初心者でも分かるLPOとは何か?実践手順や必須のツールも紹介


売上を上げたり、集客を増やすためにランディングページを改善することは有効な手段です。ランディングページ(LP)に魅力がなければ、どれだけアクセスを集めたとしても商品が売れません。

ビジネスにWebマーケティングを取り込んでいるのであれば、売れるランディングページを作ることは欠かせない要素になります。従って、ランディングページはとことん磨き込むべきであり、改善のために時間を費やすべきです。

本記事では、LPO(ランディングページ最適化)とは何か?を最初に説明します。その後、LPOを実践する具体的な手順を解説し、LPOに必須のツールや気をつけるべきポイント、実際にLPOを実施して改善した施策例を紹介します。

ランディングページの作り方を知りたい方は、先に下記の記事をご覧ください。

ランディングページの作り方を6つの手順で徹底解説!制作手段や外注の考え方も分かる

LPOとは何か

LPOはLanding Page Optimizationの略で「ランディングページ最適化」を意味します。つまり、LPのCVRを改善して新規顧客獲得や売上を増やそう!というWebマーケティングの施策です。

CVR(コンバージョン率)とは何か?低くなる要因と改善方法を解説

目的

LPOの目的は一つで、LPのCVRを上げることです。LPのCVRを上げることが新規顧客獲得増加や売上増加に直結します。

Webマーケティングでは基本的に①LPを作る→②LPにアクセスを集める→③LP上で商品を販売するの流れで売上を作ります。

よって、②で集めてきた人たちを購入(成約)に持っていけるかは至上命題です。商材やビジネスの規模感によってはCVRが0.1%上がるだけで売上が数百万円上がるなんてこともざらにあります。

いつやるべきか?

いつやるべきかはマーケティングのフェーズによるという元も子もない結論になりますが、少なくともマーケティングの初期フェーズではやるべきです。

マーケティングの初期フェーズとは商品やサービスをリリースして、月次で一定の売上が立つくらいまでを想定しています。このフェーズで大事なことはユーザーに刺さる訴求を作り込むことです。

CVRの低いLPにどれだけ広告を投下してアクセスを集めたとしても利益は出ません。順番が逆で、まずはLPのCVRを上げてから広告費を増やさなければいけません。

先ほどフェーズによると回答した理由は、ビジネスが拡大してくるとLPの改善をするよりもテレビCM等の認知施策やキャンペーンの実施、新商品の開発といった別のマーケティング施策をする方が効率が良くなることがあるからです。

例えば、LPのCVRを0.1%改善することによって増える利益よりも、広告予算を増額して適切な運用をした方が利益が増えるという計算になれば、マーケリソースを広告予算の配分・運用に使った方が良くなります。

EFOとの違い

LPOと近い施策としてEFOがあります。EFOはEntry Form Optimizationの略で「入力フォーム最適化」を意味します。入力フォームをユーザーが使いやすいように最適化することによって、CVRを改善するマーケティング施策です。

ユーザーが入力フォームの設置されているページに来てから、入力フォームの提出に至る割合を改善することがゴールになります。

例えば、RIZAP(ライザップ)のWebサイトはトップページとカウンセリングページ(エントリーフォーム)が別ページになっています。カウンセリングページにおけるCVRを改善することがEFOということになります。

どちらに着手すべきか?という話になると思いますが、結論どちらもやった方がいいです。「LP→エントリーフォーム」の遷移率「エントリーフォーム→成約」の割合の両方を改善することでLPのCVRが上がっていくためです。

LPOを行う具体的な方法

LPOの概要が分かったところで、具体的にLPOを実施していく手順を解説します。

手順は下記の5つです。

STEP1. 数値を確認して課題を把握する
STEP2. 解決策を考える
STEP3. 検証ポイントを決める
STEP4. ABテストを行う
STEP5. STEP1 ~ STEP4を繰り返す

STEP1. 数値を確認して課題を把握する

まず最初に、LPのどこに改善すべき課題がありそうかを把握します。

課題を特定するためにはLP上の数値をチェックする必要がありますが、ここでは代表的な着眼点をご紹介します。ここで紹介する分析をするだけでも十分課題を見つけられるでしょう。

LPの流入チャネルごとのCVRを比較

LPの流入チャネルごとにCVRを比較して、著しく低いチャネルがある場合は最適化の余地がありそうです。

例えば、Facebook広告、Googleリスティング広告、アフィリエイト広告経由のCVRを比較してFacebook広告経由のCVRが低いとすれば、Facebook広告の訴求内容とLP内容に乖離が起きている可能性などが考えられます。

デバイス別のCVRを比較

PC流入とスマホ流入のCVRを比較する方法です。

デザインを制作する際にスマホをあまり考慮していないと、スマホのCVRが低く出たりします。どちらか一方のCVRが低いのであれば、そのデバイスに最適なコンテンツ・デザインにすることでCVRを上げられる可能性があります。

新規・リピート別のCVRを比較

LPに訪れるユーザーを新規ユーザーとリピートユーザーに分けてCVRを比較する方法です。

ただし、この分け方をすると基本的にはリピートユーザーの方がCVRが高く出やすいので、前後の期間で比較すると課題が見えてきます

例えば、リピートユーザーだけに絞って先月と今月を比較し、今月のCVRが低かった場合、先月までやっていた施策が実はリピートユーザーに効果があったのに止めてしまっていたという課題が見つかります。

LPの離脱ポイントを確認

LPのどの部分でユーザーが離脱しているかを定量的に分析する方法です。

特定の場所で離脱しているユーザーが多い場合、そこで訴求している内容がユーザーの興味に沿っていなかったり、訴求が弱くなっている可能性が考えられます。

Webサイトの離脱ポイントを確認するためには、ヒートマップツールを導入する必要があります。おすすめはマイクロソフト社が提供しているClarityというヒートマップツールです。

多くのヒートマップツールは有料でないと使えないですが、Clarityであれば無料で使えます


ここで紹介した以外でも、時間帯、性別、地域、年齢など様々なセグメントで切って課題を見つけるための分析ができます。

STEP2. 課題の解決策を考える

STEP1で課題が見えてきたら、次に課題の解決策を考えます。

下記に具体例を用いて解説します。

課題

広告チャネル別でCVRを分析してみると、Facebook広告経由のCVRが極端に低く、LP全体のCVRを押し下げている

解決策

Facebook広告のバナーではAという訴求をしているのに対して、LPのファーストビューではBという訴求をしていることが分かった。バナーとLPで訴求内容に乖離があるため、ユーザーが「思っていたのとは違った」と思って離脱している可能性が高い。

よって、広告バナーの訴求とLPのファーストビューの訴求を同じにする。

このような感じで、課題に対応した解決策を導きます。

ポイントは解決策は決して一つではないということです。よって、解決策Aがダメだったからといって諦める必要はありません。また別の解決策を考えて実行すればOKです。

解決策は、「アイデアをたくさん書き出す」→「優先順位を付ける」の順番で考えていくのがおすすめです。こうすることで思考の抜け漏れを防ぐことができます。

STEP3. 検証ポイントを決める

解決策が決まったら、次にどうやって検証を進めるかを決めます。たとえ、STEP2で複数の解決策を思い付いたとしても検証は1つ1つ実施していきます。

複数の要素を一遍に検証してしまうと、どこが要因で数値が増減しているのか判断がつかなくなるからです。

検証ポイントを決めるとはつまり、下記の2点を決めることです。

  1. ABテストする要素は何か?
  2. 目標となる指標をどこにするか?

まず、何のABテストをするか決めましょう。例えば、ファーストビューのボタンの色を変えてABテストをするといった具合です。

ABテストをする要素が決まったら、改善したか否かを判断するための指標を決めます。ボタンの色を変える目的はクリック率を高めるためなので、クリック率が指標になるでしょう。もしくは、LPのCVRを指標とする場合もありそうです。

STEP4. ABテストの設定を行う

検証ポイントまで決まったら、ABテストの設定を行います。ABテストにおすすめのツールは「Googleオプティマイズ」です。Googleオプティマイズは無料で使えて、天下のGoogleが提供しているので安心です。

ABテストで検証結果を得るためには一定量のアクセス数が必要です。目安として1000~2000セッション程度集まるまでテストを継続すると良いです。

結果が出たら、数値が良かった方をLPに反映して完了です!これで一つLPの最適化をすることができました。

STEP5. STEP1 ~ STEP4を繰り返す

あとは継続的にSTEP1 ~ STEP4を繰り返してLPOを行なっていきます。1回ABテストをして満足してはいけません。事業を取り巻く環境や、LPに訪れるユーザーの属性も時間と共に変わっていきます。

同じABテストでも今はAの方が良いが、2年後はBの方が良かったという結果にもなり得るのです。理想はLPOの担当者を置いて、常にテストをし続ける状態を作ることです。

LPはネット上のセールスマンです。ABテストをすればするほど、セールストークに磨きがかかっていくので、あなただけの洗練されたLPを作っていってください。

LPOに適したおすすめツール

下記3つのツールが揃えば、十分にLPOを実施していくことができます。

Googleアナリティクス

LPのCVRを計測するために不可欠のツールです。LPOを実施しないとしても必ずWebサイトには導入することをおすすめします。

地域、性別、時間帯、デバイス、新規・リピートなど様々なデータを取得できるため、これらを分析することで課題を捉えることができます。

>> Googleアナリティクス

ヒートマップツール

ヒートマップツールはWebサイト上のユーザー行動を分析できるツールです。例えば、LPのどこが読まれているか、LPのどこでユーザーが離脱しているかを把握できます。

ヒートマップツールは有料のものが多いですが、無料のものも存在します。

先ほども紹介しましたが、無料のヒートマップツールであればマイクロソフト社が提供するClarityがおすすめです。

有料ツールであれば、PtengineUserInsightなどがあります。

Googleオプティマイズ

ABテストを実施するためのツールです。Googleオプティマイズを使えばコーディングのスキルがなくても、直感的にLP上の文字や色を変更することができます。

一度やり方を覚えれば操作も難しくないため、Googleオプティマイズを使って様々なABテストを実施しましょう。

>> Googleオプティマイズ

LPOを行う際に気をつけるべきポイント

LPOの方法について解説してきましたが、ここではLPOを実施していくにあたって気をつけるべきポイントを3つ解説します。

解決策を考えることに時間を使い過ぎない

解決策を考えることに時間を使い過ぎてABテストの実施数が減ってしまっては元も子もありません。どれだけ考え抜いた解決策だったとしても、結局はテストをしてみるまでその解決策が優れているのかは分かりません

「これは絶対いけるぞ!」と思ったアイデアほど失敗するものです。仮に解決策Aと解決策Bを思い付いて同じくらい優れたアイデアだと思う場合は、両方ともテストすればOKです。

ABテストで得られた結果は、数値が改善していても改善していなくても仮説の検証になります。あまり考え過ぎず、ABテストの実施数を重視しましょう。

全てのユーザーに同じLPを当てようとしない

LPはネット上のセールスマンです。セールスマンが顧客によってセールストークを変えるように、LPもターゲットによってLPの訴求を変えていった方が成果が出ます

例えば、あなたが車買取サービスを展開していたとしましょう。神奈川県で「車 買取」と検索したユーザーに対してリスティング広告を出す場合、遷移した時のLPでは「神奈川でおすすめの車買取サービス」というキャッチコピーになっていた方が自分ごと化できてCVRが改善しそうです。

同じように、福岡県で「車 買取」と検索した人には「福岡でおすすめの車買取サービス」というコピーのLPの方が自分ごと化できます。

このように、性別や地域、職業などユーザーの属性に応じてLPを何本も作って最適化する方法もあります。決して全てのユーザーに一つのLPを当てることが正解ではないことは肝に銘じておきましょう。

些細だと思うことでもテストをしよう

ABテストの世界では些細なことでも結果が大きく異なります。例えば、フォームへ誘導するボタンのテキストを別の言い回しに変えてみたり、ボタンの色を変えてみるだけでも結果は変わるでしょう。

「これはあまり変化なさそうだ」と自分で決めつけるのではなく、「ここをこうすれば変わるんじゃないか?」と常に疑いの気持ちを持っていることが大切です。

ABテストをすることは簡単なので、些細なことでも小さくテストを回して何度でも改善を行いましょう。

LPOによる改善例

最後に、実際に私が実践してLPのCVRが改善した事例をご紹介します。
これをやれば上手くいくということではなく、あくまで一例としてこんな改善例があるんだという程度で考えてください。

CVRの改善事例
  • ファーストビューの人物を一般人から著名人に変更
    → サービスの信頼度が向上してCVRが改善した
  • LP内にフォーム誘導ボタン(CTA)の数を増やした
    → 興味が喚起されたタイミングでボタンをクリックできるようになったのでCVRが改善した
  • LPが長くなっていたので、見られていない部分をカットして短くした
    → 離脱率を下げることができたので、結果的にCVRが改善した
  • LP内にフォームを設置して一体化した
    ページ遷移の手間がなくなったことで離脱率が下がりCVRが改善した
  • 金銭的なお得情報を掲載した
    ユーザーにとって分かりやすいメリットとなりCVRが改善した

実際にはLPごとに抱えている課題を捉えて改善策を実行していく必要があります。同じ対策をしていても、こっちのLPでは上手くいったが、あっちのLPでは上手くいかないということもあり得ます。

LPOを行う具体的な方法で解説した手順に沿ってLPOを実施してみましょう!

内容のまとめ

  • LPOとはLanding Page Optimizationの略称で「ランディングページの最適化」を意味する
  • LPOの目的はLPのCVRを上げることであり、それ以上でも以下でもない
  • LPOはマーケティングのどのフェーズでもやるべきではあるが、特に初期フェーズでは実施すべき施策。なぜなら、売れるLPがない状態でどれだけアクセスを集めても無意味だから
  • LPOと近い用語でEFOがある。EFOはEntry Form Optimizationの略称で「入力フォーム最適化」を意味する
  • LPOを行う具体的な方法
    • STEP1. 数値を確認して課題を把握する
    • STEP2. 解決策を考える
    • STEP3. 検証ポイントを決める
    • STEP4. ABテストを行う
    • STEP5. STEP1 ~ STEP4を繰り返す
  • LPOに適したおすすめツール
    • Googleアナリティクス
    • ヒートマップツール
      • 無料:Clarity
      • 有料:Ptengine、UserInsight
    • Googleオプティマイズ
  • LPOを行う際に気をつけるべきポイント
    • 解決策を考えることに時間を使い過ぎない
    • 全てのユーザーに同じLPを当てようとしない
    • 些細だと思うことでもテストをしよう