広告代理店の仕事はなくなるのか?代理店経験者が将来性をガチ考察


広告代理店というと「エリート」や「華やか」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。ただ、テクノロジーが大いに発達した昨今、そのようなイメージとは裏腹に広告代理店の将来性が問われています。

そこで今回は「広告代理店の将来性を、代理店経験者がガチ考察」します。

筆者は実際に、ベンチャーと中小企業の広告代理店2社を経験し、通算3年半ほど広告代理店で勤務しました。その中で、実際に感じた広告代理店の変化なども織り交ぜて解説するので、就職や転職を考えている方はぜひ参考にしてください。

広告代理店の仕事はなくなるのか?

断言はできませんが、広告代理店の仕事は「無くなる可能性が高い」というのが筆者の答えです。広告代理店の中でも、特にWeb広告に特化している企業が当てはまります。

一方で、マーケティング業務を担当する「マーケター」という職業は無くならないでしょう。イメージとしては、広告代理店という企業の形がなくなる可能性は高いが、マーケターという存在が脅かされる可能性は低いということです。

なぜそう考えるのか。実際に、広告代理店で起っている変化や今後の動向を以下で解説しながら、理由を紐解いていきます。

広告代理店で今起こっている変化

まず「広告代理店で起こっている変化」を大きく3つに分けて解説します。

変化①:Webマーケティングで使用される媒体の特定化

広告代理店のなかでも「Web広告に特化している企業」が特に無くなる可能性が高いと先述しました。その理由の一つとして「Webマーケティングで使用される媒体が特定化されている」という点があげられます。

広告を通じて、集客や売上拡大等の成果に繋げるのが広告代理店の仕事です。そのため、代理店が商品やサービスのターゲット層に合わせてメディアを選定し、クライアントに提案するのが今までの定番でした。

しかし、精度の高いターゲティングを可能とし、より多くの成果に繋げられるようなロジックが含まれた大型媒体(GoogleやFacebook、Yahoo!等)の登場により、活用メディアは一気に絞られました。

クライアントはより多くの成果を求めるため、大型媒体での配信を希望します。また、広告代理店も、クライアントからの評価と自社の売り上げを確保するため、大型媒体に絞って事業を拡大させている企業が多いでしょう。

変化②:競合他社とのせめぎあいが激化

2つ目は「競合他社とのせめぎあいが激化」しているという点です。先述したように、Webマーケティングで使用されている媒体の特定化が進んでいます。どのクライアントも同じ大型媒体での配信を希望し、広告代理店もクライアントの要望にあわせて大型媒体での広告運用を行っています。

そうなると「どこの広告代理店に頼んでも同じ」という事態が起こり得ます。以前までは、広告代理店によって様々な広告メニューが存在していました。ただ、大型媒体に特定化された昨今は、どの代理店も同じ媒体を同じように運用しているという状況です。

そのため、広告代理店は「価格」や「納期」などで競争するようになり、競合他社とのせめぎあいが激化しています。

変化③:テクノロジーの発達によりマンパワーの削減

3つ目は「テクノロジーの発達によりマンパワーの削減が進んでいる」という点です。昨今主流となっている媒体は、ユーザーの行動履歴からターゲティングリストを作成したり、配信するクリエイティブを自動で生成する機能がついています。

そのため今までマンパワーで進めていた作業が、テクノロジーの発達により、どんどん削減されるとともに、より効率的かつ生産的な業務が可能となっています

広告代理店の将来性と今後の動向

次に「広告代理店の将来性と今後の動向」に関して、大きく3つに分けて解説します。筆者の経験をもとに、広告代理店の今後の動きを掘り下げて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

今後の動向①:広告代理店はコンサルティング会社へ

1つ目は「広告代理店はコンサルティング会社へと変化する」という動向です。昨今、実際にコンサルティング会社がWeb広告に特化した広告代理店を買収するという事象が、何件か起きています。例として、以下をご確認ください。


なぜコンサルティング会社が、Web広告に特化した広告代理店を買収するかというと、2つの理由があげられます。1つ目は、コンサルティング会社がデジタル領域の事業拡大リソースを確保するためです。

また2つ目の理由として、コンサルティング会社は買収のプロであり、資金力も兼ね備えている場合が多いため、中小企業程の広告代理店であれば、簡単に買収されてしまうという点が挙げられます。

以上の理由から、広告代理店として機能していた企業は、コンサルティング会社内のデジタル事業などで活躍する可能性があるでしょう。

今後の動向②:クライアントの広告運用インハウス化

2つ目は「クライアントの広告運用インハウス化」という動向です。具体的には、クライアント側が、自社で広告運用を担えるように、人材を採用したりマーケティング部門を設けたりするというイメージになります。

「広告代理店で起こっている変化①」でも説明した通り、Webマーケティングで使用する媒体は特定化が進んでいます。そのため、クライアントが自社で広告代理店の業務をこなせる人材やチームを集められれば、コスト削減業務のスピードアップにも繋がるでしょう。

ただクライアントのインハウス化が進めば、広告代理店への外注費は削減されてしまい、クライアント数の減少も考えられます。そうなると広告代理店としては、売り上げも自然と下がっていくでしょう

今後の動向③:フリーの広告運用者の増加

3つ目は「フリーの広告運用者の増加」という動向です。広告代理店は、業務の中で多くのクライアントや媒体と接するため、繋がりを構築できる機会も多いでしょう。そのため、広告代理店という企業に属して業務を続けるのではなく、個人で活動し始める人もいます。

さらに有能な運用者であれば、企業を退職しても、クライアントから「ぜひ今後も運用してほしい」と依頼されることもあります。筆者の知っている同期や先輩でも、フリーで活躍している人や、代理店勤務を続けながら副業で個人の広告運用をしている人も多数います。

有能であればある人ほど、本業の代理店業がうまくいかなくなった時の保険として、フリーの実績を作っているように思えます。また、どのような仕事でも、企業に依頼するより、個人で活動しているフリーの広告運用者に依頼したほうが、コストを抑えることができるでしょう。

有能な運用者に低コストで頼めるのなら、クライアントはフリーの広告運用者を選ぶ可能性が高いです。このようにフリーの広告運用者が増加することで、広告代理店としては、価格競争がより厳しくなると言えるでしょう。

経験者が語る、広告代理店がおすすめな理由

ここまで、広告代理店で起っている変化や、今後の動向に関して詳しく解説してきました。少々ネガティブな印象が多く、就職や転職をお考えの方は、不安を感じてしまっている方もいるかと思います。

ただ筆者は、実体験を踏まえた上で、広告代理店がこれからもおすすめできる職業だと思っています。その理由を大きく3つに分けて解説します。ぜひ参考にしてください。

理由①:キャリアの幅が広がる

1つ目は「キャリアの幅が広がる」という点です。広告代理店は、クライアントの代理で広告を出稿し、成果に繋げるのが主な仕事です。商品やサービスに合わせて施策を練り、効果測定と分析を重ね、改善に繋げます。

そのため、マーケティングで成果を出すために必要となる「分析力」や「論理的思考力」が自然と身につくでしょう。これらはビジネスを行う上でも重要なスキルのため、様々な企業に求められると言っても過言ではありません。

また、広告運用スキルを身につけると、個人で仕事を請け負うことも難しくありません。

例として、以下のようなキャリアの選択肢が挙げられます。

  • 大手の広告代理店へ転職
  • コンサルティング会社への転職
  • 事業会社へマーケターとて転職
  • フリーランスや独立
  • 副業

このように、広告代理店という企業の形がなくなろうとも、マーケティングで培ったスキルを活かすことで、多方面のキャリアを選択できるでしょう。

理由②:どんな仕事でも役立つスキルが身につく

2つ目は「どんな仕事でも役立つスキルが身につく」という点です。先述したように、広告代理店は幅広い業務を担当します。また、クライアントに手綱がある仕事のため、急な依頼やイレギュラー対応も多いです。

正直、クライアントは広告代理店側のスケジュールや事情を配慮することはほとんどないので、急な依頼にも対応を求められることが多いでしょう。

筆者も入社当時はかなり戸惑いましたが、日々業務をこなしていくと、次第に突発的な依頼も問題なくこなせるようになりました。このように、臨機応変に対応する力は、どんな仕事でも役立つスキルだと筆者は考えています。

理由③:独立・フリーランス化しやすい

3つ目は「独立・フリーランス化しやすい」という点です。先述したように、マーケティングという職業は、無くなることはありません。あわせて、習得できるスキルも多岐に渡るため、1つに特化し独立を図ることもできるでしょう。

筆者の先輩は、LP(ランディングページの略称。商品やサービスをアピールし、成果に繋げるためのWebページ)の作成を会社で行いながら、副業でLP作成のコンサルティングを行っていました。その後、副業のコンサルティングが爆発的に売り上げを伸ばし、いまや独立し株式会社を設立しています

また、広告運用者でも、1つの広告媒体のスペシャリストになり、個人的にアフィリエイト(成果報酬型広告。広告経由で発生した売り上げの一部を報酬として受け取れる広告)を行い、ある程度の額を稼いでいる上司もいました。

このように、PCがあればすぐにでも始められる仕事だからこそ、フリーランスとして独立もしやすいという特徴があります。

内容のまとめ

いかがでしたでしょうか?本記事では「広告代理店の将来性を、代理店経験者がガチ考察」しました。

正直にお伝えすると、Web広告に特化した中小企業の広告代理店は無くなる可能性が高いでしょう。しかし、それは広告代理店という企業の形を指していて、マーケティング従事者である、マーケターは無くならないと断言できます

広告代理店を経験することで、多様なスキルを習得でき、キャリアステップにも繋がりやすいと筆者は考えています。今後広告代理店への転職をお考えの方にとって、本記事が少しでも参考になったら嬉しいです。