歴3年のWebディレクターがあるあるな苦労を紹介します


Webディレクターの仕事は、Webサイト制作のプロジェクト進行です。クライアントから要望を聞き、デザイナーやエンジニアに依頼を伝えてWebサイトを完成へ導きます。

ただ、プロジェクトが順調に進むことは少なく、トラブルも絶えないのがWebディレクターの仕事でもあります。

筆者は約3年間、Webディレクターとしてプロジェクトを進行してきました。今も現役でプロジェクトを進行していますが、トラブルはなくなりません。

今回は、歴3年の現役Webディレクターが、あるあるな苦労話をご紹介します。Webディレクターをしている方であれば、同じ経験をしている方も多いのではないでしょうか?

また、記事の後半ではこれらの苦労を乗り越えて、市場価値の高いWebディレクターになるための具体的な方法まで解説しています。

「自分も同じ経験をした!」と思いながら、読んでもらえると嬉しいです。

Webディレクターのあるあるな苦労6選

担当するプロジェクトの規模により、苦労するポイントは変わると思います。

そこで今回は、どんなプロジェクトでも起こりうるトラブルを6つピックアップしてみました。

  • クライアントの要望が増えていって困る
  • 「言った、言わない」でトラブルになる
  • 作成した資料を読んでもらえない
  • 自分の作業をする時間がなくなる
  • ディレクション以外の作業もやらざるを得なくなる
  • Googleや外部サービスに振り回される

一つずつ詳しく見ていきましょう。

クライアントの要望が増えていって困る

クライアントの希望や要望を聞き、Webサイトに反映させることはWebディレクターの重要な仕事の1つです。しかし、その要望が増えすぎてしまうと、プロジェクトの進行が遅れてしまい、困ってしまうこともあります。

筆者が担当するクライアントは、ITリテラシーが高くない方が多いです。仕様書や要件定義を見ているだけでは想像できず、サイトが形になってからやっとやりたいことを思いつく、ということも珍しくありません。

可能な限り対応しようとあれもこれも追加していると、サイトの完成まで1年が経っていた、なんてこともあります。

Webディレクターとして要望に応えたい気持ちと、プロジェクト完了のために線引きをしなければならない苦労は、あるあるなのではないでしょうか。

「言った、言わない」でトラブルになる

Webディレクターは、あらゆる連絡手段を使ってクライアントとやり取りします。電話・メール・チャットなどのツールを、状況によって使い分けている人がほとんどです。

そのため、会話の履歴が分散してしまい、クライアントと「言った、言わない」でトラブルになることもあります。

筆者もよく「電話では伝えた」「あの会議では話していた」と言われることが何度か続き、必ず議事録を残すようになりました。ただ、議事録に一言一句を残すことは難しいため、完全には防げていません。

このトラブルは、Webディレクターに限った話ではないかもしれませんが、Webサイト制作というネット上のサービスだからこそ多いのではないかと思っています。

作成した資料を読んでもらえない

Webディレクターは、プロジェクトを進行する中で資料を作ることもあります。クライアントにデザインを提案したり要件定義をまとめたり、内容はさまざまです。

苦労して作った資料ですが、読んでもらえていないのでは?と思うことが何度もあります。理解しやすい言葉を用いて簡潔に作成していますが、何故か読んでもらえません。

筆者も過去に、資料を事前に読んでおくように伝えた上で打ち合わせしたにも関わらず、話が噛み合わないという経験を何度もしています。このように、時間を割いて作成した資料が読まれない事があると、やる気が削がれてしまいます

自分の作業をする時間がなくなる

プロジェクトを円滑に進めるために、他のメンバー(エンジニアやデザイナーなど)のフォローに回ることもWebディレクターの仕事です。

しかし、フォローばかりに回っていると、自分が本来しないといけない作業をする時間がなくなってしまいます

1日のスケジュールは組み立てていますが、トラブルが発生するとスケジュール通りにはいきません。クライアントや制作陣からの質問になるべく早く返答しようとして、予定していた作業を後回しにしがちだからです。

トラブル対応がようやく落ち着いたため、自分の作業をしようと思ったら定時だったということも筆者は珍しくありませんでした。

ディレクション以外の作業もやらざるを得なくなる

会社の規模にもよりますが、制作陣の人手が足りないと、ディレクション以外の作業を任されることも少なくありません。

Webディレクターは、持っている知識やスキルが豊富なため、自分が担当する分野以外でも対応できます。そのため、プロジェクトを進める中で足りない人手を埋めるために使いやすい人材でもあるのです。

例えば、デザインツールが使える人はデザインの作業を、コーディングスキルがある人はコーディング作業をお願いされることがあります。

筆者は、Photoshopやillustratorといったデザインツールに加えて、少しですがWordPressの操作も可能です。デザイナーの作業が混んでいる時は、画像のレタッチや加工を担当し、エンジニアの対応が間に合わない時は、WordPressの設定も経験しました。

スキルアップにつながる点は嬉しいですが、自分のタスクもたくさん抱えているため、時間に余裕がありません。

プロジェクトを円滑に進めるために必要だと判断し、対応していたら自分の作業時間がどんどん少なくなってしまいます。小さな企業でWebディレクターをしている人は、特に共感してもらえるのではないでしょうか。

Googleや外部サービスに振り回される

Webサイトはほとんどの場合、制作会社だけで完結しません。

例えば、Webサイトを制作するには、ドメインを管理するレジストラやサーバーを管理するサーバー会社との連携が必須です。そして、WebサイトはGoogleなどの検索エンジンを通じて見つけてもらうため、Googleに依存することになります。

Webサイトに関係する外部サービスの仕様が変更されたら、それに合わせた対応が必要です。この仕様変更は状況によってはとても厄介です。

苦労して作成したサイトが、外部サービスの仕様変更で動かなくなったということも起こり得ます。外部サービスを利用している以上避けられないことですが、何度も仕様変更があると、勘弁してほしいと言いたくなってしまいます。

Webディレクターとして市場価値を高める方法

Webディレクターのあるあるな苦労も、何度も経験していれば対処法が身につきます。筆者自身も、3年間でいろいろな対処法を身につけてきました。

トラブルに対応できるようになると、Webディレクターとしての市場価値が高くなり、転職や就職にも有利です。そこで、筆者も実際に行ってきたWebディレクターとして市場価値を高める方法を4つご紹介します。

  • コミュニケーション能力を高める
  • ニーズに応える提案力を高める
  • マーケティングのスキルを身につける
  • 危機管理能力を高める

コミュニケーション能力を高める

トラブルの原因として最も多いのは、クライアントや制作陣との会話におけるコミュニケーション能力不足です。

例えば、クライアントとWebサイトに使う色の話をしたとしましょう。ヒアリングをしたところ、「赤」と言われたため、制作陣へ「赤」で依頼します。しかし、出来上がったサイトはクライアントのイメージした「赤」ではありませんでした。

これは、コミュニケーション能力を高めることで回避できるトラブルです。赤は赤でも、鮮やかな赤とワインのように深みのある赤では、イメージもまったく異なります。

Webディレクターは、この細かな違いをヒアリングして伝えなければなりません。クライアントと制作陣をつなぐ必要があるからこそ、Webディレクターのコミュニケーション能力は重要です。

コミュニケーション能力を磨くことが、Webディレクターとしての価値を高めることに確実に直結します。

ニーズに応える提案力を高める

クライアントから「サイトでこんなことがしたい」「こんな機能が欲しい」という要望には、実現が難しいものも少なくありません。しかし、その要望にも柔軟に対応できたら、クライアントの満足度も高くなります。

こういった要望に応えるために、普段からWebサイト制作に使えるツールの最新情報を収集しておくようにしましょう。また、他社サイトやトレンドになっているデザインを見て、勉強しておくことも欠かせません。

クライアントのニーズにあわせて柔軟に提案できる力があれば、Webディレクターとしての市場価値も高まります。

マーケティングのスキルを身につける

多くの場合、Webサイトを作る目的は集客にあります。Webサイトを通して、たくさんのユーザーに会社を認知してもらったり、商品を購入してもらったりすることが目標です。

この目標を達成するためにはマーケティングのスキルも必要になります。Webサイトを作るだけではなく、その先にある目標を達成できるWebディレクターは多くありません。

広告配信やアクセス解析などの知識・スキルを身につけることで、市場価値の高いWebディレクターになれます。

危機管理能力を高める

プロジェクトの進行中、トラブルが起こってから対処法を考えていたのでは納期に間に合いません。

Webディレクターには、進行中に起こりうるトラブルはすべて考え、それらを回避する能力も必要です。事前にトラブルを想定できていれば、迅速に対応してプロジェクトも円滑に進められます。

とはいえ、理解していてもなかなかできることではありません。危機管理能力を高めるためには、過去のトラブルや失敗を振り返ることが重要です。なぜトラブルになったのか要因を分析して、次回からはその要因を取り除く作業を行います。

このように、経験を重ねることで危機管理能力を育てる気持ちが大切です。

危機管理能力が高いWebディレクターは、プロジェクトを成功に導くことができる市場価値の高いWebディレクターなのです。

Webディレクターのあるあるな苦労のまとめ

Webディレクターとして仕事をして3年、あらゆるトラブルに遭遇し、解決してきました。これは筆者だけでなく、Webディレクターをしている方ならあるあるな苦労なのではないでしょうか。

作業量が多く、板挟みになりがちなWebディレクターですが、苦労を乗り越えることで自分の市場価値も上がっていきます。

もし、トラブル続きで苦労ばかりだと感じるWebディレクターの方がいたら、この記事を読んで一緒に賛同できると嬉しいです。そして、そのトラブルをチャンスにして、自分の市場価値を高めるきっかけになれば幸いです。