるでしょう。

企業規模は違いますが、筆者が在籍していたベンチャーや中小の広告代理店の年収は、350万円程から始まり、マネージャーなど管理者クラスで650万円程でした。筆者の実体験と比較しても、ハウスエージェンシーの給与水準は全体的に高いと言えるでしょう。

働く環境の特徴

ハウスエージェンシーは残業などが少なく、広告業界の中でも比較的緩やかな忙しさと言えます。総合や専門の広告代理店に比べると労働時間が少なく、プライベートの時間なども確保しやすい環境というイメージです。

理由として「他の広告代理店との違い」でも記載したように、ハウスエージェンシーは親会社というクライアントが持続的に存在します。そのため他の広告代理店のように、複数クライアントへの営業や提案を頻繁に行ったり、複数のクライアントの仕事を同時にさばいたりすることがほとんどありません

したがって、比較的緩やかな忙しさであり、広告業界の中でも働きやすい環境であると言えます。

ハウスエージェンシーで働くメリット

ハウスエージェンシーの基本情報は理解できたと思います。次に、ハウスエージェンシーで働く具体的なメリットを紹介します。大きく3つに分けて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

大規模なプロジェクトに関われる

1つ目は「大規模なプロジェクトに関われる」という点です。「代表的な企業」でも紹介したように、ハウスエージェンシーは親会社が大企業であることが多く、資金が潤沢にあり、広告運用に大きな予算をかけられます。そのため、ハウスエージェンシーが担う広告企画や運用のプロジェクトも大規模になることが多いでしょう。

もちろん、企業や請け負う仕事によって、比較的小規模なプロジェクトになることもありますが、中小企業やベンチャーの専門広告代理店などに比べると、桁違いの予算を扱ったりすることが多い点はハウスエージェンシーで働く魅力の一つです。

比較的ホワイトな環境下で働ける

2つ目は「比較的ホワイトな環境下で働ける」という点です。「働く環境の特徴」でも記載したように、ハウスエージェンシーは残業などが少なく、広告業界の中でも比較的緩やかな忙しさと言えます。そのため、プライベートの時間なども確保しやすいでしょう。

また企業にもよりますが、親会社が大企業である場合、住宅補助や育休などの制度を充実させているなど、働きやすい環境作りに積極的な場合が多いです。ハウスエージェンシーは、このような福利厚生に関しても、親会社と同じ基準で受けられます。

安定的かつ給与水準が高い

3つ目は「安定的かつ給与水準が高い」という点です。ハウスエージェンシーは、親会社の広告業務をほぼ独占できると言っても過言ではないため、営業活動せずとも持続的に仕事が獲得できます。

また先述したように、親会社が大企業など安定的に収益を上げている場合が多いため、何か大きな問題がない限り、売上不振でボーナスがカットされてしまう、ということも少ないでしょう。

さらに給与水準も親会社に準じるので、「年収の相場」でも記載したように一般的な年代別の平均年収よりも高めであると言えます。

ハウスエージェンシーで働くデメリット

メリットがある一方で、ハウスエージェンシーで働くデメリットも存在します。就職や転職を考えている人は、メリットと合わせてしっかり確認しておきましょう。

関わる商品やサービスが限られる

1つ目は「関わる商品やサービスが限られる」という点です。例外はあるものの、ハウスエージェンシーは親会社専属の広告代理店のため、クライアントが親会社1社のみとなります。そのため、広告の対象となる商品やサービスが、親会社が企画・開発したもののみとなるのです。

一方で、総合や専門広告代理店の場合、複数のクライアントから仕事を獲得するため、関わる商品やサービスの幅も大きいと言えます。幅広い商品やサービスの広告を企画したいと考えている場合、少々物足りないと感じることもあるでしょう。

業務内容も限定的になる

2つ目は「業務内容も限定的になる」という点です。ハウスエージェンシーは、親会社専属の広告代理店であり、広告業務をほぼ独占できると説明しました。ただ例外として、テレビCMなどの大型プロモーションは、ハウスエージェンシーに十分なノウハウがないこともあるため、親会社が大手の総合広告代理店に発注することもあります

要するに、ハウスエージェンシーによっては、企画したい・運用したいと考えても、会社自体に広告メニューが存在しない場合もあるということです。そのため、就職や転職を考えている場合、事前にどのような広告を中心に扱っているのか調べておくといいでしょう。

ルーティン作業になることも

3つ目は「ルーティン作業になることがある」という点です。営業や提案を実施しなくとも仕事を持続的に獲得でき、基本的に同じ商品やサービスの広告業務を行うのがハウスエージェンシーです。

このように安定的な環境下であるからこそ、斬新なアイディアを生み出したり、新しい広告メニューにチャレンジするような風潮が薄れてしまいがちと言えます。そのため、広告の企画や運用というクリエイティブな仕事がルーティン作業になってしまうこともあるでしょう。

ハウスエージェンシーに向いてる人の特徴

ではここから「ハウスエージェンシーに向いてる人の特徴」を紹介します。3つに分けてそれぞれ詳しく解説していくので、自身と照らし合わせながら確認してみてください。

収益性が安定している広告代理店で働きたい方

1つ目は「収益性が安定している広告代理店で働きたい方」です。どんな業界でも同様ですが、大手企業よりも中小企業やベンチャーが多く存在します。

ただ中小企業やベンチャーは、クライアントの移り変わりや慢性的な人手不足が多発しやすく、どうしても収益性が不安定になりがちです。結果、従業員のボーナスカットなど給与面に影響が出ることもありますし、最悪企業自体が倒産してしまうことも否定できません

このような事態を避け、安定的に長期間一社で働き続けたいと考えている場合、ハウスエージェンシーは向いていると言えるでしょう。

ワークライフバランスを重視したい方

2つ目は「ワークライフバランスを重視したい方」です。ハウスエージェンシーは、総合や専門の広告代理店に比べると労働時間が少なく、プライベートの時間が確保しやすい環境である場合が多いです。

さらに、大企業を親会社とするハウスエージェンシーが多いこともあり、一般的な年代別の平均年収よりも高めと言えるでしょう。

そのため「忙しくて趣味を楽しむ時間がない」「経済的に苦しくて趣味にあてるお金がない」という状況を避けられ、仕事と私生活の調和が取りやすいです。

大手企業で働きたい方

3つ目は「大手企業で働きたい方」です。大企業で働くことで、給与や福利厚生面の待遇がいいのはもちろんですが、自身のステータスになるとともに、社会的な信用が得られるでしょう。

大企業に勤めていれば、将来安泰と判断され「返済が滞ることはないだろう」と個人的なローンの借入などにも有利に働く場合があります。このような大企業ならではの待遇を受けたいと考えている方には、特におすすめです。

ハウスエージェンシーに転職するには

最後に、ハウスエージェンシーへの転職に関して詳しく説明します。

まずハウスエージェンシーへの転職は、とても狭き門であり、未経験だと難しいと言えるでしょう。理由として、先述したようにハウスエージェンシーは充実した福利厚生と高い給与水準を受けられます。そのため、広告代理店の中でも非常に人気がある企業です。

さらに、親会社の文化なども継承しやすいため、企業によっては新卒採用に力を入れており、中途採用の定員自体がごく少数である場合もあります。

このように、人気のある企業である上に、募集定員も少ない場合もあるので、倍率が高くなってしまいがちです。そのため「即戦力になり得る広告経験のある人材」を基準に、絞り込まれるという特徴があります

したがって「ハウスエージェンシーで働きたい!」とお考えの場合、まず中小企業やベンチャーなどで経験や実績を積んでから目指すのがおすすめです。

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内容のまとめ

本記事は「ハウスエージェンシーの仕事内容や年収、メリット・デメリット、向いてる人を解説しました。

ハウスエージェンシーは、広告業界でも特に人気が高く、新卒・中途問わずに目指す方は多いです。そのため、未経験の方は中小企業やベンチャーなどで実績を積んでから、キャリアアップを目指しましょう

この記事が、ハウスエージェンシーを目指す方々にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。