Webサイト制作において、Webディレクターはプロジェクトを成功に導いてくれる存在です。しかし、中にはクライアントやデザイナー、エンジニアから「Webディレクターが使えない」と言われてしまう人もいます。
実際に検索をしてみると、「Webディレクター 使えない」のキーワードが出てきてしまうほどです。
なぜ「使えない」と言われてしまうのでしょうか?
筆者はWebディレクターになって3年が経過しましたが、一緒に仕事がやりにくい、いわゆる「使えないWebディレクター」にも会ったことがあります。
その経験を通して、使えないと言われてしまう人がやってしまいがちなことを分析してみました。また、今回の記事では、どこを改善すると「デキるWebディレクター」になれるのかも合わせて紹介します。
目次
使えないWebディレクターがやっていること6選
使えないと言われてしまうWebディレクターがやってしまいがちなことを6つ紹介します。
ただし、この6つをやっているからといって、必ずしも使えないかといえばそうではありません。同じWebディレクター目線からの意見として、参考程度に見てもらえると幸いです。
発言に責任を持たない
Webディレクターはプロジェクトを進めるために、たくさんの人とコミュニケーションを取ります。使えないWebディレクターの場合、このコミュニケーションが上手くできません。
話をする時に、論理的な説明や裏付けのある発言ができていないからです。質問をしても明確な答えが返ってこなかったり、提案をしてくれなかったり、聞き手が必要としている情報を返してくれません。
筆者は過去に、できないことをできると言ってしまい、クライアントと揉めるWebディレクターを見たことがあります。先輩にあたる方でしたが、その場を乗り切るために根拠のない返事をしていたため、本人も忘れてしまっているようでした。
使えないWebディレクターは、自分の発言がプロジェクトにどれだけ影響を与えるのか理解しておらず、無責任な発言をしがちです。
クライアントの要望を聞きすぎる
クライアントからの希望や要望を、何でもかんでも受け入れてしまうWebディレクターも、あまり有能とは言えません。
Webサイトは、クライアントが何か目的を達成するために作成するものです。そしてWebディレクターは、目的を達成するために最適な内容を提案しなければなりません。
しかし、使えないWebディレクターは、クライアントがやりたいと言ったことを何でも受け入れてしまいがちです。それでは、使い勝手が悪くなってしまったり、本来の目的を達成しづらいWebサイトになりかねません。
可能な限り要望は聞きつつも、できないことややらないほうが良いことはしっかりと伝えるべきです。
スケジュール管理をしていない
Webサイトは、デザイナーやエンジニアに仕様を伝えるだけで完成するものではありません。どの情報がいつまでに必要なのか、何がいつまでに終わっているべきなのか、スケジュールを組み立てる必要があります。
しかし、使えないWebディレクターは、スケジュールをおろそかにしがちです。スケジュールが管理できていないと、全体の何%まで作業が終わっているかわからず、納期ギリギリで間に合わないと判明することも。
当日になって、「Webサイトの公開が間に合いませんでした」ではクライアントも納得しません。これはクライアントだけでなく、制作を担当するデザイナーやエンジニアにも迷惑な行為です。
必要な情報はいつもらえるのか、修正は何日かけていいのか、わからないままでは不安になってしまいます。
スタッフへ依頼を丸投げする
クライアントから聞いた要望や依頼を、デザイナーやエンジニアなどの制作スタッフへ、そのまま伝えるWebディレクターも有能とは言えません。
クライアントからの依頼は、抽象的であることも多いです。例えば、青色を使用したデザインに対して「もっと明るい色がいい」という依頼があった場合を考えてみましょう。
明るい色といっても、黄色やオレンジへ色ごと変更してしまうのか、明るい印象になる青色にするのか、クライアントとしっかりと話し合う必要があります。
しかし、使えないWebディレクターがそのまま依頼してしまうと、デザイナーは「明るい色って何色なの?」と質問しなければなりません。
筆者の先輩ディレクターにも、クライアントから送られてきた文章をそのままエンジニアに送る方がいました。エンジニアが何度も質問に来ていたため、作業が進んでいなかったように思います。
そもそも、依頼をそのまま横流しするだけなら、Webディレクターを通す意味がありません。依頼を丸投げするWebディレクターは、特に制作スタッフから「的確な依頼内容を聞くことができないWebディレクター」だと思われてしまいます。
返事が遅すぎる
制作期間が決まっているプロジェクトにおいて、返事の速度はかなり重要です。Web制作では、1つの質問に回答がないだけで作業が進められないこともあります。
よって、その返事に数日かかってしまっては、スケジュール通りの進行はできません。作業を進めたいのに返事を待たなければいけないとなると、制作スタッフのモチベーションも下がってしまいます。
過去には、平気で1週間ほど返事がないWebディレクターもいましたが、もちろん納期に間に合いませんでした。その帳尻を合わせるのは、実際に現場で動いているデザイナーやエンジニアです。
これでは、迷惑なWebディレクターだと思われてしまっても仕方がありません。
Webの知識がなさすぎる
Webディレクターの仕事は、未経験でも十分にスタートできます。ある程度パソコン操作ができたり、ネットで情報を検索できれば、勉強をしながらWebディレクターの仕事をすることも不可能ではありません。
しかし、Webの知識がなさすぎると、周りからは使えないWebディレクターだと思われてしまいます。特に、デザイナーやエンジニアへの指示は、Webの知識がなければできません。
HTMLやCSSの知識がない場合、クライアントから指摘をされたけど、どこを修正したらいいのかわからないといった可能性も考えられます。
筆者も1年目の頃はPHPがわからず、正確な指示ができていませんでした。エンジニアから修正完了の連絡を受けたにも関わらず、全く関係ない所を確認してしまい、「直っていない」と何度も押し問答した記憶があります。
今考えれば、プログラムの仕組みを理解していれば、すぐに解決する部分でした。
このように、Webに関する知識をアップデートできないWebディレクターは、いつまで経っても「指示ができないWebディレクター」だと思われてしまいます。
デキるWebディレクターになる方法
使えないWebディレクターではなく、デキる有能なWebディレクターになるためにはどうしたらいいのでしょうか?
使えないWebディレクターの特徴を反面教師にして、気をつけたいことや普段からやっておきたいことを紹介します。実際に筆者も実践してきたことばかりで、今ではWeb制作会社を起業できるまでになりました。
デキるWebディレクターになりたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
嘘をつかない
Webディレクターに限ったことではないかもしれませんが、仕事は誠実に行うことが重要です。自分の発言がプロジェクトを動かしていると自覚して、相手の信頼を失わないような言動を心掛けましょう。
まずは、嘘をつかないよう意識することから始めてみてください。依頼されたことができない時は、素直にできないと伝えても問題ありません。代わりに何をするか考えれば良いですし、これからできるように努力をすることもできます。
しかし、信頼を失ってしまうと、取り戻すためにかなりの時間が必要です。常に誠実な態度を心掛け、嘘をつかないWebディレクターを目指しましょう。
自分の意見を持つ
Webディレクターは常に意見を求められる立場ということを理解し、自分の意見を持つようにします。クライアントから見れば、WebディレクターはWebサイト制作のプロです。
質問や提案を求められた時に答えられるよう、「自分ならどうするか」ということを考えておきましょう。そのためには普段から情報収集を行い、正しいWebの知識を身につけておく必要があります。
誰かの言いなりになるのではなく、自分が聞いたり学んだことを元にして、自分の意見を言えるWebディレクターを目指してみてください。
マネジメント能力を身につける
プロジェクトを円滑に進めるために、マネジメント能力を身につけるようにしましょう。
まずは、プロジェクトを自分で進めるという意識を持って動くことが大切です。ただスケジュールを組むのではなく、トラブルが起こっても対応ができるように、余裕を持ったスケジュールを考えます。
クライアントや制作スタッフと打ち合わせをする時は、意見を聞き出して最適な判断をするのは自分であると意識して会議しましょう。
筆者も、Webディレクターになりたての頃は、打ち合わせで決めたいことが決まらず、プロジェクトが進まないことがありました。
しかし、「自分が意見をまとめよう」と意識するようになってからは、相手の希望を聞きながら最適な案を考えて提案し、決定まで持っていけるようになっています。
スタッフとの会話から得意・不得意を理解する
制作スタッフへの依頼は、相手の得意・不得意を理解するところから始めます。
デザイナーやエンジニアなどの制作スタッフは、全員が同じことができるわけではありません。それぞれが得意な分野があったり、得意な技術を持っていたりします。
それを知っていれば、得意な分野の作業を依頼できるためスムーズな制作が可能です。相手の得意・不得意を理解するために、制作スタッフと会話を欠かさないようにしてみてください。
対面だけでなく、チャットなどのコミュニケーションツールを用いた会話でも問題ありません。そのスタッフが興味を示している内容や作業を依頼した時の反応などで、相手が何に詳しくて得意なのか把握します。
一度のコミュニケーションで全てを知る必要はありません。制作を一緒に進めながら、少しずつ相手を理解できるように普段から会話を欠かさないようにしてみてください。
筆者は、今でもデザイナーやエンジニアの得意分野を知るために、1日1回は連絡を取るようにしています。特に重要な会話でなかったとしても、コミュニケーションを取ることが重要です。
会話が増えることで、自然と持っている知識や情報を教えてくれることが増えたと感じています。
翌日までには何か返事をする
返事が遅いWebディレクターは、進行に遅れが出てしまうWebディレクターです。返事はなるべく早く返すようにします。
しかし、Webディレクターも、常に手が空いているわけではありません。今すぐに返事ができないという場合は、可能な限り翌日までに何らかの返事をするようにしましょう。
例えば、定時まで続く会議中にクライアントから質問のメールが届いたとします。質問を読み込んで、調べてからでなければ返事ができない内容でした。その場合、調べてから返事をするのではなく、会議が終わったら1度返事をしておきましょう。
内容は、「内容を確認して、調査したらお返事します。」といった簡単なもので問題ありません。相手からの質問が届いており、読んでいるという反応を示すことが大切です。可能であれば、いつまでに返事をするかも一緒に送るようにします。
相手が、いつ来るかわからない返事を待つ時間を減らせると同時に、自分の作業タスクにもなるからです。
1日の終わりに、何か返事をしていないメッセージや連絡がないか、確かめる時間を作ってみると、見落としを防ぐことができます。
少しでもわからないことはすぐ調べる癖をつける
Webディレクターが必要になる知識は、自分で勉強するしか身につける方法はありません。
Webツールの最新情報も集めておきたいですし、デザインのトレンドも把握しておくと提案がしやすくなります。必要な知識を身につけるために、まずはすぐに調べる癖をつけてみてください。
デザイナーやエンジニアと会話している時に、何かわからない単語があれば、その場で検索します。その時に時間がなければ、メモをしておいて手が空いた時に調べるようにしましょう。すぐに調べる癖がつけば、情報収集がしやすくなりますし、調べる度に知識を蓄積できます。
筆者はこの方法で、全く触ったことがなかったWordPressでサイトが作れるようになるまで知識が身につきました。疑問に思ったことをすぐに解決することで、Web知識が豊富なデキるWebディレクターになれます。
使えないWebディレクターからデキるWebディレクターになる方法まとめ
使えないWebディレクターだと思われてしまうと、クライアントや制作スタッフからの信頼をなくしてしまいます。プロジェクトを円滑に進められるデキるWebディレクターになるためには、意識を変えることが重要です。
最初は小さなことからでも問題ありません。意識するだけで自然と行動が変わり、Webディレクターとしての能力も向上します。
もし、「自分が使えないWebディレクターだと思われているかも…」と思っている人は、この記事を、これからの行動を変えるきっかけにしてもらえると嬉しいです。