広告代理店は、クライアントの商品やサービスのイメージを広告で表現し、購買促進や集客につなげる仕事です。未経験から広告代理店へ転職となると、少しでも有利になるような資格取得が気になるところです。
そこで本記事は「広告代理店への転職に資格は評価されるのか?そして、どのような資格であれば役に立つのか?」を解説します。
筆者は実際に、未経験でベンチャーと中小企業の広告代理店2社に勤務しました。その中で「事前に少しでも知識をつけていれば」と感じた部分もあり、自身の経験も織り交ぜながら解説していくので、ぜひ参考にしてください。
目次
広告代理店への転職で資格は評価される?
マーケティングに関する資格であれば、未経験で広告代理店への転職をする際に評価されるでしょう。ただ「取得しておかないと入社できない」というほど、重大な評価軸というわけではありません。
どちらかというと、マーケティングに活かせるような経験、またはスキルの有無を重視されます。
資格は自分が持っている知識やスキルを示す証にはなるため、取得しておくと面接時に良い印象を与えられるでしょう。また、実務で役に立つことも大いにあるので、取得しておいて損はありません。
広告代理店への転職で資格取得しているメリット
では、資格取得によって得られるメリットとは、具体的に何があるのでしょうか。3つのメリットをそれぞれ詳しく解説します。
入社後のキャッチアップが早くなる
1つ目は「入社後のキャッチアップが早くなる」という点です。広告代理店の仕事には専門用語や、必要な指標を算出するための計算式などが数多く存在します。覚えてしまえばそこまで難しくないのですが、最初は誰もが苦戦する部分です。
そのため、事前に基本的な知識を習得しておけば、入社後の研修や業務にまつわる情報に対し、スムーズに理解することができます。また、基本的な知識への理解度が高ければ、未経験でも円滑に実務へ入れます。
面接の話のネタになる
2つ目は「面接の話のネタになる」という点です。資格によって難易度はそれぞれですが、マーケティング関連の資格は誰でもすぐに取得できるほど簡単なものではありません。
そのため、面接時に資格取得していると伝えれば「なぜ資格を取得しようと思ったのか、どのように勉強したのか、実際に受けてみて難易度はどうだったか」などを聞かれる可能性が高く、話が広がりやすいでしょう。
広告やマーケティングに興味があることをアピールできる
3つ目は「広告やマーケティングに興味があることをアピールできる」という点です。先述したようにマーケティング関連の資格は、誰でもすぐに取得できるほど簡単なものではないため、ある程度時間をかけて習得しなければなりません。
そのため、実務に携わる前に独学で資格の勉強をして取得したとなると、興味関心のアピールとなるのは間違いありません。また資格のない志望者よりも、興味関心度合いをより強く示せるでしょう。
広告代理店で働く上で役に立つ資格5選
では実際に、広告代理店で働く上で役に立つ資格を5つ紹介します。それぞれの資格の特徴と、取得のメリットを合わせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ)
Googleアナリティクスとは、Web広告の計測を行う際にほとんどの企業が利用するツールで、アクセス状況やユーザー行動を分析することができます。
その習得度を示す検定が「Google アナリティクス個人認定資格(略してGAIQ)」で、具体的には下記のような試験内容です。
資格名 | Google アナリティクス個人認定資格(GAIQ) |
試験内容 | Googleアナリティクスのプランニングと仕組み、導入とデータ収集、設定と管理、コンバージョンとアトリビューション、レポート、指標、ディメンションといった項目に関する問題 |
試験時間 | 90分 |
試験場所 | オンラインで受験可能 |
問題数 | 70問 |
合格基準 | 正解率80%以上(56問以上正解) |
受験費用 | 無料 |
資格有効期限 | 合格後12ヵ月 |
Googleアナリティクスは、現役の広告代理店社員であっても、データ分析の担当者でない限りは少し触れる程度で、十分に使いこなせるほど習熟している人は多くないです。正直、筆者もそこまで詳しくありません。
ただGoogleアナリティクスを利用する頻度は昨今非常に多くなっているため、基礎知識を既に習得しているとなると面接官へ良い印象を与えられ、入社後の実務にも役立つでしょう。
Google広告認定資格
Google広告認定資格とは、Google社が提供する広告サービスの知識やスキルを示す検定です。広告サービスによって資格が存在するため、全部で下記11種類が用意されています。
- Google 広告「検索広告」
- Google 広告ディスプレイ
- Google 広告動画
- ショッピング広告
- Google 広告アプリ
- Google 広告測定
- Google 広告「検索広告」プロフェッショナル
- Google 広告「ディスプレイ広告」プロフェッショナル
- Google 広告動画プロフェッショナル
- Google 広告クリエイティブ
- オフライン販売の促進
また具体的な試験内容は、下記になります。
試験内容 | 各広告の専門知識や、効果的な広告実施に関する問題 |
試験時間 | 75分 |
試験場所 | オンラインで受験可能 |
問題数 | ~50問 |
合格基準 | 正解率80%以上 |
受験費用 | 無料 |
資格有効期限 | 合格後12ヵ月 |
Google広告認定資格は、各資格ごとに検定を受ける必要があり、合格すればその分野での知識やスキルを示すことができます。
Google広告は精度の高いターゲティングのできる媒体として、多くの企業に支持されており、Web広告の代理店はほとんどが運用しています。そのため、Google広告のスキルを証明できる人材を欲しがる代理店は多いでしょう。
Yahoo!広告 認定資格
Googleと同様、検索エンジンでありながら、精度の高いターゲティングのできる広告媒体として有名なのがYahoo!です。
Yahoo!でも、提供する広告サービスの知識やスキルを示す検定が3つ用意されています。
- Yahoo!広告 ベーシック
- Yahoo!広告 検索広告アドバンスト
- Yahoo!広告 ディスプレイ広告アドバンスト
また具体的な試験内容は、下記になります。
試験内容 | 広告の基礎知識や、効果を上げるために必要な機能・運用知識に関する問題 |
試験時間 | 50分 |
試験場所 | オンラインで受験可能 |
問題数 | 40問 |
合格基準 | 80点以上 |
受験費用 | 無料 |
資格有効期限 | 合格後12ヵ月 |
Googleと同様、Yahoo!も多くの企業に指示されている広告媒体のため、検定を取得しておいて損はありません。
また資格を受ける前に「Yahoo!広告 キャンパス」という、Yahoo!が公式で提供する学習コンテンツを受けることもできるため、Yahoo!広告の細かな知識を習得できるでしょう。
ウェブ解析士
ウェブ解析士とは、一般社団法人ウェブ解析士協会が実施している資格です。アクセス解析やデジタルマーケティングの基礎知識を示す資格となっています。
具体的には下記のような試験内容です。
資格名 | ウェブ解析士 |
試験内容 | アクセス解析をはじめとした、ウェブ解析データ・デジタルマーケティング活用に関する問題 |
試験時間 | 120分 |
試験場所 | オンラインで受験可能 |
問題数 | 50問 |
合格基準 | 非公開 |
受験費用 | 17,600円(税込) |
資格有効期限 | 毎年12月まで。資格維持には「フォローアップテストへの合格」「年会費の支払」の2つの条件を満たす必要がある |
ウェブ解析士の資格は「ウェブ解析士・上級ウェブ解析士・ウェブ解析士マスター」と3段階に難易度分かれており、上位資格へ進むには前段階の資格取得が必須となります。
マーケティングだけでなく、Web上で取得できるデータをビジネスに活用する知識をつけることができます。そのため、事業のデジタル活用手法を網羅的に習得することが可能です。さらに、取得後は有資格者として働けるというメリットもあります。
統計検定
統計検定とは、データサイエンスとも呼ばれる統計学に基づいた知識や活用方法を示す資格です。データを客観的に判断し、数的思考により多角的に分析する力を証明できます。
統計検定は10区分に分けられており、レベルによって級数が異なります。実務で活用できるレベルと言われている「2級」の試験内容は下記です。
資格名 | 統計検定2級 |
試験内容 | 大学基礎課程で習得する統計の知識と、活用に関する問題 |
試験時間 | 90分 |
試験場所 | 株式会社オデッセイ コミュニケーションズのサイトに記載のある地域の試験会場で受験 |
問題数 | 35問程度 |
合格基準 | 60点以上 |
受験費用 | 一般価格 7,000円学割価格 5,000円 |
資格有効期限 | 非公開 |
広告代理店は、ありとあらゆるデータを収集・分析し、商品やサービスをより多くのユーザーに届けるのが仕事です。そのため、正しくデータを活用する知識は重宝されます。
文系出身者の場合、大学で学習していない「数学的データ解析法」を身に着けられるため、面接等でアピールポイントとなるでしょう。
内容のまとめ
本記事では「広告代理店への転職に資格は評価されるのか?そして、どのような資格であれば役に立つのか?」を解説しました。
未経験で転職する場合「少しでも自信や優位性を持ちたい」と考えるのは自然なことだと思います。ただ、闇雲に資格取得をするよりも、昨今の広告代理店状況を加味したうえで取得資格を選べば、より意味のあるものとなるでしょう。
この記事が、広告代理店への転職を目指す方々にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。