「CVRってよく聞くけどどうやって算出するのか分からない」
「CVRが下がってきたけれど要因が分からない」
「CVRを上げるための具体的な改善方法が知りたい」
本記事ではこのような悩みを解決します。
CVRとは何か?という基本的な解説から始まり、CVRの目標設定の考え方、CVRが低くなってしまう要因、CVRを改善する方法を解説しています。
目次
CVR(コンバージョン率)とは?
CVRとはConversion Rate
の略称で、Webサイトの目標を達成した割合のことを指すマーケティング用語です。Conversion Rate
の頭文字を取ればCRとなりそうなものですが、呼びやすさの観点からCVRと呼ばれているのでしょう。別名、コンバージョン率と呼びます。
そもそも、CV(コンバージョン)とはユーザーがWebサイトの目標を達成することを指します。Webサイトには必ず目標(ゴール)があり、それは商品を販売することや問い合わせ獲得、無料サンプルの利用など様々です。
目標を1回達成することが1CV(いちシーブイ、いちコンバージョン、など)であり、Webサイトに訪れた人数に対して目標を達成した割合のことをCVRと言います。
なぜ重要か?
CVRはネット上でマーケティング活動を行う上で重要指標になります。その理由は、CVRがビジネスの利益に直結する係数になるからです。
ネット上で再現性高くコンバージョンを獲得するためには広告を使います。広告を使ってコンバージョンを獲得するまでの係数は下記です。
コンバージョン数 = 広告費 ÷ 広告表示単価 × 広告のクリック率(CTR)× CVR
※広告表示単価・・・広告が1回表示されるためにかかる費用のこと
広告周りの詳細は割愛しますが、「広告費 ÷ 広告表示単価 × クリック率(CTR)」はつまり「広告で集めたWebサイトの来訪者数」という形に言い換えることができます。
すると、計算式は下記のようになります。
コンバージョン数 = 広告で集めたWebサイトの来訪者数 × CVR
この式から言えることは、コンバージョンを増やすためには「広告費を増やす」か「WebサイトのCVRを上げる」の2択しかないということです。
広告費をどれだけ増やしてもCVRが低ければ、1コンバージョンを獲得するためのコストが高騰してしまいます。コストが高騰してしまうと当然ながら利益が圧迫されます。従って、利益を出す仕組みを構築する上でCVRを上げていくことは非常に重要になるのです。
CVRの計算式
ここまでの話で察している方もいるかと思いますが、CVRの算出式は下記になります。
CVR = コンバージョン数 ÷ Webサイトの来訪者数 × 100%
とてもシンプルですね。
先ほどは広告に限った話をしましたが、実際には広告以外の来訪者(自然検索やSNSなど)も含まれます。
CTRとの違い
CVRと混同しやすいワードにCTRがあります。
CTRはClick Through Rate
の略称で広告のクリック率を意味するマーケティング用語です。広告がどれくらいの割合でユーザーにクリックされたかを測る指標になります。
CTRは広告効率を改善するために重要な指標です。先ほども出てきた下記の式をご覧ください。
コンバージョン数 = 広告費 ÷ 広告表示単価 × 広告のクリック率(CTR)× CVR
ここでCTRが出てきていますが、CTRを上げることができればコンバージョン数を増やすことができます。CTRを上げるためには、広告のターゲットを絞ったり、ターゲットに魅力的な広告を作るといったアクションを行います。
CPAとの違い
CPAもCVRと混同しやすいワードです。
CPAはCost Per Acquisition
の略称で顧客獲得単価という意味を持ちます。一人の顧客を獲得するためにかかった広告費のことを指します。
CPAの算出式は下記です。
CPA = 広告費用 ÷ コンバージョン数
コンバージョン数は「Webサイトの来訪者数 × CVR」
で求められるので、置き換えると下記になります。
CPA = 広告費用 ÷ Webサイトの来訪者数 × CVR
このことから、CVRを上げることができればCPA(顧客獲得単価)が下がります。つまり、CVRを上げると顧客獲得コストを下げられるので利益が出るのです。
CVR(コンバージョン率)の目標値
では、どれくらいのCVRを目指せばいいのかは気になるポイントでしょう。
一般的には「1 ~ 3%」が平均くらいじゃないかと言われています。しかし、現実は後述するように商材やコンバージョンポイントによって大きく異なります。
よって、「1 ~ 3%」というのは「ああ、そんなもんなんだ」程度に思っておいて、そこまで参考にしなくても大丈夫です。
CVRは商材やコンバージョンポイントによって大きく異なる
下記はアメリカの広告会社であるWordstream社が公開している業界ごとのCVRデータです。中央値で見た時に、EC業界と金融業界でCVRに約3倍近い差があることが分かります。
全業界平均 | EC業界 | 法律業界 | BtoB業界 | 金融業界 | |
---|---|---|---|---|---|
CVRの中央値 | 2.35% | 1.84% | 2.07% | 2.23% | 5.01% |
TOP25%のCVR | 5.31% | 3.71% | 4.12% | 4.31% | 11.19% |
TOP10%のCVR | 11.45% | 6.25% | 6.46% | 11.70% | 24.48% |
参考:What’s a Good Conversion Rate? (It’s Higher Than You Think)
このように、商材や業界によってCVRはバラバラです。
全く同じLPでもコンバージョンポイントが問い合わせなのか資料請求なのかでCVRは大きく変わります。問い合わせだとCVR2%を切るけれど、資料請求だとCVRが10%を超えるといった事例も見たことがあります。
同じ業界の競合他社は自社よりもCVRが3倍も高いと聞いて焦る必要はありません。まずは、他社が何をコンバージョンポイントにしているのかを見定めましょう。
CVRを上げたければ、できる限りユーザーに負担がかからず気軽にアクションできるコンバージョンポイントを用意することが肝になります。
自社サイトの相対比較で判断しよう
基本的には自社サイトを基準として、改善の前後の数値で比較をしていくべきです。目標とする利益水準から逆算するとどの程度のCVRが必要になりそうかが見えてくるはずなので、そこを目標としましょう。
とは言え、あまりにも無理な目標になっていないかは知っておくべきなので、参考値として業界の平均CVRをネットで検索したり、広告代理店の人にヒアリングして情報を収集すると良いです。
CVR(コンバージョン率)が低くなる要因
ここからはCVRが低くなってしまう要因について解説していきます。CVR低くなる要因はたくさんありますが、代表的なものを3つ紹介します。
・ターゲットを集客できていない
・ターゲットのニーズに刺さっていない
・市場環境の変化によりユーザーの購買意欲が下がった
ターゲットを集客できていない
まず1つ目はターゲットユーザーをWebサイトに集めることが出来ていないパターンです。
女性用化粧品を売るLPなのに、男性に広告を出してWebサイトに集めてもCVRが上がるはずはありませんよね。これは極端な例ですが、本当に狙ったユーザーをWebサイトに集められているか?は改めて問うてみるべきです。
良くありがちなミスとしては、顕在層をターゲットとしているのに実際は潜在層を集客してしまっているといったような、ターゲットユーザーのフェーズがずれるケースです。
顕在層をターゲットにしたLPに必要な情報は、料金や商品の特徴、他の商品と比べてどこが優れているかという内容でしょう。
集客経路としては、リスティング広告のカテゴリー名や商標キーワード、Facebook広告のリターゲティング(一度サイトに訪れたことがあるユーザーに出す広告)などが考えられます。
潜在層を集客してしまうと、自分の課題が明確になっていない状態で商品の特徴を説明されることになるので、ユーザーは自分には必要ないと感じて離脱してしまいます。
ターゲットのニーズに刺さっていない
ユーザーが本当に欲しているものと、提供者が考えているユーザーが欲しているものが乖離しているパターンです。これが原因でCVRが下がっていると仮定する場合は、今すぐに別の訴求を試した方がいいでしょう。
有名な例としてマクドナルドのサラダマックがあります。健康志向の高まりを受けてサラダマックを販売したが全く売れなかったというものです。
ユーザーが本当に求めているもの・・・背徳感のあるハンバーガー
提供者が考えていること・・・健康志向の高まりを受けてヘルシーなハンバーガーを作ろう
参考:サラダマックが大失敗した訳――「データの奇麗なウソ」をマーケッターはなぜ妄信するのか
このように、どれだけユーザーヒアリングを重ねて自信を持って商品を提供しても、実際には全く売れないということが起こりえます。
よって、ユーザーからの反応が悪いと感じた場合は、ユーザーに刺さっていない可能性が高いため別の訴求を試しましょう。様々な訴求のLPを試して、最もユーザーからの反応が良い訴求がユーザーに刺さっているという証明になります。
市場環境の変化によりユーザーの購買意欲が下がった
分かりやすい例だと転職市場や自己投資市場などがあります。これらの市場は景気に比較的連動しやすく、景気が良いと活発になり、逆に景気が悪いと市場が縮小します。
景気が悪いとリスクを取りたくないという心理が働き、結果的にこれらの商品への購買意欲が下がるからです。
このように、LPの訴求や集客経路を変えていないにも関わらず、市場環境の変化によってCVRが下がることもあります。これはもう自分たちではコントロールできないので、変化に対応した訴求や商品を作っていく必要があるでしょう。
CVR(コンバージョン率)を改善する方法
次に、CVRが下がっていることが確認できた時に、改善する具体的な方法を解説します。
今回解説する改善手法は下記の3つです。
・コンバージョンのハードルを下げる
・Webサイト(LP)の流入経路を見直す
・Webサイト(LP)の訴求を改善する
コンバージョンのハードルを下げる
先ほども軽く触れましたが、コンバージョンのハードルを下げられないか検討してみましょう。コンバージョンのハードルを下げれば高い確率でCVRを改善できます。
下記にいくつか具体例を記載します。
現在のCVポイント :お問い合わせ
改善後のCVポイント:資料請求
現在のCVポイント :スクールへの入会
改善後のCVポイント:無料体験、セミナー、など
現在のCVポイント :商品の購入
改善後のCVポイント:無料サンプル、30日無料お試し、など
このように、無料でできたり、人に会わなくて済むコンバージョンポイントを用意できればハードルは下がります。自社サービスならどのようなコンバージョンを用意できるか考えてみましょう。
Webサイト(LP)の流入経路を見直す
特定の流入経路がCVRを押し下げている可能性があります。流入経路別にCVRを算出してみることで、どこを改善すべきか見えてきます。
例えば、下記のようなケースです。
自然検索経由のCVR | 3.0% |
リスティング広告経由のCVR | 2.4% |
Facebook広告経由のCVR | 2.0% |
アフィリエイト経由のCVR | 2.3% |
Twitter広告経由のCVR | 0.7% |
Twitter広告経由のCVRが他の流入経路に比べて低く、全体のCVRを押し下げています。この場合、取りうるべき対策としては下記の2つです。
①CVRが低いチャネルを改善する
②CVRが低いチャネルを停止して、他のチャネルを強化する
具体的には、LPの訴求とマッチしていない可能性があるため、広告のクリエイティブやターゲティングを改善します。
また、LPを特定のチャネル用に改善するという手もあります。そのチャネルの特徴を踏まえて、どのようなユーザーがLPに流入してくるかを考え抜く必要があります。
CVRが低いチャネルの集客は諦めて停止します。その分で浮いた広告費は他のCVRが高いチャネルへ割り当てるという考え方です。
短期的にはこれでCVRを上げることができますが、ターゲティングを拡大していくとCVRは下がってくるので、どこかのタイミングで新しいユーザー層を開拓する必要は出てくるでしょう。
Webサイト(LP)の訴求を改善する
最後はWebサイト(LP)を改善することによってCVRを上げる方法です。いわゆるLPO(ランディングページ最適化)と呼ばれる手法です。
Webサイトの文言や画像を変えるだけでCVRは改善します。このような小さな改善を何度も何度も実施していくのがLPOです。
LPOについては下記の記事で具体的にまとめています。
初心者でも分かるLPOとは何か?実践手順や必須のツールも紹介内容のまとめ
- CVRとは
Conversion Rate
の略称で、Webサイトの目標を達成した割合のことを指す - CVRは利益に直結するので、ビジネス上でも重要指標
コンバージョン数 = 広告で集めたWebサイトの来訪者数 × CVR
から、コンバージョンを増やすためには、広告費を増やすかCVRを上げるかの2択しかない- CVRを上げることができれば、1コンバージョンを獲得するための単価を下げられるので利益率を改善できる
- CVRの計算式は
CVR = コンバージョン数 ÷ Webサイトの来訪者数 × 100%
- CVRと混同しやすいワード
- CTR・・・
Click Through Rate
の略称で、広告クリック率を指す - CPA・・・
Cost Per Acquisition
の略称で、顧客獲得単価を指す
- CTR・・・
- CVRの目標値
- CVRは商材やコンバージョンポイントによって大きく異なる
- よって、ネット上の平均値等はあまり間に受けず、自社サイトを基準として改善の前後で数値を比較するべき
- CVRが低くなる要因
- ターゲットを集客できていない
- ターゲットのニーズに刺さっていない
- 市場環境の変化によりユーザーの購買意欲が下がった
- CVRを改善する方法