広告営業は何をする人?仕事内容、きつい瞬間、向いてる人を経験者が徹底解説


広告を出したいと考える企業に対し、所属代理店の広告を販売斡旋する「広告営業」。広告業界に特化しているため華やかなイメージが強く、数ある営業職の中でも特に人気がある職種です。

ただ、広告営業への就職や転職を考えている場合、実際にどのような仕事内容や特徴があるのか気になるもの。

そこで本記事では「広告営業の仕事内容やきつい瞬間、向いている人の特徴」を解説します。筆者は実際、ベンチャーと中小企業の広告代理店2社に勤務し、約3年ほど広告営業を経験しました。実体験を交えながら紹介するので、ぜひ参考にしてください。

広告営業の仕事内容

広告営業は、広告代理店という「広告の出稿や運用を代理で行い、収益を得ている企業」に所属する営業担当を指します。そのため広告の代理出稿や運用の仕事を、より多く獲得できるように営業活動をすることが主な仕事となります。

具体的には、広告を出したいと考える企業(顧客であり依頼主にあたるため、クライアントと呼びます)に対して、提案(自社のアピール)を行い、案件(広告の代理出稿や運用の仕事)を獲得するというイメージです。

案件の獲得後は、クライアントの対応窓口として広告出稿のサポート業務や、代理で運用している広告の状況・改善策の報告なども日々行います。

それだけでなく、既存クライアントへの近況聴取や、新規クライアント獲得のための情報収集、アポイント取得などを行い、売り上げ拡大につなげる業務も並行するのが特徴です。

広告営業の年収・働く環境

次に、広告営業の年収・働く環境について解説します。就職・転職をするうえで、大切なポイントとなるので、ぜひしっかりと確認してください。

年収の相場

年収の相場は、350万円~700万円ほどです。企業規模や役職によっても変動するため、参考程度にご確認ください。

筆者はベンチャーと中小企業しか経験していませんが、どちらも新卒・中途問わず額面で月額~25万円程でした。企業によっては、基本給料とプラスしてインセンティブ(成果報酬)が支給される場合もあるため、25万円は超えると考えていいと思います。

また、広告業界でも売上上位である大手企業(電通や博報堂など)の総合広告代理店や、デジタル専売広告代理店(サイバーエージェント)のマネージャークラスだと、年収1,000万円を超えることもあります

引用元:広告営業の年収はどのくらい?仕事内容や転職のコツを徹底解説!|求人・転職エージェントはマイナビエージェント
引用元:広告代理店 年収ランキング【最新2021年版】 |ランキング, 転職コラム |デジマージョブ

働く環境の特徴

広告営業は正直激務な環境下が多いでしょう。広告代理店の業務自体がクライアントワーク(顧客からの依頼によって成立する仕事)であるため、クライアントに仕事全般の主導権を握られると言っても過言ではありません。

中でも広告営業は、クライアントの窓口となるので、スケジュールはもちろん仕事の内容までクライアントの影響を受けるでしょう。

激務になりやすい理由として、広告営業は一人当たり5~10社以上のクライアントをまとめて担当することが多く、クライアントが代理店側のスケジュールを考慮することはないので、厳しい納期設定になることが多いためです。

あわせて接待なども頻繁な部門なので、定時後に飲み会などの予定が入ることもしばしばあるでしょう。

広告営業がきついと感じる瞬間

次に、広告営業がきついと感じる瞬間を紹介します。実体験を交えて、3つに分けて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

クライアントと社内の調整が大変

1つ目は「クライアントと社内の調整が大変」という点です。所属代理店にもよりますが、広告営業と広告運用で部門が分けられている場合、広告営業部門がクライアントから獲得した案件の詳細を、広告運用部門に伝えて仕事を進めるという形になります。

ただ「働く環境の特徴」でも記載した通り、クライアントは基本的に代理店側のスケジュールを考慮することはなく、急な対応や厳しい納期を要求することが多いです。そのため、他の業務などを抱えている広告運用部門に、無理を言ってクライアントの依頼に対応してもらうことも多々あります。

しかし広告運用部門は、広告営業部門と同等に激務な環境下が多いため、状況によっては優先順位を下げられてしまい、すぐに対応してもらえないこともあるでしょう。

そのような事態を避けるために、クライアントと信頼関係を築きつつ、余裕をもったスケジュール設定をやんわりとお願いし、広告運用部門にも快く引き受けてもらえるようにする必要があります。このように、業務以外にもクライアントと社内への調整に神経を使わなければなりません

数値 = 結果というプレッシャー

2つ目は「数値=結果というプレッシャーがある」という点です。営業の醍醐味でもあり、他の仕事でも該当しますが「数値=成果」であり、評価の軸となります。

そのため給料やボーナスはもちろん、昇格などにも影響しますし、成果を出せなければチームや自社内で割り振られる仕事が無くなっていくでしょう。

もっと言えば、クライアントは自社の利益拡大のために広告代理店を利用するので、成果や実績が伴わない状況が続けば、会社との契約自体を簡単に切られてしまいます

会社の売上と自身の評価を獲得するためにも、数値というプレッシャーに耐え、業務を遂行しなければなりません

業務過多による疲労が大きい

3つ目は「業務過多による疲労が大きい」という点です。「働く環境の特徴」でも記載した通り、広告営業は最低でも一人当たり大体5~10社程のクライアントをまとめて担当します。

さらに、クライアントが代理店側のスケジュールを考慮することはないので、無理な依頼や納期設定をされてしまうことも多く、業務過多になりやすいでしょう。

あわせて、クライアント対応だけでなく、社外社内問わずに提出する資料作成や、広告運用部門とのMTGなど、複数の業務を並行して進めます。このような通常の業務に加えて、クライアント都合で追加されるタスクも多いため、業務過多となってしまい疲労が大きいでしょう。

広告営業の仕事が向いてる人

では、ここから「広告営業の仕事が向いてる人」の特徴を解説します。3つに分けてそれぞれ詳しく解説していくので、興味のある人はぜひ自身と照らし合わせながら確認してみてください。

コミュニケーションに苦手意識がない

1つ目は「コミュニケーションに苦手意識がない」人です。仕事内容でも解説しましたが、広告営業はクライアントを相手にする仕事です。

クライアントから情報を聞き出し、要望にあわせた広告メニューの提案をしたり、改善策を報告したりと、クライアントと密にコミュニケーションを取って仕事を進めていきます。

また、広告営業はチームで仕事を進めます。上司はもちろん、広告運用部門へのクライアント情報共有なども必須になるでしょう。内部はもちろん、外部とのコミュニケーションに苦手意識を持たない方は向いています

論理的に物事を考える

2つ目は「論理的に物事を考える」というタイプの人です。広告営業に限らず、広告代理店の仕事は、広告を実施した際の数値やデータを元に、分析しながら業務を進めます。

広告を実施したことで得られたデータを元に、どこを改善すべきなのか?どこに注力するべきなのか?などを、筋道を立てて思考しないと良い成果は残せません。

また、クライアントへの報告・提案でも論理立てて説明しないと納得してもらえないです。納得してもらえなければ、広告運用は打ち切りになってしまいますし、案件を獲得することもできません。

このように、施策の分析や改善はもちろんですが、クライアントとのコミュニケーションを取る場面でも、論理的思考力を持っている方が活躍できます。

臨機応変な対応が得意・順応性が高い

最後は「臨機応変な対応が得意・順応性が高い」人です。広告営業に限らず、広告代理店の仕事は、クライアントに手綱があり、クライアントの合意が絶対です。さらに、その時期の自社の方針などにも影響を受けます。

例えば、注力して行っていたクライアントが明日から注力外になったり、はたまた今後拡大するであろうクライアントなどがあれば、サポートのため異動になる可能性もあります。

そのため、臨機応変な対応に苦手意識がなかったり、順応性が高ければ高いほど、広告営業の仕事は問題なくこなせるでしょう。

広告営業の将来性

転職を考えている人は、転職後の将来性も気になるかと思います。そこで広告営業の将来性についてですが、筆者個人の考察としては、広告業界の職種の中でも特に無くなる可能性が高いのではないかと考えています。

特に、Web広告に特化している企業の営業担当が当てはまると言えるでしょう。理由として「Webマーケティングで使用される媒体の特定化が進んでいる」という点があげられます。

商品やサービスのターゲット層に合わせたメディアやアプリを利用してユーザーにアピールし、最終的な成果に繋げるのがWebマーケティングです。そのため、今までは広告営業が商品やサービスのターゲット層に合わせてメディアを収集し、クライアントに提案するのが定番でした。

しかし、精度の高いターゲティングを可能とし、より多くの成果に繋げられるようなロジックが組まれた大型媒体(GoogleやFacebook、Yahoo!等)の登場により、活用メディアは一気に絞られました。クライアントはより多くの成果を求めるため、大型媒体での配信を希望します。

また、広告代理店自体も、クライアントからの評価と自社の売り上げを確保するため、大型媒体に絞って事業を拡大させている企業が多いのです。このように、Webマーケティングで使用される媒体の特定化が進むにつれ、自然と広告営業の役割が薄れてきています

ただ営業職としてはつぶしが効くため、業界を絞らなければ、営業担当として活躍できる幅は大いにあるでしょう。

広告営業のキャリアパス

ここまで、広告営業の仕事内容や向いている人の特徴などを細かく紹介しました。次に「広告営業のキャリアパス」を詳しく解説します。筆者の周りの先輩や、同僚の話を織り交ぜながら紹介するので、ぜひ参考にしてください。

所属代理店での役職を上げる

まず1つ目は「所属代理店の中で役職を上げる」というキャリアパスです。一番スタンダードかつ目指す人が多いキャリアと言えるでしょう。企業にもよりますが、一般社員から大体4種類以上の役職が存在することが多いです。

各企業ならではの人事評価制度を取り入れ、評価を満たした場合に1つずつ役職が上がるという形になります。役職が上がるごとに給料や業務量、責任が増えるため、よりやりがいが増えていくと言えます。

筆者の在籍していた広告代理店を基に、以下で役職例をあげます。具体的にイメージしやすいよう「Web特化型広告代理店の営業部門」という仮定でご確認ください。

役職仕事内容
リーダー健康食品のクライアントを扱う3人程のチームを管理
マネージャー健康食品のクライアントを扱う営業チーム全体を管理
シニアマネージャー健康食品・美容商品のクライアントを扱う2つの営業チームを管理
統括マネージャーtoC向け商品のクライアントを扱う営業部門を管理

上記のように「リーダー→マネージャー→シニアマネージャー→統括マネージャー」と、役職が上がるごとに、管理する人数や売上規模が広がります。

統括マネージャーとなると、toC向け商品のクライアントを扱う営業部門(例:アパレル、教育、家具・雑貨など)を全てまとめて管理する役割を担うため、取締役など重役に近い存在になるというイメージです。

広告プランナーや、コンサルティングなど類似職種への転職

2つ目は「広告プランナーや、コンサルティングなど類似職種への転職」というキャリアパスです。広告営業は、広告の代理出稿や運用の仕事を、より多く獲得できるように営業活動することが主な仕事と説明しました。

類似職種としてあげられる広告プランナーやコンサルティングは、クライアントの要望や希望にあわせて、どんな広告を制作・出稿するか?の企画を一から行い、提案をする仕事です。広告営業は所属代理店を売り込むのが仕事ですが、広告プランナーやコンサルティングの場合は「適切な広告の企画・提案」をするのが仕事になります。

そのため、より多くの広告や媒体の知識が必要とされるとともに、市場調査や直近のトレンドなども把握しておく必要があるので、広告営業よりも転職のハードルは上がるでしょう。

一方で適切な企画や提案、またプレゼンテーション能力などが身につき、広告営業よりも将来性のある仕事といえるので、キャリアアップとして選ぶ人も多いです。

マーケターにキャリアチェンジ

3つ目は「マーケターにキャリアチェンジ」することです。広告の運用や管理、分析などを行う部門に異動、または転職をするというイメージになります。

広告営業の将来性で記載したように、広告営業は「広告業界の職種の中でも将来的に無くなる可能性が高い」と説明しました。一方でマーケターである広告運用部門は、広告営業よりも将来性があり、キャリアの幅が広がりやすい職種です。

なぜなら、マーケターはビジネスを行う上でも重要な「数値分析力」や「論理的思考力」が自然と身につくので、様々な企業に求められると言っても過言ではありません。そのため、

しっかりとスキルを身に着ければ、個人で仕事を請け負うことも難しくないでしょう。

筆者の周りの先輩や上司も、独立して法人化している人も居れば、副業で本業と同等位に稼いでいる人もいます。

広告営業へ未経験で転職するには?

最後に、広告営業へ未経験で転職をする場合は「転職サイトと転職エージェントの併用」がおすすめです。

また、中途採用かつ未経験の場合、いきなり大手企業に入るには難易度が高いです。まずはベンチャーや中小企業に入社して、実績を積んでからキャリアアップを目指しましょう

具体的な方法としては、転職サイトで広告営業の様々な求人を確認しながら、転職エージェントでより具体的な希望を出しつつ、求人を探してもらいます。もし転職サイトの方で気になる企業があれば、エージェントに求人が出ていないか・斡旋してもらえないか確認しましょう。

両方を活用することで、様々な求人を確認できるとともに、転職のプロにアドバイスなどを貰いながら転職活動を進められるので、より希望に近い企業へ転職できるでしょう。

内容のまとめ

本記事は「広告営業の仕事内容やきつい瞬間、向いている人の特徴」を解説しました。広告営業の仕事は、正直激務な環境下が多いです。ただその分、バイタリティが高まりますし、営業職としての基礎知識が蓄えられるでしょう

広告営業への転職をお考えの方は、本記事が判断材料となれば嬉しいです。ぜひしっかりと読み込んで、参考にしてください。