マーケティングとは何か?初心者にも分かるように一から解説

マーケティングとは何か?を初心者でも分かるように解説します。

これからマーケティングの仕事を始める人は、マーケティングの仕事って結局何から始めればいいんだ・・?と思っているかもしれません。マーケティング部署以外の方は、マーケティングを集客や販促のことだと思っているかもしれません。

実態が掴みづらく、人によって理解が異なります。

本記事では、多くの人が分かりづらいと思っているポイントを押さえました。

こんな課題がある方におすすめの内容です
・マーケティングの定義が何か分からない
・マーケティングの仕事内容がイメージつかない
・Webマーケティングとマーケティングの違いが分からない

なぜマーケティングは分からないと言われるのか?

マーケティングは言葉の抽象度が高すぎて、多くの人がなんとなくのイメージで止まってしまいます。調べてみても発信元によって言うことが変わってしまい、なかなか整理がつかないですよね。

なぜそれほどにマーケティングは分かりづらいのか?

それは、答えがないからです。

明確な定義が存在しないんですね。答えがないので、自然と人によって解釈が分かれてしまいます。権威ある学者であれば概念としてのマーケティングを語り、経営者であれば自身の実体験を元にマーケティングを語り、デジタルマーケティングの担当者はデジタルに特化したマーケティングノウハウを語ります。

自分の立場や経験を元にマーケティングを解釈して発信しているので、当然バラバラになる訳です。

正解がない以上、本記事も私の考えを元にしたマーケティングの考えを発信することになるため、一解釈であることを理解いただいた上で読んでもらえると嬉しいです。

マーケティングとは顧客を創造すること

定義が曖昧なものについては、社会的信用のある発信者から引用するケースが多いので、例に漏れずまずはWikipediaの定義を見てみます。

企業などの組織が行うあらゆる活動のうち、「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。また顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、仕組み、プロセスを指す。

一言で言うと、顧客が求めるものを作り、それが売れる仕組みを作るプロセスと読み取れます。私も実務を通して得た経験から、この定義には同意です。

お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、企業活動そのものですよね。つまり、真の意味でのマーケティング活動はほとんど経営ということです。仕事内容も抽象度が高く、答えのない仕事と日々向き合うことになります。

「顧客が求めるものを作り」とありますが、これが一番難しいです。

なぜなら、顧客は自分たちが欲しているものを知らないからです。生活をしていて不便に感じることがあったとしても次の瞬間には忘れていますし、どうやって解決すればいいかを知りません。

だからこそ、市場調査やインタビュー調査等を行い、まずは顧客の課題を知るところからスタートします。

冒頭の定義を少し言い換えると、顧客が抱えている潜在的な課題を見つけ、それらを解決する方法を商品やサービスという具体に落とし込み、売れる仕組みを作ることが、マーケティング活動です。

こう言うと新規事業立ち上げに関わる人だけの話に聞こえるかもしれませんが、そんなことはありません。既に主力サービスを持っている企業が顧客の別の課題に気づいて新機能を開発したり、広告の訴求を変更して新しい顧客層に商品を知ってもらうなど、顧客の課題を解決する方法はたくさんあります。

顧客の課題を解決するためにクリエイティビティを発揮し続け、事業成長にコミットメントすることがマーケティングという仕事の醍醐味だと思います。

マーケティングでは戦略が最も重要

マーケティングで何が一番重要かと聞かれると、戦略と答えます。これはマーケティングに関わらず、全ての仕事に当てはまるかもしれません。

特にマーケティングは1つの大きな意思決定で、多くの経営資源を動かすことになるため重要度が高いです。どんなに実行力が高くても、戦略が間違っていれば成果が出ません。実行に割いた時間が水の泡と化してしまいます。

戦略とは簡単に言うと、「勝ち筋を見極めてリソース配分を決めること」です。

戦略が重要な理由は、目標があるからです。

例えば、あなたが趣味で料理のブログを書いているとしましょう。好きで書いているので、基本的には日記のように書きたいことを書きますよね。ここに戦略は必要ありません。

しかし、料理レシピサイトを運営する企業だとどうでしょうか?

企業活動である以上、利益を出す必要があります。レシピサイトを○年後に○PVにするといったような具体的な目標まで落とし込まれるはずです。

目標を達成するためには、魅力的なコンテンツにする必要があるため、材料の種類とグラム数を記載し、作り方の手順を細かく書く。伝わりやすくするために画像ではなく動画にする。サイトへの流入数を増やすためにYouTubeやInstagramを活用する。など、目標を達成するための最短ルートを考えて実行計画を立てるはずです。

これが戦略です。

企業のリソースは有限であるため、やるべきことよりも何をやらないかが戦略を決める上で重要になってきます。

企業はビジョンを達成するために戦略が必要

先ほど料理レシピサイトを運営する企業の例を出しましたが、企業の目標はたいていの場合、ビジョンやミッションに表れています。

例えば、世界的な検索エンジンGoogle社のミッションは下記です。

世界中の情報を整理し、世界中の人がアクセスできて使えるようにすること

Googleはこのミッションを達成した世界を作るために存在しています。

ビジョンやミッションだけでは具体性に欠けるため、事業計画と呼ばれる数値目標に落とし込まれます。5年後に売上3倍みたいな感じです。具体的数値目標を達成するために、マーケティング戦略を考える必要があります。

マーケティング戦略を「4P分析」から考える

マーケティングには戦略を考えるためのフレームワークが多数存在しますが、結局は「誰のどんな問題を解決するのか?」が全てであり、あくまで考え方の1つとして理解しておく程度で構いません。

最初のうちはフレームワークを例に出した方が具体的な理解が進むと思うので、代表的な「4P分析」を用いて説明します。

4P分析は、1960年代にアメリカのマーケティング研究者であるE Jerome McCarthyという人物によって提唱された理論です。4Pとはそれぞれ、Product(製品)、Pricing(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の頭文字を取っています。

単語を見てなんとなくの想像はつくと思いますが、それぞれの単語は下記のような役割を内包しています。

例えば、子供向けの英会話教室を提供する場合、4P分析で考慮するべき点は下記です。

このように、4Pのどこに経営資源である人的リソース、物的リソース、金銭的リソースを割り当てていくか意思決定をすることがマーケティング戦略であり、マーケターの最も重要な仕事です。

Webマーケティングはプロモーションの中のデジタル施策

スマートフォンが浸透して以降、Webマーケティング、デジタルマーケティング、SNSマーケティングなど、デジタル上でのマーケティングが色んなところで語られています。

これら1つを切り取ってマーケティングと理解している人もいるのではないでしょうか。

もちろん、これらもマーケティングの重要な仕事の1つではありますが、全てではないです。

先程の4P分析でいうと、販促(Promotion)部分に該当します。プロモーション施策のうち、デジタルに特化したものがWebマーケティングです。

例えば、具体的な施策としては下記のようなものが挙げられます。

  • デジタル広告の運用(Google、Facebook、Twitterなど)
  • ランディングページの改善
  • バナーや動画広告の制作ディレクション
  • メルマガの配信
  • データの解析
  • SEO(検索エンジンの最適化)
  • SNSの運用
  • 顧客管理

インターネット以前のプロモーションは、テレビや新聞のようなマス媒体を使った広告が中心でした。これらの媒体は否が応でも不特定多数の大勢に届けられるという欠点があります。また、テレビやラジオなどは高額で、ある程度の予算を確保できる大企業が中心でした。

インターネットの登場により、特定のユーザーに対して精度の高いターゲティングができるようになりました。また、少額(数百円程度)から始められるので、規模の大きくない中小企業や個人でも広告を運用できるようになったという点において、広告が民主化されたと思います。

Webマーケティングの重要性は高く、多くの企業でWebマーケティングによるプロモーションは欠かせないでしょう。

Webマーケティングがもたらした恩恵は数字ドリブン

Webマーケティングの登場によって、ターゲティングの実現やプロモーションの民主化が起きたと説明してきました。

それらも革命的な変化ですが、私が考える最も大きな恩恵は数字ドリブンでマーケティングができるようになったことだと思います。

具体的には、下記の2つができるようになりました。

  1. 仮説の検証結果をすぐに得られる
  2. 数字を元に仮説を立てることができる

1. 仮説の検証結果をすぐに得られる

Webマーケティングを使えば、何か仮説を検証したい時に、LPを作って広告を出せばその日のうちに数字として結果が出て、検証ができてしまいます。

クリエイティブを2パターンで迷っているなら、SNS広告にAパターンのバナーとBパターンのバナーを出稿してクリック率やコンバージョン率が高い方を選べばいいです。

新商品が売れるかを検証したい時は、LPを作って広告を出せばその日のうちにユーザーからの反応を得られます。

2. 数字を元に仮説を立てることができる

2つ目は例を交えて説明します。

例えばパーソナルジムを運営していたとします。Webマーケティングの登場によって、下記のような仮説の立て方ができるようになりました。

Webマーケティング以前の仮説の立て方

当初は男性向けでジムをスタートしたが、実際にお客様の声を聞いていると女性の入会希望が多いことが分かったので、女性専用のジムを作った。

Webマーケティングを使った数字ドリブンの仮説の立て方

当初は男性向けでジムをスタートしたが、試しに女性向けにSNS広告を出してみたら男性よりも広告のクリック率が高いことが分かった。女性のニーズがあることに気づき、女性専用のジムを作った。

前者は顧客の声を元に商品開発を行っているのに対し、後者は広告の数値を元に商品開発に至っています。

後者を使うことで顧客起点のマーケティングが癖づかないなどのデメリットはありますが、事業のPDCAを回すスピードが上がるなど、メリットの大きさは計り知れません。

何より手段が増えたことはマーケターにとって嬉しいことです。

マーケティングの定義や仕事内容は企業によって異なる

ここまでマーケティング戦略や4P分析、Webマーケティングについて話してきました。実際にこれらの業務を全員がやっているかと言えば、NOの場合も多いでしょう。実際は企業のマーケティングの定義や、役職によって異なります。

Webマーケティングを使わずにプロモーションを行っている企業もあれば、広報や広告をマーケティングと名付ける企業、マーケティング部署すら存在せず新規獲得は営業部隊のみで行っている企業もあります。

また、経営者やマーケティング責任者であれば戦略作りの比重が大きく、担当者であればWebマーケティングの実務の比重が大きかったり、商品開発だけを担当するなど、役職によっても業務内容は異なってきます。

ベンチャー企業などまだ会社を始めて間もないケースだと経営者が全て見ているケースが多いですね。

マーケターを目指すなら、企業のマーケティングの定義をチェックする

もし、あなたがこれからマーケターとしてのキャリアを希望しているなら、まずはマーケティング機能が存在する企業かどうかをチェックしましょう。

そして、面接ではその企業がマーケティングをどのように捉えているかを聞いてみましょう。4P領域までをマーケティングと捉えていれば、将来的に責任者になった時に管掌できる範囲が広く、広義の意味でのマーケターとして成長できる機会があります。

逆に、Webマーケティングのみをマーケティングと捉えていれば、広義のマーケティングには触れられず、Webマーケターのプロとしてキャリアを歩むことになります。

まずは誰よりも実務能力を上げて、引き出しの数を増やす

マーケティング戦略に携わりたいという気持ちは分かります。その方が動かせる領域が大きく、上手く行った時の成果も無限大になるからです。しかし、実際は未経験からいきなり責任者に就けるはずもありません。

むしろ、現場の実務能力がない状態で全体の戦略を練っていくことは困難だと思います。

戦略を作るためには、たくさんの引き出しを持っていることが不可欠です。

Aという課題が発生した時に、取りうる解決手段をA’しか知らないとA’が上手くいかなかった場合、手詰まりになります。A’、B’、C’と、課題が起きた時に何個もの解決手段を持つことで、最も洗練された打ち手を生み出すことができます。

引き出しを持つことは、現場の実務経験を通じてしか得られません

座学で学んだだけでは身につかないのです。成功して快感を味わったり、失敗して痛みを伴うなど、感情を通じた体験こそが自分の血肉になっていきます。まずは、現場で求められるスキルを習得し、業務を100%以上のクオリティで実現できるようになりましょう。

私も未経験からマーケティングを始めて責任者になった身だからこそ、現場の実務能力の重要性を理解しています。

マーケティングを理解するのにおすすめの本

最後に、マーケティングとは何か?を理解する上でおすすめの本を紹介します。

本記事だけでは伝えきれない情報もたくさんあるので、もっと知りたい・学んでみたいという方は次に紹介する本を読んでみてください。

ジョブ理論

ドリルを売るには穴を掘れ、というマーケティングで有名な言葉がありますが、顧客が解決したいと考えている課題のことを本書ではジョブ(=顧客の進歩)という言葉で言い表しています。

本質的な課題を見抜く力を磨きたい、もっと多くの人に欲しがられる商品を作りたい、と考えている方におすすめの1冊です。

USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門

元USJのマーケティング責任者としてV字回復させた森岡毅氏による著書。マーケターの中ではあまりにも有名な方で、現在はマーケターのプロ集団「刀」を経営されています。

この本では、マーケティングの戦略的思考が学べます。戦略って何?といった人でも明快なフレームワークを用いて分かりやすく説明されているので、挫折せずに読み終えられるはずです。

初心者の方でもマーケティング戦略を理解できる1冊です。

ハイパワーマーケティング

世界一のマーケターとも言われるジェイ・エイブラハム氏が書いた本で、自分のマーケターとしての価値観を形成するのに大きな影響を受けました。彼の講演を1時間聞くために参加費5万円のカンファレンスに参加したこともあります。

常に自分の利益よりも顧客の利益を優先させる考え方「卓越論」は、マーケターだけでなく全ビジネスマンが身につけるべきマインドセットです。

本が売り切れている場合は、新訳も出ているのでこちらを。

上で紹介した3冊以外でもおすすめできる書籍を下記の記事でも紹介しています。

【保存版】マーケティングのおすすめ本を22冊厳選【初心者から中級者まで】

内容のまとめ

  • マーケティングが分かりづらい理由は、答えがなく人によって解釈が分かれるから
  • マーケティングとは、顧客が抱えている潜在的な課題を見つけ、それらを解決する方法を商品やサービスという具体に落とし込み、売れる仕組みを作ること
  • 戦略とは、勝ち筋を見極めてリソース配分を決めること。戦略が必要な理由は、企業には必ず目標があるから
  • マーケティング戦略は4Pのどこに経営資源を割り当てるかを意思決定すること
  • Webマーケティングはプロモーションの中のデジタル施策のことを指す
  • Webマーケティングの登場により、仮説の検証をすぐに得られるようになったり、数字を元に仮説を立てられるようになった
  • マーケティングの定義は企業によって異なるので、マーケターを目指す際は企業のマーケティングの定義を調べることが重要