広告代理店の仕事がきつい5つの理由と対処法【代理店経験者が語る】


商品やサービスのイメージを形にし、消費者に届ける「広告代理店」。華やかなイメージがありつつ、一方で「仕事がきつい」という噂も多いです。転職や就職を検討している方は、実情を知りたいとお思いではないでしょうか。

そこで本記事では「広告代理店の仕事がきつい5つの理由と対処法」を解説します。

筆者は実際に、未経験でベンチャーと中小企業の広告代理店2社で勤務し、様々な業務を経験しました。正直、きついと感じることも多くありましたが、それ以上に広告代理店の仕事内容は魅力的なものだと考えています。

実体験を元に、詳しく解説していくので、転職や就職を考えている方はぜひ参考にしてください。

広告代理店の仕事がきつい5つの理由

まず最初に、広告代理店の仕事がきついと言われる理由を、5つに分けて解説します。

業務過多による過密スケジュール

1つ目は「業務過多によって過密スケジュールになりやすい」という点です。広告代理店は、最低でも一人当たり大体5〜10社程のクライアントを対応しながら、広告の分析や改善策立案、社内外に提出する資料作成など、複数の業務を並行して進めます

また、広告代理店はクライアントから予算をもらい、代理で広告を運用するのが仕事です。クライアントが広告代理店側のスケジュールを配慮することはほとんど無いので、無茶な納期設定も非常に多いです。

クライアントは、代理店にとってお客様であり依頼主のため、厳しい納期設定に対応せざるをえません。通常の業務に加えて、クライアント都合で追加されるタスクも多く、過密スケジュールになりやすいでしょう。

ほとんどの仕事がクライアント主導

2つ目は「ほとんどの仕事がクライアント主導」という点です。先述したように、広告代理店の仕事はクライアントありきで成り立っています。クライアントは、代理店にとってお客様であり依頼主なので、クライアントから仕事をもらえないと売上は立ちません。

どんな仕事でも言えますが、クライアント(お客様)が立場として上になるため、主導権を握られる場合が多いです。クライアントの指示や納期を守ることはもちろん、期待されている成果を出せないと、代理店は契約を切られかねません。

クライアントの都合や状況、もっと言うとクライアントの担当者によっても、求める内容が大きく左右されます。正直に伝えると、クライアントに振り回されることは多く、業務の内容やスケジュール感も影響されやすいです。

プライベートと仕事の境目が曖昧になる

3つ目は「プライベートと仕事の境目が曖昧になる」という点です。出稿した広告(Web広告の場合)は、定時や休日に関係無く配信されます。そのため夜間や土日、大型連休問わずに数値に異常がないか、トラブルが起きてないかの確認対応をする場合も多いです。

また先述したように、ほとんどの仕事がクライアント主導のため、定時や休日に関係なく、仕事の連絡が来ることも珍しくありません。

具体的には「○○商品の広告を出稿しているA媒体の予算を調整してほしい」とか「モデルの○○さんは×日で契約が終了するため、全クリエイティブを停止してほしい」などです。

このように、定時や休日関係なくPCを開く場面が多いので、プライベートと仕事の境目が曖昧になりやすいでしょう。

数値=成果というプレッシャー

4つ目は「数値=成果というプレッシャーがある」という点です。広告代理店の醍醐味でもあり、他の仕事でも該当しますが「数値=成果」であり、評価の軸となります。

そのため給料やボーナス、昇格などにも影響しますし、成果を出せなければチームや自社内で割り振られる仕事が無くなっていくでしょう。

もっと言えば、クライアントは自社の利益拡大のために広告代理店を利用するので、成果や実績が伴わない状況が続けば、簡単に切られてしまいます

会社の売上と自身の評価を獲得するためにも、数値というプレッシャーに耐え、業務を遂行しなければなりません。

マルチタスクによる疲労が大きい

最後は「マルチタスクによる疲労が大きい」という点です。先述したように、広告代理店は最低でも一人当たり5~10社のクライアントを対応しつつ、広告運用業務、社内外に提出する資料作成など、日々マルチタスクをこなす必要があります

それだけでなく、クライアントから突発的な依頼が入ったり、MTGが急に発生することも。そうなると、ただでさえ過密なスケジュールに拍車がかかり、様々な業務を同時進行しなければ間に合わないという状況に陥り、心身ともに疲労を感じることが多いでしょう。

広告代理店の仕事がきつくても続ける魅力

次に「広告代理店の仕事がきつくても続ける魅力」を紹介します。広告代理店の仕事は、正直きついことが多いですが、それ以上に魅力的だと感じてもらえると嬉しいです。実体験を元に、大きく3つに分けて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

他の仕事でも活かせる対応力がつく

まず1つ目は「他の仕事でも活かせる対応力がつく」という点です。

先述したように、広告代理店のスケジュールは過密でありながら、クライアント主導で仕事が増えることも多々あります。突発的な依頼やスケジュール変更に臨機応変に対応しなければ、業務を円滑に回せなくなってしまうため、対応力はかなり鍛えられるでしょう。

筆者も広告代理店に勤務して、初めてクライアントワーク(お客様から依頼された仕事)をすることになり、正直かなり振り回され、とても戸惑った経験があります。慌ただしく毎日業務をこなすことしかできなかったので、ミスもたくさんしました

最初は苦労しましたが、日々業務をこなしていくと、対応力はどんどん培われていき、次第に突発的な依頼や、スケジュール変更も問題なくこなせるようになりました。このように、臨機応変に対応する力は、どんな仕事でも活かせる武器だと筆者は考えています。

成果が給料に反映されやすい

2つ目は「成果が給料に反映されやすい」という点です。企業にもよりますが、数値=成果であるからこそ、成果を出せば給料に影響するという場合が多いです。

筆者が勤めたベンチャーと中小企業には共に、インセンティブの給与体制がありました。毎月、数値目標として売上目標が掲げられ、達成すると分かりやすく「お金」で自分に返ってくるため、達成感を感じるとともにとても嬉しかったです。

ちなみに筆者の場合は、目標達成をした月はベースの給料に加えて10%のインセンティブ報酬、目標数値+50%を達成した月は20%のインセンティブ報酬という形でした。先輩で大きく成果を出している人は、ベースの給料の倍貰ってる人もいました。

他の職業でも、成果によって給料が上下することはあると思います。ただ大手・中小・ベンチャー問わず、広告代理店は成果至上主義である場合が多いです。代理店にもよりますが、新卒や中途、学歴などに関係なく、努力と成果次第でお金が稼げる業種だと筆者は思います。

自分のアイデアが数値で返ってくる

3つ目は「自分のアイデアが数値で返ってくる」という点です。広告代理店は、クライアントが企画・開発した商品やサービスを、代理でユーザーにアピールし、興味関心を持たせ、最終的な成果(購入や問い合わせなど)に繋げる仕事です。

そのため、ユーザーにどうアピールし、成果に繋げるのか試行錯誤する必要があります。施策実行後は、何%のユーザーが反応し成果に繋がったのか、分析し改善するというこの過程が、広告代理店の主軸となる業務です。

1つの画像やテキストによって、広告の効果は全くと言っていいほど変わります。筆者も初めて入社したベンチャーの広告代理店で「画像を1つだけ入稿してみて」と言われ、試したところ、次の日にはその広告で2倍以上商品が売れていたこともあります。

このように、自分のアイデアが数値で即座に返ってくることと、成果が目に見えるという点も広告代理店の魅力と言えるでしょう。

広告代理店の仕事がきつい・辞めたいと思った時の対処法

ここまで、広告代理店の仕事がきついと言われる理由と、それでも続ける魅力を紹介しました。しかし、激務かつ過密スケジュールが多い広告代理店は「きつい・やめたい」と思うこともあるでしょう

そこで次に「広告代理店の仕事がきつい・辞めたいと思った時の対処法」を紹介します。筆者の実体験を元にお伝えするので、少しでも参考になったら幸いです。

心身共に疲弊しているときは休暇をとる

1つ目は「心身共に疲弊しているときは休暇をとる」という対処法です。この方法は正直、賛否両論分かれると思います。

ただ筆者は、体調不良で休職する同僚や先輩も多く見てきましたし、筆者自身も「ご飯も食べずに寝る直前まで仕事!」という状況が続き、眠れない・食べれないという状況になりかけたこともあります。そうなる前に、有給休暇でも病欠でも良いので、休むべきです。

広告代理店の仕事は、業務も多いうえにプレッシャーも大きいです。ただ、身体を壊してしまったら元も子もないので、しっかり休息を取りましょう。もし体調不良で休暇をとって、上司に何か言われるのであれば、退職していいと思います。

百歩譲って、クライアントに何か言われる分には仕方がないです。けれど、自社で何か言われることがあるのであれば、長く在籍しても良いことはないと思います。身体に何かあっても会社は守ってくれないので、心身共に疲弊しているときは、必ず休暇を取りましょう。

「たかが仕事されど仕事」というマインドを持つ

2つ目は「たかが仕事されど仕事」というマインドを持つという対処法です。中小企業の広告代理店に勤めていた時に、当時の社長がかけてくれた言葉で、筆者の心にとても刺さり、大変印象に残っています。

具体的には「仕事はもちろん大切だが、たかが仕事にそこまで絶望する必要は無い。」と伝えてくれたのです。当時筆者は、食べず眠らず、成果を出すためがむしゃらに業務を進めており、結果的に業務の質まで下がっていました。

社長にそのように言ってもらってから、筆者としても「もう少し肩の力を抜いて取り組もう」と思え、視野が広くなり、がむしゃらにこなしていた時よりも円滑に進められるようになりました。

もし現在「きつい・辞めたい」と感じているのであれば、「たかが仕事」と考えて、肩の力を抜いてみてください。

休日は自分の好きなことに没頭する

最後は「休日は自分の好きなことに没頭する」という対処法です。広告代理店は、定時も休日も関係なく仕事の連絡が来ることが多いですが、休みなら連絡が遅れても配慮してくれるクライアントも多いです。

休日は自分の好きなことに没頭し、ストレスを解消しましょう。土日や祝日、大型連休まで、平日と同じようにPCに張り付く必要はありません。もし、休日に構わず「必ず○時間は広告の運用をしろ!」などと言われるのなら、こちらも退職をおすすめします。

広告代理店の仕事は、論理的な思考と、クリエイティブな視点が必要です。そのため、ずっとPCに張り付いていても、良いアイデアが出たり、成果に繋げられる施策がでるとは思えません。休日にはしっかり息抜きをして、平日に質のいい仕事をするのも大切です。

内容のまとめ

いかがでしたでしょうか?本記事では「広告代理店の仕事がきつい5つの理由と対処法」を解説しました。

広告代理店の仕事は、正直きつい場合が多いです。ただ筆者は、広告代理店に勤めて様々なスキルを身に着けられ、今までの仕事では感じたことのない達成感を得ることができました。未経験で広告代理店業に飛び込み、本当に良かったと感じています。

しかし身体や心が壊れてしまったら、元も子もないので「きつい・辞めたい」と感じたのなら、必ず休息をとることを意識してください

この記事が、広告代理店への転職や就職を考える方々にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。