華やかなイメージとあわせて、激務・ブラックのイメージも強い「広告代理店」。インターネットでも「やめとけ」「ブラック」という検索ワードが頻出していて、転職や就職を検討している方は、不安が募るかと思います。
そこで本記事は「広告代理店はブラックだからやめとけと言われる理由」を解説します。
筆者は実際、ベンチャーと中小企業の広告代理店2社に勤務し、正直、一般的にブラックと呼ばれるような労働環境も経験しました。ただ、広告代理店で得たものは大きく、働いて良かったと強く感じています。
実体験を元に詳しく解説していくので、転職をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
広告代理店がブラックと言われる理由
まず最初に、広告代理店がブラックと言われる理由に関して、5つに分けて解説していきます。
残業や休日出勤が多い
1つ目は「残業や休日出勤が多い」という点です。広告代理店はクライアントから広告予算をもらい、代理で出稿することが仕事のため、納期通り仕事を進めることが何よりも重要です。
最低でも一人当たり5~10社以上のクライアントを担当しますが、クライアントからすると、代理店側のスケジュール事情なんて知ったことではありません。よって、厳しい納期設定がほとんどとなり、勤務時間内に終わらない業務量になります。
また、出稿した広告は、定時や休日に関係なく配信されるため、数値に異常がないか、トラブルが起きていないかの確認対応が必要となり、残業や休日を返上して働かざる負えないということも多々あるでしょう。
クライアントに手綱がある
先述したように、広告代理店はクライアントから仕事をもらうことが前提です。自社にとってお客様であり、依頼主にあたるのがクライアントで、ほとんどの代理店がクライアントに仕事全般の手綱を握られています。
そのため、時間や曜日に関係なく、急な対応や変更依頼が来ることも珍しくなく、クライアントに振り回されてしまうことが多いです。
数値 = 結果であり、昇格や給料に影響
広告代理店の醍醐味でもあり、他の職業でも当てはまりますが「数値=結果」として捉えられ、昇格や給料、ボーナスなどに反映されます。
業績が分かりやすく目に見えるため「いい結果を残さねばならない」という義務感が大きいとともに、プレッシャーを感じることも多いでしょう。さらに、出世している同僚や後輩などと給料や待遇面の比較がしやすく、心労が多いこともあげられます。
業務過多
広告代理店は、クライアント対応から、広告の運用や分析と改善、あわせて社内社外に提出する資料作成など、1人が抱える業務量が多いです。さらに、昇格して役職がつくと、部下の教育や管理なども発生するため、実績や勤続年数が伸びていくほど業務量が多くなります。
ベンチャーや中小企業は特に、クライアントの移り変わりが激しく、注力する案件の変更も多いです。そのため、年間を通して業務過多状態に陥りやすいと言えるでしょう。
退職や人事異動が頻繁
広告代理店の業務に限界を感じ、退職が頻繁に起こるのも事実です。数ヶ月という短い期間で退職してしまう人もいれば、何年か勤続していたけれど、体調を壊してしまい退職したり、休職するという人もいます。
また、会社の方針だけでなく、クライアントの業績が影響し、急な人事異動になることも多いです。今後、広告予算の拡大が見込まれるクライアントが出現した場合、上司から「来月から○○チームに異動してもらうから、引継ぎしておいて」などと言われることも、多々あります。
このように、退職や人事異動が頻繁に起こり得るため、業務がひっ迫した状況に拍車がかかり、先述したような「残業や休日出勤」「業務過多」から抜け出せなくなってしまうと言えるでしょう。
経験者が語る、本当に体験したブラックエピソード
次に、筆者が実際に体験した「ブラックエピソード」を紹介します。参考までに確認してください。
気づいたら明け方4時…。
筆者の2社目に勤めていた中小企業の広告代理店は、週末2~3時間に渡る「今週の振り返りと、来週いくら売り上げを生み出すか」をマネージャーに発表する週次MTGというものが存在していました。
昇格時に2人の部下を持ち、部下の資料や発表内容の確認業務が入ったことと、筆者自身のクライアント対応や広告運用業務なども重なり、慣れるまでは木~金曜日にかけて、明け方4時頃まで仕事をさばいていました。
当時、筆者は初めて部下を持ったため、どのような教育やサポートをすればいいのか分からず、ガムシャラにこなすことしかできなかったという点が、大きな原因だと考えています。
出勤前・定時後、休日問わずに、電話やチャット
筆者が勤務当時担当していたクライアント数は10社前後で、そこまで多くは無かったのですが、出勤前・定時後、休日問わずに、電話やチャットが来ることは日常茶飯事でした。
特にWeb広告は、商材にもよりますが、インターネットの使用時間が伸びる大型連休が稼ぎ時と言われています。そのため、年末年始やGW休暇の初日・2日目あたりは、クライアントから連絡が来ることも多かったです。
クライアントは、少なくとも何十~何百万というお金をかけて広告を依頼しているので「自社の商品やサービスの売り上げが伸びるタイミングを逃したくない」という気持ちをヒシヒシと感じていました。
広告代理店で働いて良かったこと
ここまで、広告代理店がブラックと言われる要素と、実際のブラックエピソードを紹介しました。さらに不安が募ってしまった方もいるかもしれませんが、筆者は広告代理店で働くことで、得たものはとても大きかったと感じています。
以下で「広告代理店で働いてよかったこと」を具体的に3つに分けて説明します。ぜひ、参考にしてください。
瞬発的な対応力がついた
まず1つ目は「瞬発的な対応力がついた」ことです。広告代理店は、1人が抱える業務量が多く、クライアントから突発的な依頼を受けることも多々あります。そのため、瞬時に反応し、対応する力を持ち合わせないと、どんどんと自分の首を締めていくことになります。
筆者は広告代理店に入社する前、PCもちゃんと触ったことがなく、マルチタスクで仕事を進めたこともなかったため、正直苦労はしました。ただ慣れると、業務を効率的かつ迅速に進められるようになり、どんどんこなせる量が増えていきました。
ある程度慣れた頃には、クライアントからの突発的な依頼にも瞬時に反応し、状況を整理して迅速に対応するという「瞬発的な対応力」が身についたと感じています。
プレゼン力や交渉力が向上した
2つ目は「プレゼン力や交渉力が向上した」という点です。クライアントワークである広告代理店は、プレゼンテーションや交渉を行えないと、仕事がもらえません。具体性のある内容を、論理立てて説明し、クライアントに納得してもらうことで、初めて仕事がもらえます。
筆者は、プレゼンや交渉も全くの初心者だったので、先輩社員や営業の上手な同僚の話し方・資料を参考にし、真似することから始めました。真似していくと、コツやポイントが分かってきて、半年も立たずにクライアント対応を一通りこなせるようになりました。
プレゼン力や交渉力は「相手の話を聞き、最適な方法を分かりやすく提案すること」だと筆者は考えており、どんな職業にも活かせる能力だと自負しています。
チームで連携し、結果を出す方法を学べた
最後は「チームで連携し、結果を出す方法を学べた」という点です。企業にもよりますが、広告代理店は大きなチームの傘下に、3〜5人程の小チームを編成し売り上げを立てることが多いです。
チームには「数値目標」という売り上げ目標が設定されます。今月が終わったら来月、来月が終わったら再来月…と毎月掲げられ、目標を達成すればするほど、数値も高くなっていくことが多いです。
どんな仕事でも言えますが、結果が良いときもあれば、悪いときもあります。広告は、流行の移り変わりも早いですし、ユーザー行動の変化も非常に多いです。そのため、1人で試行錯誤を続けるよりも、チームで連携したほうがノウハウの共有も進むため、いい結果が出やすいでしょう。
チームで情報を共有し「どうすればより売り上げを生み出せるか?」を一丸になって考え、連携することで、個人では達成できない目標も達成に導けたと感じています。
企業選びでブラック企業を見抜くポイント
次に「企業選びでブラック企業を見抜くポイント」を解説します。転職活動で活かせる部分だと思うので、ぜひ確認してください。
「みなし残業」が記載されている
まず1つ目は「みなし残業」が記載されている企業です。みなし残業とは、実際の労働時間に関わらず、残業をしたと仮定して固定給に残業代が含まれているということです。
広告代理店に限ったことではないですが、このような記載がされている場合「残業することを見据えた給料設定」になっていると考えられます。
本来、みなし残業は営業業務などで、外回りや直行直帰が多く、労働時間の把握が難しい際に活用される制度です。業務過多の環境が多い広告代理店では、本来の意味合いで記載されているか定かではないため、注意が必要です。
インセンティブや高報酬が全面にアピールされている
「インセンティブや高報酬が全面にアピールされている」企業にも注意してください。インセンティブや高報酬である企業は、裏を返すと「成果至上主義」である場合が多いです。
もちろん、結果を出すことはどんな仕事でも大切ですし、売り上げや利益が立たなければ企業は倒産してしまいます。ただ、あまりにも全面に出ている場合「成果を出す人材にはお金を払います」というアピールとも考えられるでしょう。
そのため、成果が出なければ、残業や休日出勤は当たり前という価値観を持つ企業の可能性もあるので、注意しましょう。
会社の公式HPが簡素すぎる
最後は「会社の公式HPが簡素すぎる」企業です。大手や中小企業であれば、ある程度管理が施され、公式HPから色々な情報を確認できたり、デザインが整っている場合が多いでしょう。
しかし、ベンチャー企業の場合、企業の細かな管理や雑務を担う、バックオフィス(企業が円滑に機能するための役割を担う部署。例:経理、総務、人事)が存在せず、公式HPが簡素なままになっている場合があります。
この場合、会社全体の管理が行きわたっておらず、人材の管理や評価体制なども粗雑だったり、曖昧な企業の可能性もあるので、注意が必要です。
広告代理店に転職したいなら、まずは転職エージェントに登録しよう
最後に、広告代理店に転職を考えている場合、おすすめの転職エージェントを紹介します。筆者が過去に使用したことがある、転職エージェントを元に紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
最大級の転職サービス「doda」
まず1つ目は、テレビCMでも話題の転職サービス「doda」です。dodaは転職サイトと転職エージェントの両方の機能を備えていることが特徴です。
自分の希望条件に合った求人をチェックしながら、本格的に転職活動を開始したいタイミングでエージェントに相談することができます。また、登録しておくだけで企業側からのスカウトが届くこともあります。
求人数も約10万件という膨大な数の中から探せるため、転職活動を開始する方はまず登録しておいて損はないでしょう。
広告業界特化の転職エージェント「マスメディアン」
2つ目は広告業界に特化した転職エージェントの「マスメディアン」です。
4万人を超える転職支援実績を誇る広告・Web・マスコミの分野でNo.1クラスの転職・就職支援サービスで、親会社の株式会社宣伝会議はマーケティング領域の専門誌を発行して60年以上の歴史を持ちます。
広告業界やマーケティング職種に特化したキャリアコンサルタントが転職サポートしてくれる点も強みで、広告業界への転職を希望している方はぜひ登録してみてください。
IT業界向け転職エージェント「Green」
3つ目は、転職エージェント「Green」です。筆者は、Greenに登録後すぐに企業から連絡をもらい、そのあとすぐに入社が決まりました。
希望条件や業務内容がかなりマッチしている企業から連絡をもらえたので、とんとん拍子で決定した記憶があり、利用して本当に良かったと感じています。
ITやWeb経験者採用のためのサービスのため、特にWeb広告関連の代理店は非常に多く求人を出しています。未経験向けの求人は他と比べて少ないですが、2~30代向けの求人は特に多いため、ぜひ2~30代の方には使用して欲しいです。
内容のまとめ
いかがでしたでしょうか?本記事では「広告代理店はブラックだからやめとけと言われる理由」について解説しました。
素直にお伝えすると、広告代理店はブラックな環境下が多いです。しかし、その中で得るものはたくさんあり、広告代理店を経験したことで、次のキャリアが広がる可能性は非常に高いでしょう。
広告代理店への転職をお考えの方は、本記事で紹介したポイントを活用して、企業選びを行っていただけたら嬉しいです。ぜひしっかり読み込んで参考にしてみてください。