SNSマーケティングはもはやバズワードになり、色んな場面で聞くことが多いです。
けれど、SNSごとの特徴や手法を網羅的に理解し、どんな場面でどのSNSを使ったマーケティングを実施すればいいのか説明できる人は少ないのではないでしょうか。
本記事では、SNSマーケティングとは何か?から始まり、SNSごとの特徴やSNSを使ったマーケティング手法のメリット・デメリットを詳しく解説していきます。
こんな課題感がある方におすすめの内容です
・SNSマーケティングが何のことを指しているのか分からない
・自社でSNSマーケティングを取り入れたいが、どのSNSにすればいいか判断つかない
・SNSマーケティングにはどんな手法があるのか知りたい
目次
SNSマーケティングとは何か?
SNSマーケティングとは、有名SNS(Twitter、YouTubeなど)を使って企業の商品やサービスの販促活動を行うことです。
SNSマーケティングの手法によって、顧客のエンゲージメント向上、商品の認知度の向上、ファンの獲得、のように短期的な目標は異なりますが、最終的なゴールは売上に繋げることです。
いくらSNSマーケティングに取り組んでいても、それが売上に繋がらなければ意味がありません。売上に繋がっていなければ、コストだけが膨らんでしまうため、持続性がなく途中で断念してしまうでしょう。
SNSマーケティングはWebマーケティング領域の一部
マーケティング領域全体で見た時に、SNSマーケティングはWebマーケティング施策の一部です。
マーケティングにはProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)の頭文字を取った4Pというフレームワークがあります。
このフレームワークに当てはめて考えると、Promotion(販促)の中のデジタル施策がWebマーケティングです。そして、Webマーケティングの中のSNS施策がSNSマーケティングということになります。
個人がSNSマーケティングでビジネスをすることもできる
SNSマーケティングがマーケティング全体から見ると局所的になるとはいえ、SNSの影響力は日を追うごとに大きくなっているため、SNSマーケティングだけでビジネスを成り立たせることも可能です。
インフルエンサーなどはその代表例でしょう。YouTuberやインスタグラマーはフォロワーを集めて、広告収入や他人の商品を販売することでお金を稼ぐことができます。
企業のマーケティング活動にSNSは欠かせない
企業は売上を上げるために自社の商品をより多くの人に知ってもらう必要があります。ビジネスを行う以上、商品をユーザーに認知してもらう活動はいつの時代にも不可欠です。しかし、ユーザーへの伝え方は時代を経るごとに大きく変わってきました。
インターネット登場以前は、4マスと呼ばれるテレビ、新聞、ラジオ、雑誌が中心でしたが、インターネットの登場により、人々の情報収集手段やコミュニケーション手段はインターネット上に移行しています。
そして、そのインターネットの中心にあるのがSNSです。令和2年(2020年)版通信利用動向調査によると、国内のSNS利用率は2019年に69%となっており、人口の約7割が使うメディアになっています。
20代・30代の利用率は80%を超え、60代でも2人に1人がSNSを利用する時代です。
また、単なるエンタメとしての利用にと止まらず、多くの人がコミュニケーションや情報収集をSNSに求めています。
これらの数値を見ても分かる通り、SNSは一大マスメディア化しており、マーケティング活動にSNSを取り入れない理由はありません。
マーケティングに取り入れるべき代表的なSNS
SNSと一言でまとめても、大小様々なSNSが存在します。中でもマーケティング活動に積極的に取り入れるべき代表的な5つのSNSの特徴をまとめました。
Facebookは世界で約28億人(2021年1月時点)に利用されており、最もユーザー数の多いSNSです。実名で登録する必要があるため、信頼性の高いつながりを生むことができるのが特徴です。
数字で見るFacebook
Facebookの特徴まとめ
- 世界で見るとずば抜けてユーザー数の多いSNS(日本はそこまで多くない)
- 2015年以降、日本国内のユーザー数の伸びは停滞している
- 実名登録制なため、年齢、性別、居住地、趣味趣向など高いターゲティング精度で広告配信ができる
- 日本では若年層よりも30代から50代のユーザー比率が多いため、年齢層が高めのターゲティングやビジネスマン向けの広告配信に向いている
- Facebookグループ機能を使うことで、ユーザー同士の濃いコミュニティを形成することができる
写真や動画などビジュアルメインでつながるSNSです。インスタグラムに綺麗な写真を掲載する「インスタ映え」という言葉が生まれるほど、爆発的な人気を得ています。
数字で見るInstagram
Instagramの特徴まとめ
- 画像や動画などビジュアルの投稿に特化したSNS
- InstagramはFacebook社の傘下にあるため密に連携しており、Facebookの高いターゲティング精度を利用することができる
- 女性ユーザーの割合は57%と女性に偏っている訳ではない
- 10代、20代の6割以上が利用しており、若年層が中心のSNS。年齢が上がるごとに利用率は下がっていく
- ストーリーズ、LIVE配信、リールなど若年層に好まれる機能を積極的に導入している
- Instagramを使っている人の70%がInstagramストーリーズを利用している
- 日本の利用者のハッシュタグ検索回数はグローバル平均の3倍と情報収集を積極的に行なっていることが分かる
1投稿あたり140文字以内で気軽につぶやくことができるSNSです。若年層を中心に利用されており、他のSNSに比べてリツイートによる拡散性があることが大きな特徴です。
数字で見るTwitter
Twitterの特徴まとめ
- 140文字以内のテキスト投稿で繋がるSNS
- 国内の利用率は2012年以降、緩やかに伸び続けている
- 投稿をシェアできるリツイート機能により爆発性な拡散が見込めるため、フォロー&リツイートを必須としたTwitterキャンペーンを多くの企業が取り入れている
- 世の中で起こっているトレンドをリアルタイムにキャッチアップできる
- 10代、20代の約7割が利用しており若年層を中心に、30代、40代の利用率も高い
- Twitterの利用目的は「暇つぶし」「趣味・好きなことの情報収集」が最も多く、エンタメとして利用されていることが分かる
LINE
LINEは今回紹介するSNSの中で唯一国産で、日本国内で最も利用されているSNSです。全ての世代から圧倒的な支持を受けており、もはやコミュニケーション手段としてなくてはならないインフラになっています。
数字で見るLINE
LINEの特徴まとめ
- 国内月間アクティブユーザー数8800万人(人口カバー率約70%)でSNSの中で最も利用者数が多い
- 1対1のコミュニケーション手段としての利用がメイン
- 10代から50代まで85%以上が利用しており、幅広い年齢層に広がっている
- 2012年以降、LINEの利用率は右肩上がりで上昇している
- 他のSNSと比較してもLINEだけを利用している人が約4割おり、ずば抜けたリーチ力を誇っている
- LINEの企業向けサービスとしては広告以外にも、公式アカウントやスタンプなど幅広いラインナップを揃えている
YouTube
動画配信のプラットフォームとして世界最大のSNSです。多くのチャンネル登録者を抱えるYouTuberはインフルエンサーとして大きな影響力を持ちます。若年層ではテレビよりもYouTubeを見るという人も増えています。
数字で見るYouTube
YouTubeの特徴まとめ
- 動画配信市場で圧倒的なシェアを誇っている
- 国内の月間アクティブユーザーは6500万人で、日本人の2人に1人が使っている
- 10代から50代までの利用率が75%以上と幅広い年代に浸透している
- 動画の投稿率は4.8%で、年代が上がるごとに投稿率は下がっていく。また女性よりも男性の方が投稿率が高い
- チャンネル登録者数100万越えのYouTuberは240名以上
- YouTubeをテレビで視聴する人は1500万人にも上る
TikTok
音楽に合わせてダンス等の動画をシェアするSNSです。特に高校生など10代から圧倒的な支持を受けています。YouTubeとは異なり1分以内の短尺動画が基本となるため、コンテンツの消費量が速いことが特徴です。
数字で見るTikTok
TikTok特徴まとめ
- 15秒から60秒のショートムービーを音楽にのせて投稿するSNS
- 国内の月間アクティブユーザー数は約1000万人で、人口に占める利用率は約7.6%
- 10代から圧倒的な支持を得ており、利用率は約50%にも上る。一方で、40代以上になると1桁%まで低下する
- タイムライン機能がメインで、動画を探さなくても最適な動画がおすすめに表示される
SNSを使ったマーケティング手法
代表的なSNSの特徴について理解できたところで、SNSマーケティングの具体的な手法について触れていきます。今回は4つの手法に分類して説明します。
SNSアカウント運用
企業がSNS公式アカウントを開設して情報発信を行う手法です。認知を獲得して販促活動に繋げることを目的としたり、既存ユーザーとの接点を持つことでエンゲージメントを高めることを目的に実施します。
どのSNSを活用すべきかは目的によって異なります。
双方向のコミュニケーションを実現したい場合はTwitterがおすすめです。カスタマーサポート的な1対1での対話を優先したい場合はLINEがいいでしょう。
また、YouTubeやInstagramなどは過去に投稿したコンテンツが時間が経ってもユーザーに見られるため、コンテンツが資産として積み上がっていきます。ユーザーがコンテンツを回遊することで商品へ興味をもってもらい、購入に繋げることができます。
一方で、デメリットもあります。SNSアカウントの運用はフォロワーを獲得するまでに時間がかかるため即効性がある施策ではありません。一定のフォロワー数を獲得するまでに人件費などのコストだけが発生してしまいます。
活用できるSNS
Facebook、Instagram、Twitter、LINE、YouTube、TikTok
こんな企業におすすめ
- 広告費を使わずに新規顧客獲得できるチャネルを開拓したい
- 自社や自社商品のファンを増やしたい
- 自社商品のことをもっと知ってもらって顧客育成をしたい
目標指標
- フォロワー数
- エンゲージメント率(Twitter/Instagramのいいね率、YouTubeの高評価率など)
- 公式SNSアカウント経由の新規顧客獲得数
SNS広告
各SNSで広告を配信する手法です。Facebookのタイムラインに掲載できる広告や、Instagramのストーリーに掲載できる広告、YouTubeの動画内広告など、SNSごとで様々な形式の広告枠が提供されています。
SNS広告最大の強みは、ターゲティングができることです。年齢、場所、性別、趣味趣向などで自社の商品のターゲットユーザーに絞り込んで広告を配信することで、高い効果を望めます。
実名登録制のFacebook広告がSNS広告の中で最もターゲティング精度が高いため、ユーザー属性が合う場合はFacebookからチャレンジすることをおすすめします。
また、LINEやYouTubeは日本人口の過半数が利用していることからも、アプローチできるユーザー数も十分に担保できます。
SNS広告はそれぞれの媒体で提供されている無料の広告配信ツールを使うことで、自分たちで広告出稿の申込から配信までに設定を完了することができるため、好きなタイミングで配信できます。
活用できるSNS
Facebook、Instagram、Twitter、LINE、YouTube、TikTok
こんな企業におすすめ
- 広告予算があり、今すぐ顧客獲得を強化したい
- テレビなどのマス広告はターゲティングができないため、ターゲティングができる媒体で広告を配信したい
- 自社商品のターゲットの多くがSNSを使っている
目標指標
- 広告での顧客獲得単価(CPA)
- 広告でのクリック単価(CPC)
インフルエンサーマーケティング
各SNSでフォロワーを抱えるインフルエンサーを起用してプロモーションを行う手法です。企業が直接広告を配信をするのに比べて、第三者が商品をPRしてくれることが特徴です。この手法には当然インフルエンサーに支払う広告費が必要になります。
また、インフルエンサーが抱えるファンに対して高い訴求力でPRができるため、商品のターゲット層とインフルエンサーが抱えるフォロワー層が一致する場合は強力な集客チャネルになり得ます。
どのSNSのインフルエンサーを起用すべきか迷っている場合は、まずSNSで広告を配信してみて、効果の高かった媒体のインフルエンサーを起用することで成功確率を上げられるでしょう。
活用できるSNS
Twitter、Instagram、YouTube、TikTok
こんな企業におすすめ
- 特定のインフルエンサーが抱えるファンに商品を告知したい
- SNS広告を一通りやり切って、新規広告チャネルを探している
- 強力な第三者に発信してもらって商品の信頼性を高めたい
目標指標
- YouTubeやTwitter投稿のリーチ数
- YouTubeやTwitter投稿内に掲載している商品サイトのクリック率
- インフルエンサーのPR経由の商品サイト流入数
SNSキャンペーン
SNSキャンペーンは、SNS上で行うユーザー参加型の企画で、ユーザーに何かしらのアクションを起こしてもらう代わりにプレゼントや特典を提供する形式が一般的です。ユーザーに受け入れられて上手く拡散が起これば、広告費を抑えながら認知拡大効果を見込めます。
例えば、こちらはサントリー食品インターナショナル株式会社がペプシジャパンコーラをPRするために、2020年に実施したTwitterキャンペーンです。プロサッカー選手の本田圭佑さんとじゃんけんをして勝てば、ペプシコーラの無料クーポンがもらえるといった内容です。
ゲーム性の強い企画で、じゃんけんに勝った負けたといった結果をユーザーが投稿することでキャンペーンが拡散され、「平成最後のバズ」と言われるほどの大きな話題を呼びました。また、キャンペーンに参加するためには、公式アカウントのフォローが条件となっているため、フォロワーの増加にも繋がっています。
こちらはIKEAがInstagramで実施した写真募集キャンペーンです。ユーザーはIKEAの家具や雑貨と一緒に写真を撮影して、ハッシュタグ付きで投稿するといった内容です。優秀作品にはプレゼントが贈られたり、IKEAの公式ページでの紹介やInstagramでのリポストといった特典が与えられます。
活用できるSNS
Twitter、Instagram、TikTok
こんな企業におすすめ
- SNSでの拡散を使って認知拡大を狙いたい
- 商品のポジティブな口コミを増やしたい
目標指標
- リツイート数
- ハッシュタグ投稿数
- SNSキャンペーン経由の商品サイト流入数
SNSマーケティングを始めるまでのステップ
最後に、SNSマーケティングをこれから始めたいという方に向けて、開始するまでの考え方を説明します。
ステップ1:目標を決める
まず最初にSNSマーケティングを実施する目的を明確にします。目的を決めずに見切り発車でスタートしてしまうと、軸がなく企画の一貫性がなくなる可能性が高まるので、必ず最初に目的を言語化しましょう。
例えば、下記のような形です。一言で説明できれば大丈夫です。
- 若年層の新規顧客の獲得
- リピート顧客を増やす
- 認知の拡大
- 求人エントリーを増やす
ステップ2:ターゲットを決める
SNSマーケティングを誰に向けて実施するのかを明確にします。ここも目的と同様に、最初の段階で言語化しないと軸がなくなってしまい企画の一貫性に欠けてしまいます。ターゲットが明確になれば、どのSNSを使ってどの手法で施策を実施すべきかも自ずと明確になります。
ターゲットを決める上でのポイントはターゲットとして想定する1人を徹底的に深掘って考えることです。具体的に定義できればできるほど、企画の精度も上がります。
例えば、下記のような項目を定めるといいでしょう。
・年齢
・性別
・居住地
・勤め先企業
・役職
・年収
・抱えている課題
・SNSを使っている時間帯
など
ステップ3:使用するSNSとプロモーション手法を決める
次に、使用するSNSの種類と手法の組み合わせを決めます。
ステップ1とステップ2で定めた目的とターゲットから逆算すれば自然とベストな組み合わせを選定できるはずです。
ステップ4:企画をつくる
1~3で決めた内容を踏まえて企画を作ります。具体的な企画の作り込み方は、手法によって異なるのでここでは触れませんが、ステップ2で設定したターゲットが抱えている課題が何か?をまずは言語化しましょう。
ターゲットが抱えている課題を解決したり、ターゲットが望むコンテンツや訴求を作っていきます。
例えば、本メディア「Z MARKETING」のターゲットはマーケティング未経験者や駆け出しのマーケターです。彼らは、マーケティングの専門知識が分からず業務を進められないという課題を抱えているため、マーケティングに関する知識やノウハウを初心者向けに解説して発信しています。
ステップ5:定量目標と検証期間を決める
企画の実施に入る前に、施策の定量目標と検証期間を定めます。定量目標と検証期間を定める理由は、撤退基準を明確にするためです。企業活動として取り組むのであれば、成果が出ていないのにズルズルと継続するべきではありません。
よって、最初にざっくりとでも構わないので目標を定めることで、当初の期待値とのズレがどのくらい発生しているかを後から確認することができます。
下記のような形でできるだけ具体的に設定することがポイントです。
- 3ヶ月後にSNSアカウントのフォロワー数を1000人にする
- 50万円の広告費を使って、CPA1万円以内で獲得する
- 自社商品に関するユーザーの投稿を1ヶ月で100件以上獲得する
SNSマーケティングが学べるおすすめの本
最後に、本記事以外でもSNSマーケティングを詳しく学びたいという方向けにおすすめのSNSマーケティング本をご紹介しておきます。
デジタル時代の基礎知識『SNSマーケティング』
SNSマーケティングの基本知識が体系的にまとまっており、まず最初に手に取りたい1冊です。
SNSを活用することの重要性に加えて、SNSマーケティングを実施する上での目標の決め方、コンテンツの作成方法、運用方法まで実践に活きるノウハウを学ぶことができます。
僕らはSNSでモノを買う
本書ではSNSマーケティングに取り組むべき理由と、どのようにSNSを活用すればユーザーの購買に繋がるかを解説しています。また、SNSを使って施策を打つ際に押さえておくべきポイントを幅広く学ぶことができます。
対話形式でストーリーが進んでいくので、初心者にも読み易い1冊です。
1億人のSNSマーケティング バズを生み出す最強メソッド
SNSマーケティングの本質論から、戦略作り、具体的な施策まで、理論と実践論を両方学ぶことができます。本記事でも取り上げた主要SNSごとの最新の活用法についても詳しく解説されていることも特徴です。
本書も図やイラストを豊富に使って解説されているので、非常に内容が分かりやすいです。
内容のまとめ
- SNSマーケティングは、TwitterやYouTubeなど主要SNSを使って企業の商品やサービスの販促活動を行うこと
- マーケティングにおけるプロモーションの中のデジタル施策がWebマーケティングであり、Webマーケティングの中のSNS施策がSNSマーケティング
- 2019年時点で人口の約7割がSNSを使用しており、企業のマーケティング活動においてSNSは欠かせないチャネルとなっている
- マーケティング活動に取り入れるべきSNSは、Facebook、Twitter、Instagram、LINE、YouTube、TikTok
- SNSマーケティングの手法には、SNSアカウント運用、SNS広告、インフルエンサーマーケティング、SNSキャンペーンなどがあり、自社のマーケティング課題から逆算してベストな手法を選ぶべき