Web広告の一つであるアフィリエイト広告。名前は聞いたことがあるが、実態は何かあまりよく分かっていない人も多いのではないでしょうか。
アフィリエイトで月○十万稼いだとSNSで発信する人もいるため、もしかすると怪しいイメージを持っている人もいるかもしれません。
本記事では、アフィリエイト広告とは何か?を一から図も用いて分かりやすく解説していきます。企業にとってアフィリエイト広告は有力な顧客獲得の手段でもあるため、是非毛嫌いすることなく最後まで読み進めてみてください。
こんな課題感がある方におすすめの内容です
・アフィリエイト広告の仕組みが分からない
・アフィリエイト広告を始めてみたいが、やり方が分からない
・アフィリエイト広告のメリットを知りたい
目次
アフィリエイト広告とは何か?
アフィリエイト広告はWeb広告の種類の一つで、簡単に言うと他人に自社の商品を売ってもらう広告です。自社の代わりに商品を売ってくれる人のことをアフィリエイターと言います。
自社で広告を出す代わりに他人に宣伝してもらって商品を売り、商品が一つ売れるたびにアフィリエイターへ報酬を支払う成果報酬型であることが大きな特徴です。
一般的に、アフィリエイターは自身が運営するブログ等で商品を告知します。告知する際に商品のリンクをブログ内に設置し、ブログの読者が商品のリンクをクリックして購入に至ると、アフィリエイターの成果として認められます。
アフィリエイト広告の仕組み
では、アフィリエイト広告がどんなシステムで成り立っているかを具体的に見ていきましょう。下記の図はアフィリエイト広告の流れを図解したものです。
後ほど図に関しては流れに沿って詳しく説明するので、一旦今は理解ができなくても大丈夫です。
図を見ていただくと、アフィリエイト広告では四者間のやり取りが発生していることが分かります。広告主、ASP、アフィリエイター、ユーザーです。
この四者がそれぞれ何なのかをまずは説明します。
広告主
アフィリエイト広告を出したい企業のことです。広告主は自社の商品やサービスをもっと多くの人に知ってもらいたいと思っているので、その手段としてアフィリエイト広告を利用します。
ASP
ここが最も聞き慣れない言葉だと思います。ASPとは、Affiliate Service Provider(アフィリエイトサービスプロバイダー)の略称で、広告主とアフィリエイターを結びつける仲介システムのことです。
このASPに広告主が商品を登録し、アフィリエイターはブログなどのメディアを登録します。アフィリエイターはASPに登録されている広告主の商品の中から紹介したい商品をピックアップして、ブログ等で紹介をします
商品が売れたかどうかを確認するための計測システムや、アフィリエイターへの報酬支払いシステム等もASP内で完結する仕組みになっています。
ASPはたくさん種類がありますが、有名なASPをいくつか記載しておきます。
- A8.net
- バリューコマース
- Amazonアソシエーション
- afb
- アクセストレード
アフィリエイター
先ほども簡単に説明した通り、ブログ等のメディアで広告主の商品を紹介する人のことを指します。アフィリエイターは個人の場合もあれば、法人の場合もあります。
SNS等で良く「アフィリエイトで月○万円稼ぎました!」のような投稿を見かけますが、あれらは基本的に個人のアフィリエイターによるものです。
ユーザー
ユーザーとは、ブログの読者やSNSの利用者など、アフィリエイターが紹介している商品を購入する人のことを指します。ユーザーが商品を購入してくれることで、広告主、アフィリエイターどちらもが儲かります。
アフィリエイト広告の流れ
では次に、先ほどの図解を流れに沿って具体的に解説していきます。
まず最初に、アフィリエイターがASPに自分が運営しているメディアを登録します。一般的にはブログが多いですが、YouTube等のSNSを登録することもできます。
次に、アフィリエイト広告を利用したい広告主がASPへ登録します。登録する際に、商品が一つ売れるごとにアフィリエイターにいくら支払うかを示す報酬単価を設定します。
正直①と②はどっちが先でも成立します。結局ASPからすると、広告主とアフィリエイターどちらもが登録されていないとアフィリエイト広告が成立しないので、両者の営業をすることになります。
既存のASPには既に多くのアフィリエイターが登録しているので、新しくアフィリエイト広告を始めたい広告主は大手のASPから利用開始するのがおすすめです。
次にアフィリエイターが、ASPに登録されている商品の中から、自分が運営しているメディアで紹介したい商品をピックアップして掲載します。
アフィリエイターはもし自分が使ったことがある商品があれば、その商品を紹介してくれる可能性が高いです。もしそうでない場合は、最も稼げそうな商品を紹介するでしょう。これは当然の力学ですね。
稼げそうかどうかを判断する軸は大きく2つで、報酬単価と成約率(コンバージョンレート)です。
報酬単価は先ほども触れたように、一つの商品が売れた時にアフィリエイターに支払われる報酬のことです。成約率(コンバージョンレート)とは、ユーザーを商品サイトに誘導してから成約に至る割合のことです。
何を持って成約とするかも広告主が決めることができるため、例えば商品の購入にすれば成約率が低くなり、資料ダウンロードなどライトなものにすると成約率が高くなることが想定されます。
いくら報酬単価が高くても、成約率が低ければ結果として商品が売れる数は少なくなり、アフィリエイターは稼げません。
広告主視点に立つと、報酬単価と成約率の掛け算でどれだけ競合他社を上回れるかが、アフィリエイターに選ばれるために重要なポイントとなります。
次に、アフィリエイターがブログ等で紹介した商品をユーザーが購入します。アフィリエイターが紹介している商品のリンクは、ASPでコンバージョン計測ができる専用のリンクになっています。
よって、ユーザーがリンクをクリックして商品の購入等に至ると、ASPのシステム上で購入されたことが計測される仕組みになっています。
次に、商品を購入してくれたユーザーに対して広告主が商品の提供を行います。ここはアフィリエイト広告であろうがなかろうが当たり前の流れですね。
次に、広告主がASPに対して広告費の支払いを行います。一般的には月毎に支払い手続きが発生します。
広告費の支払いを行う前に1つだけ広告主が行わなければいけない作業があります。それが「承認作業」です。承認作業とは、ASPの管理画面に反映されている成果を承認するか否かをボタン操作で行う作業のことです。
基本的に広告主が設定している成果の条件をユーザーが満たすと、管理画面に成果が計測されるため承認となるのですが、例えば下記のようなケースで非承認とする場合があります。
- アフィリエイター本人の購入はNGというルールにしている
- セミナー参加を成果の条件としているが、実際は申込だけを行なっていて参加はしなかった
- 資料のダウンロードを成果の条件としていたが、不正に同一人物が大量のダウンロードを行なっていた
広告主が承認作業を行い、「承認となった件数 × 報酬単価」を広告費としてASPに支払います。
最後に、ASPからアフィリエイターに報酬の支払いが行われます。
このように、四者が相互に関わり合ってアフィリエイト広告は運営されています。
アフィリエイト広告の種類
ここではアフィリエイターがどのようなメディアを通じて広告主の商品を紹介するケースがあるかをご紹介します。
Webサイト(アフィリエイトサイト)
最も一般的なメディアがWebサイトです。アフィリエイトで人気のあるWebサイトの種類としては下記のようなものがあります。
- ポイントサイト
- ランキングサイト
- 比較サイト
- 個人サイト
- 領域特化型サイト
Twitterで多くのフォロワーを獲得しているアフィリエイターであれば、Twitterの投稿にアフィリエイトリンクを盛り込むことで、アフィリエイト広告を実施することができます。
YouTube
YouTuberがYouTubeの動画概要欄にアフィリエイトリンクを設置することで、アフィリエイト広告を実施することができます。
メールマガジン
アフィリエイターが顧客リストを持っている場合は、顧客リストに対してメールを送り、メール内の商品リンクをアフィリエイトリンクにすることでアフィリエイト広告を実施することができます。
広告
WebメディアやYouTubeで制作した動画を広告配信してユーザーを集客し、商品を販売するやり方です。広告費や広告運用ノウハウが必要となるので、法人で実施されるケースが多いと感じます。
広告費はコストとなるので、アフィリエイターからすると利益は少なくなってしまいます。しかし、広告を配信して利益がプラスになることが分かれば、ほとんど自動で利益を生める仕組みを作れることが大きなメリットです。
アフィリエイト広告のメリット
アフィリエイト広告を実施する上でのメリットを、広告主側とアフィリエイター側のそれぞれの視点で見ていきましょう。広告主であっても成果を出すためには、アフィリエイター側の視点を持つことは重要です。
広告主側のメリット
成果報酬型なので費用対効果が高い
広告主がアフィリエイト広告を利用する一番のメリットは、成果報酬型の広告であるという点です。運用型広告では、先に広告費が発生することに加えて、広告を配信するまで費用対効果が分かりません。
上手くいけば利益が出ますが、損失が出ることも少なくありません。
アフィリエイト広告の場合は、商品が売れてはじめて広告費が発生するビジネスモデルになっているため、余分な広告費を出さなくて済みます。
ASPを利用すると毎月の固定費が発生するので、ASPのコストを見込んで報酬単価をコントロールできていれば、費用対効果がマイナスになることはほとんどありません。非常に高い費用対効果を実現できる広告チャネルになります。
第三者から商品やサービスを宣伝してもらえる
アフィリエイト広告は第三者であるアフィリエイターに商品のプロモーションを行なってもらいます。
自社が主体となって広告を配信する運用型広告に比べて、第三者が主体となるアフィリエイト広告は、説得力の高い訴求を作ることができます。
実際に自社の商品を購入したり、サービス体験をしているアフィリエイターであれば、なおさら熱意を持っておすすめしてくれるでしょう。彼らにも収入が入るというメリットがあるので、コンテンツ制作にも力を入れてくれます。
アフィリエイター側のメリット
メディアをマネタイズできる
アフィリエイターは自分が運営しているメディアから収入を得たいと考えています。アフィリエイトは報酬単価が高い商品もあり、継続的に流入が見込めるメディアであれば、毎月ほぼ自動で収益を得られる仕組みを構築することができます。
初期コストがほとんどかからない
アフィリエイターの大きなメリットの一つが、初期投資がほとんどかからずにビジネスを始められることです。最初に発生する費用はドメイン代とサーバー代程度で、月に数千円もあれば運営することができます。
もちろんASPへの登録もお金はかかりません。初期投資がかからないからこそ、個人が稼げる手段として広まっています。
アフィリエイト広告のデメリット
次に、アフィリエイト広告のデメリットを同様に、広告主側とアフィリエイター側の視点で見ていきます。
広告主側のデメリット
ブランドイメージが下がる恐れがある
アフィリエイターは収入を増やすためにメディアのPV数を増やしたいと考えます。PV数を増やしやすい方法の一つがネガティブ訴求をすることです。
記事のタイトルやSNSのタイトルでネガティブな表現を使うことで、読者からの興味を惹くことができます。記事内では、ポジティブな側面を訴求して商品サイトへ誘導していたとしても、ネガティブ訴求から入っているため、ブランドイメージを毀損する恐れがあります。
また、広告文はアフィリエイターに一任されるため、誇大表現をされてしまうとユーザーが商品を購入した際にギャップが生まれて不満に繋がるリスクもあります。
固定費がかかる
ASPを利用すると、初期費用と月額費用がかかります。もし、アフィリエイトでの成果が月0件や月数件しか発生しなければ、損失が出る可能性があります。
事前に月何件以上の成果が発生すれば利益が出るようになるかは必ず試算しておきましょう。
アフィリエイター側のデメリット
結果が出るまでに時間がかかる
初期コストも発生しないため、アフィリエイター側にリスクらしいリスクはありません。
SEOでサイト集客をする場合は、サイトを立ち上げてから結果が出るまでに最低でも数ヶ月、遅いと1年以上という期間が必要となるため、すぐにマネタイズできる訳ではありません。
企業がアフィリエイト広告を始めるまでのステップ
最後に、企業がアフィリエイト広告を始める際の手順を解説していきます。
1. ASPに登録する
まず、最初にASPに登録します。先ほどもご紹介した代表的なASPは下記です。AmazonアソシエーションはAmazon商品のアフィリエイトに限定されます。
代表的なASP
- A8.net
- バリューコマース
- Amazonアソシエーション
- afb
- アクセストレード
広告予算が少ない場合はまずは1つのASPに登録してアフィリエイト広告で獲得できるのかを見た方がいいでしょう。もし1つだけ選ぶのであれば、日本最大級の広告主数・サイト数を誇るA8.netがおすすめです。
下記のようにオンライン上で申込をすることができます。
2. 広告バナーの準備
アフィリエイターがあなたの会社の商品を紹介したいと思った時、ブログやメディアに広告バナーを掲載してくれるケースが多いです。よって、広告バナーを準備することで、より多くのアフィリエイターの協力を得ることができます。
例えば、A8.netが推奨するバナーサイズは20種類あります。いきなり20種類制作するのは難しいという方は、バナーサイズでニーズが高い下記7種類を最低限準備すると良いです。
最低限準備すべきバナーサイズ
- 100×100
- 125×125
- 250×250
- 300×250
- 336×280
- 320×50
- 468×60
3. 商品情報の登録
次に、商品情報を登録します。
アフィリエイターはASPに登録されている商品の登録情報を見て、どのように商品を紹介するかを決めます。よって、商品情報はしっかりと作り込むことが大切です。
特に、下記のようなポイントは必ず盛り込むようにしましょう。一言だけではなく、出来るだけ詳細に書くことをおすすめします。
商品情報の登録時に記載すべきポイント
- キャッチコピー
- 商品のターゲットは誰か
- 商品のセールスポイント
- 競合商品と比べての強み
- 商品の実績
- 割引や特典情報
4. 成果の条件と報酬単価を決める
次に、成果の条件と報酬単価を決めます。
成果の条件とは、ユーザーがどのようなアクションを取れば成果とするのかを決めることです。商品の購入、無料体験の申込、資料のダウンロード、など企業によって様々です。報酬単価は、成果1件あたりの報酬を指します。
成果の条件や報酬単価次第で、アフィリエイターに選ばれるか否かも変わってくるので、非常に重要なポイントです。
成果の条件を深い位置、つまり商品の購入等にすると広告主側のリスクは低くなりますが、アフィリエイターからすると成約率が低下するため、他社に流れる可能性が高くなります。
逆に成果の条件を浅い位置、つまり無料体験の申込や資料のダウンロード等にすると、成約率が下がるなど広告主側のリスクは高くなりますが、アフィリエイターからすると成約率が上がるため、好まれる傾向にあります。
私個人の見解としては、初めてアフィリエイト広告に取り組む場合は成果の条件を深い位置にすることをおすすめします。リスクを抑えることで、成果報酬型広告の強みを最大限活かせるためです。
一定期間運用を行い、成約率が何%になるか目処が立ってきたら、成果の条件を浅い位置に変えて、新たなアフィリエイターの獲得を目指すのがいいでしょう。
また、最初は報酬単価は上限の広告獲得単価より低めに設定することをおすすめします。アフィリエイト広告が他の広告媒体と同じような獲得単価になるかは未知数なので、こちらもリスクを抑えるために少し低めに設定するのがいいでしょう。
競合商品よりも良い条件であればアフィリエイターに掲載してもらえる可能性は高まるため、将来的には競合ウォッチしながら、成果の条件や報酬単価を調整しましょう。
ここまでの手順を完了できれば、アフィリエイト広告を開始することができます。
5. 継続的にアフィリエイターにアプローチをする
アフィリエイト広告を開始したら、すぐにアフィリエイターが集まってくる訳でもありません。あなたの企業の商品がASPに登録されたことをアフィリエイターに知らせる努力をしましょう。
有料の場合も多いですが、アフィリエイターに一斉メールを送ったり、ASP内の目立つ位置に商品情報を掲載してもらうことが可能です。
また、ASPの担当者と繋がって個別に有力なアフィリエイターに商品を紹介してもらうことも可能です。
内容のまとめ
- アフィリエイト広告とは、簡単に言うと他人に自社の商品を売ってもらう成果報酬型の広告
- アフィリエイト広告では広告主、ASP、アフィリエイター、ユーザーの四者間でのやり取りが発生する
- ASPはAffiliate Service Provider(アフィリエイトサービスプロバイダー)の略称で、広告主とアフィリエイターを結びつける仲介システムのこと
- アフィリエイターが稼げそうかどうかを判断する軸は2つで、報酬単価と成約率(コンバージョンレート)
- アフィリエイト広告で利用されるメディアは、ブログだけでなくSNSやYouTube、メールマガジンなど多様化している
- 初めてアフィリエイト広告を実施する企業はリスクを抑えるために、成果の条件を深い位置にして、報酬単価を上限の広告獲得単価より低めに設定することがおすすめ