指名検索とは?メリットと再現性高く検索数を増やす3つの方法を解説

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マーケティングを成功に導くための重要指標の一つに「指名検索」があります。

指名検索はブランド名やサービス名そのものが検索エンジンで検索されることを指しますが、指名検索数が多ければ多いほどマーケティング活動が楽になります。

本記事では、指名検索のことがあまり分からない方向けに指名検索とは何かを解説した上で、指名検索数を増やすメリットや具体的に指名検索数を増やす方法をお伝えします。

これをやれば確実に指名検索が増えるという約束はできませんが、私が過去にやってきた施策の中で再現性高く指名検索を増やせた施策をご紹介します。

それでは本文に移っていきましょう。

指名検索とは

指名検索はマーケティング活動の対象となる商品名やサービス名、ブランド名そのもののキーワードで検索されることを指します。

例えば、ユニクロを運営するのは株式会社ファーストリテイリングですが、ユニクロのマーケティング活動において指名検索とは「ユニクロ」のことを指します。

「ユニクロ」と月間で検索される回数のことを月間指名検索数と言ったりします。

一方で、採用活動においては「ユニクロ」の指名検索よりも「ファーストリテイリング」の指名検索の方が大事になるでしょう。これはゴールが服を売ることではなく、人材を採用することだからです。

このように、指名検索は固有名詞のことを指しますが、目標によって重要な検索語句は異なってきます。

指名検索を増やすメリット

指名検索を増やすことはマーケティング活動において非常に重要です。

そのメリットはズバリ「競合しないので顧客獲得単価を下げられる」。これに尽きます。

ユーザーが特定のサービス名やブランド名で指名検索をするということは、その商品の購買意欲が非常に高い状態にあるということです。

例えば、あなたが「Z SKIN」という女性向けのコスメブランドを提供していたとしましょう。「Z SKIN」提供者の立場から、日本にいる女性を大きく3つに大別すると下記の図になります。

逆ピラミッドの下にいくほど人数は減りますが、「Z SKIN」の購入に近い人たちです。

それぞれのセグメントの人たちがどんなキーワードで検索しているかというと下記です。

コスメブランドを必要としていない人

→ そもそも検索しない

コスメブランドが欲しい人

→「コスメ 女性 おすすめ」「コスメ 女性 比較」などカテゴリー名で検索をする

「Z SKIN」が欲しい人

→「Z SKIN 価格」「Z SKIN 効果」など指名検索をする

コスメブランドが欲しい人は、どのコスメにしようか比較検討しているため、サービス提供者は様々なブランド群の中から「Z SKIN」を選んでもらう必要があります。そのため、広告を使って「Z SKIN」の良さをアピールするなどコストがかかります。

一方で、「Z SKIN」が欲しい人は、指名検索をしているので競合比較をしている人は少ないです。コスメブランドなら「Z SKIN」が有力な選択肢として入っているため、具体的な製品の特徴や価格を調べます。広告等のコストをかけずとも自然と購入に繋がるでしょう。

このように、指名検索に近づけば近づくほど競合しなくなるので、広告費をかけずに顧客獲得ができるのです。

カテゴリーの第一想起を取れば強いブランドを築ける

人が特定のカテゴリーの商品が欲しいと感じた時に、最初に思い浮かべる商品のことを「第一想起」と言います。

第一想起を獲得できれば、多くの人に選ばれて顧客獲得単価を下げられます。

目指すべきは◯◯(カテゴリー名)なら◯◯(サービス名)と思ってもらうことです。先程の例でいくと、コスメブランドならZ SKINとなれば第一想起を獲得できています。

テレビCM等でもよく見るネット印刷のラクスルは、カテゴリー名である「ネット印刷」よりも「ラクスル」という指名検索数の方が多くなっています

こうなると強いです。

普通であれば「ネット印刷」と検索してネット印刷ができるサービスを探すと思いますが、ネット印刷 = ラクスルとなっているので、競合比較すらされない状態を構築しています。

指名検索を増やす3つの方法

指名検索数を増やすメリットは分かりましたが、そう簡単に指名検索数を増やせれば苦労はしません。指名検索数を継続的に発生させ続け、右肩上がりに増やすためには単発的な施策に止まらず、長期的にブランドを構築していかなければなりません。

と言ってしまうと元も子もないので、ここでは短期的にでもプロモーションの力によって指名検索数を増やす方法を3つご紹介します。

「バズを起こす」などは再現性が低いため、ここでは比較的再現性高く指名検索数を増やす手段を説明します。私が実践して指名検索を増やすことができたものです。

テレビCM

まずはテレビCMです。

指名検索数が増えたかどうかを判断するためには一定のリーチ数(広告が表示されたユーザー数)が必要です。どれだけデジタルの広告が発達したとはいえ、リーチ数を稼ぐ手段としてはテレビCMが群を抜いています

ターゲティングができない分、マス向けの商品でないと実現は難しいかもしれませんが、テレビCMが上手くハマれば指名検索数の大きな増加を見込めます。

私の経験談になりますが、全国ではなく地方でしかテレビCMを流さなかった場合でも、明確な指名検索数の増加を確認することができました。

最近では広瀬すずさんを起用したAGCのテレビCMを見たことがある人は多いのではないでしょうか。広瀬すずさんが会社名であるAGCを連呼するCMなのですが、放映直後から「AGC」の指名検索数が爆発的に増加しています。

広瀬すずさんを起用したAGCのテレビCMはこちら>>

このように、テレビCMを使うことで指名検索数を大幅に増やすことができます。

インフルエンサーを起用した広告

次に、インフルエンサーを起用した広告です。

一口にインフルエンサーと言っても、YouTuber、インスタグラマー、TikToker、芸能人など様々な種類があります。

おすすめはYouTuberです。いわゆるYouTuberタイアップと呼ばれる手法です。

YouTuberも様々なタイプがありますが、最低でも二桁万規模の再生数を出せるYouTuberとタイアップをすれば指名検索数を増やす有効な手段になり得ます。

私はこの方法で過去に何度か実施したことがありますが、毎回指名検索数への跳ね返りを確認できました。

最近ではYouTuberのヒカルさんと靴の通販サイト「ロコンド」のタイアップが成功事例として有名です。

YouTuberヒカルさんとロコンドのタイアップ動画はこちら>>

テレビCMと違ってYouTuberタイアップは、とにかく大勢にリーチすると言うよりは、ファンへのリーチという側面が強いため、タイアップするYouTuberのファン属性と自社サービスとの親和性が何よりも大事です。

Twitterの口コミによる拡散

3つ目はTwitterの口コミによる拡散です。

Twitterにはご存知リツイート機能があるため、この機能を使ってうまく話題化できれば無尽蔵に拡散されていきます。

しかし、拡散されやすいのはいつの時代もネガティブなニュースの方が多く、再現性高くポジティブな口コミを発生させることは容易ではありません。

そこで企業が取り組むのがTwitterキャンペーンです。Twitterキャンペーンではリツイートをすることで何かしらのユーザー特典をつけると言うものです。

こちらの本田圭佑さんとペプシがコラボして実施したTwitterキャンペーンは有名です。

じゃんけんというユーザー参加型の企画にすることで、思わずリツイートしたくなる仕掛けが作られています。

Twitterキャンペーンを上手く応用させたのがすっかりお金配りおじさんとしてお馴染みになった前澤友作さんではないでしょうか。2019年の正月に「リツイートした100人に100万円のお年玉をプレゼント」という企画を打ち出して、リツイート数の世界新記録を樹立しました。

告知直後に「前澤友作」の指名検索数が爆発的に増加していることが分かります。

このように、リツイートされる仕掛けを作ることができれば、テレビCMやYouTuberタイアップほどお金をかけずに指名検索数を大きく増やすことができます。

指名検索数の推移を調べる方法

最後に、指名検索数の増減を調べる方法をご紹介します。

確認するには、下記2つの方法があります。

  • Google Search Console(通称:サーチコンソール、サチコ)
  • Google Trends(通称:グーグルトレンド)

どちらもGoogleが提供する製品で、誰でも無料で使うことができます。

Google Search Console

Google Search Consoleを使うことで、特定のキーワードから自社のWebサイトにどれくらいの流入数があるかを確認できます。

Google Search Consoleはこちら>>

事前に自社のWebサイトとGoogle Search Consoleを連携する必要があります。

連携ができたら、下記の手順で指名検索経由のWebサイト流入数を確認できます。

  1. 左側のメニューから「検索パフォーマンス」を選択
  2. 「新規」>「キーワード」と選択して、確認したいキーワード(ブランド名など)を入力
  3. 指名検索でサイトに流入した数を確認

数字は伏せていますが、設定が完了したら下記のように指名検索数の推移をチェックできるようになります!

Google Search Consoleの画面

Google Trends

Google Trendsは先ほどからいくつかキャプチャで紹介していますが、特定の地域(日本や東京都など)における特定キーワードのトレンド(傾向)を把握することができます。

あくまでトレンドであり、絶対値ではないのでご注意ください。絶対値を取得したい場合はGoogle Search Consoleを使いましょう。

Googleトレンドはこちら>>

使い方は簡単です。上部の検索窓に検索の傾向を調べたいキーワードを入力するだけでOKです。

例えば、過去12ヶ月における「オリンピック」というキーワードのトレンドは下記です。

東京オリンピック開催時に大きく検索数が跳ねていることが分かります。このように検索のトレンドを把握できるので便利です。

内容のまとめ

  • 指名検索とは、マーケティング活動の対象となる商品名やサービス名、ブランド名そのもの
  • 月間で検索される回数のことを月間指名検索数と呼ぶ
  • 指名検索数を増やすメリットは顧客獲得単価を下げられること
  • ◯◯(カテゴリー名)なら◯◯(サービス名)と言うように、カテゴリー内で一番最初に想起されるブランドを作ることができれば指名検索数を安定的に獲得でき、持続的なブランドの発展ができる
  • 指名検索数を増やす方法は、テレビCM、YouTuberタイアップ、Twitterの口コミによる拡散などがある
  • 指名検索数の推移を調べる方法は2つあり、Google Search Console(サーチコンソール)を使う方法と、Google Trends(グーグルトレンド)を使う方法