商品やサービスの魅力を形にしたり、人の心を動かすような広告を企画・提案するのが仕事の「広告代理店」。華やかかつエリートなイメージが強く、転職を考えている人も多いのではないでしょうか。
ただ、未経験や異業種からの転職の場合、転職自体の難易度や面接のポイントなどが気になると思います。そこで本記事では「広告代理店の転職難易度や面接で見られるポイント」を解説します。
筆者も実際、未経験でベンチャーと中小企業の広告代理店2社で勤務していました。実際の面接体験を基に詳しく解説していくので、転職をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
広告代理店への転職は難しい?
転職自体の難易度は、企業規模によって変わるため一概には言えませんが、企業規模に強いこだわり(例:大手企業しか考えていない等)を持たなければ、一般的な転職と難易度は変わらないと筆者は考えています。
なぜならここ数年、広告業界の売上拡大とともに広告代理店も増加し、人手不足に悩まされている企業も多数あるため、未経験でも歓迎しているところが多いからです。ただそれでも、大手企業の転職は難しい場合が多いでしょう。
ではまず、以下で企業規模に合わせた転職難易度を詳しく解説します。未経験から広告代理店へ転職する場合の基礎知識部分になるので、しっかり確認してください。
大手総合代理店
「大手総合代理店」への転職難易度は、広告代理店の中で最も高いと言えるでしょう。具体的には「電通」や「博報堂」のイメージです。
大手の総合代理店は、給料はもちろん、福利厚生等の待遇も良いので、応募者も多く倍率も高くなりやすいです。そのため、経験者が有利であるとともに、学歴である程度ふるいにかけられるという特徴があります。
筆者が在籍していた広告代理店でも、大手に転職した先輩はいましたが、月間売上目標を大幅達成し社内で表彰されていましたし、出身大学も誰もが知っている有名どころでした。
筆者の知っている範囲では「広告業経験・高学歴保持者」が大手への転職に成功していますが、未経験の人でも大手に転職成功している人はいるかもしれないので、チャレンジしてみるのは大いにありだと思います。
大手インターネット代理店
次に「大手インターネット代理店」への転職難易度は、中程度と言えるでしょう。未経験者の人でも、過去の仕事での売上実績や、広告代理店業に繋がる経験などがあれば、チャンスはあると言えます。合わせて、大手総合代理店ほど学歴主義が根付いていないので、学歴よりも実績やポテンシャルを見てくれる企業が多いでしょう。
インターネット関連の広告は、近年特に売上を大きく伸ばしており、成長率が最も高い広告の種類です。2021年には4マスと言われる「TV・新聞・ラジオ・雑誌」での広告費用をインターネット広告が初めて超え、今や広告の主流と言っても過言ではありません。
業界が成長している一方で、広告代理店が抱えている仕事量と人員のバランスがとれなくなってしまい、人手不足に陥っている企業は多いです。そのため、未経験の人でも広告代理店業に活かせる経験があれば、採用している企業が多くあります。
また、インターネット関連の広告は、クリエイティブなアイディアを求められ、流行の移り変わりも早いです。そのため、まっさらな状態で新鮮なアイディアを生める未経験者を積極的に採用している企業もあります。
中小・ベンチャー代理店
最後に「中小・ベンチャー代理店」への転職難易度は、低いと言えるでしょう。広告代理店の中では、最も未経験者を歓迎していると言っても過言ではありません。ただ、楽に誰でも入れるというわけではないので、注意してください。
中小・ベンチャーに関しては、学歴不問がほとんどです。ちなみに、筆者も大学を出ておらず、最終学歴は専門学校ですが、ベンチャーと中小企業の広告代理店を経験しました。ですので、学歴に自信がなくても、中小企業やベンチャーであれば全く問題ないと筆者は思います。
また広告業界の売上拡大とともに、広告代理店は増えていると先述しましたが、その多くが中小企業の子会社や、ベンチャー企業です。そのため、まずは人員確保のため経験者・未経験者に問わず、社会人経験やポテンシャルを最重視して採用活動している企業が多いです。
実際に筆者が在籍していた広告代理店は、アパレルや飲食店、インテリア販売、栄養士、フリーター…など多種多様の職歴の人が集まり、9割が広告業未経験者でしたし、結果を残して昇格をしている人も多くいました。未経験者の方は、まず「中小・ベンチャー代理店」を中心に応募するのがおすすめです。
広告代理店の転職や面接で見られているポイント
次に「広告代理店の転職や面接で見られているポイント」を解説します。実際に筆者が気を付けていたことを主軸に解説するので、ぜひ参考にしてください。
過去の仕事の実績(広告業に限らない)
1つ目は「広告業に限らず、過去の仕事の実績」があるかというポイントです。別業種であっても、強みとなる経験や実績があることで「現状の課題や目標に対し、適切な行動ができる」という評価対象になるでしょう。
そのため「どのような業務で、どんな方法を実施し、どれくらい実績を残した」というような、より具体的かつ分かりやすい実績があると良いでしょう。例として、以下2つの職歴を比較してみてください。
2年間カフェのホールスタッフに従事していました。
2年間カフェのホールスタッフに従事していました。ランチの時間帯や土日は特に混雑することが多かったため、ホール業務の効率化を目的として、作業導線の改善やマニュアル作成で業務改善を行っていました。結果として、お客様をよりスムーズに案内できるようになり、ピークタイムの売上を1.5倍に増やすことに成功した経験もございます。
当たり前ですが、Bさんのように具体的な説明があるほうが、今までの経験や実績をしっかりイメージできるので、面接官も評価しやすいでしょう。自分をしっかりとアピールするためにも、具体的な過去の仕事の実績は大切です。
論理立てて話すことができるか
2つ目は「論理立てて話すことができるか」というポイントです。広告代理店では、データを元に、改善点や注力するポイントを筋道を立てて思考する「論理的に考える力」が求められます。
またあわせて、クライアント(自社にとっての顧客であり依頼主)への報告や提案、プレゼンテーションを行う機会も多いので「論理立てた説明」を求められる場面も、日常的に発生するでしょう。
そのため相手の話を聞きつつ、的を得た内容を論理立てて話すことができるか?という部分を面接時に大いに見られます。自己アピールばかり先走ってしまい、話す内容が支離滅裂になってしまわないよう、注意しましょう。
向上心の有無
最後は「向上心の有無」です。広告代理店に限らず、全ての仕事に言えることですが「○○を目指す・○○を達成する」というように、現状よりも成長しようとする向上心を持っている人材のほうが、企業にとって魅力的と言えます。
なぜなら、向上心のある人材は、仕事を任せた際にも効率や結果にこだわり、自分の経験にできるよう精一杯努力することが多いからです。そのため、会社にも利益をもたらしてくれるだろうと判断され、評価が高くなりやすいでしょう。
一方で向上心がない人材は、仕事を任せても生産性を考えずに「とりあえずこなす」というような、適当にされてしまうという悪いイメージが強く、評価としては低くなるでしょう。そのため、面接時に向上心をアピールできるよう意識することも大切です。
広告代理店への転職成功率を高めるために準備すべきこと
ここまで、広告代理店への転職難易度や、面接時に見られるポイントに関して解説してきました。次からは「広告代理店への転職成功率を高めるために準備すべきこと」を詳しく紹介します。
先述したポイントと合わせて対策することで、より転職成功率をあげることができるでしょう。ぜひしっかり確認してください。
企業研究をもとに志望動機を作成する
1つ目は「企業研究をもとに志望動機を作成する」ことです。転職時必ず用意する志望動機には、その企業であるべき理由をはっきりと記載するようにしましょう。自分本意な志望動機ではなく、対象企業の情報をできるだけ調べ「どこに、なぜ惹かれ、志望したのか」をしっかり明記することが大切です。
例として、下記2つの志望動機を比較してみてください。
前職の時から、施策を考え実施したり、売上増加のために試行錯誤することに達成感を感じており、広告代理店での運用業務に興味があったため、御社を志望いたしました。
前職で化粧品会社の営業担当として従事し、10社以上のクライアント対応や提案業務を行っておりましたので、コミュニケーション能力や論理的思考力には自信があります。広告代理店業は未経験ですが、様々な女性向け商品のクライアント様を担当している御社であれば、営業部門の即戦力として貢献できるのではないかと思い、志望いたしました。
いかがでしょうか?Aさんの場合、対象企業に関係なく「達成感を感じる業務をしたい」という自分本位な志望動機に見えかねません。一方でBさんであれば、なぜ志望したのかが明確になっている上、入社後にどう貢献できるかまで説明できています。
「どこに、なぜ惹かれ、志望したのか」を明確に伝え、対象企業に納得してもらうことが大切です。また、前職の経験や実績なども盛り込み、活かせるスキルや強みも合わせて記載すると良いでしょう。
広告業に関してインプット
2つ目は「広告業に関してインプットをする」ことです。広告業、いわゆるマーケティング業務は、カタカナ用語や英語表記の用語が非常に多いです。そのため、未経験の人は入社直後に習得することが多くあります。
あわせて、マーケティング業務は流行の移り変わりも早いため、様々な手法や法則が存在しますし、勉強してもしきれないほど奥が深いです。
よって「マーケティング基礎知識」を中心的に、書籍やインターネットなどでインプットしておくと良いでしょう。入社後に活かせる知識になるのはもちろん、自分から進んでインプットしていることを面接などでアピールできれば「向上心がある」と判断され、高評価に繋がりやすいです。
具体的なキャリアの目標を固めておく
最後は「具体的なキャリアの目標を固めておく」ことです。先述したように、向上心の有無は面接などでも見られるので「入社後、どう成長したいか」を聴取される可能性があります。そのため、具体的なキャリア目標と、なぜその目標を定めたのかという理由も明確にしておくと良いでしょう。イメージとしては下記のような形です。
- 憧れの広告業界でしっかり実績を残すために、売上貢献はもちろん、チームの力を底上げできるような人材育成も担い、3年後にはシニアマネージャーになる
- 20代後半という年齢も考え、会社の戦力にいち早くなれるよう、2年以内に月間売上3,000万円達成させる
このように、どんな実績を残したいのかを理由とセットにして、具体的に固めておくといいでしょう。
広告代理店への転職に強い転職エージェント
では最後に「広告代理店への転職に強い転職エージェント」を紹介します。未経験で広告代理店へ転職をする場合は、転職エージェントの使用がおすすめです。
代表的な4社を紹介するので、広告代理店への転職活動中の人や今後転職を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
マスメディアン
1つ目は「マスメディアン」です。Web・広告・マスコミ業界特化の転職エージェントで、最大手から中小の広告代理店まで数多くの求人情報を扱っています。
業界特化転職エージェントのなかでもパイオニアのような存在であり、業界とつながりが密なため、応募者のプッシュ力も持っているのが特徴です。あわせて、面接内容や選考情報までも共有してもらえるので、事前に細かく対策を考えることができるでしょう。
doda
2つ目は「doda」です。創業60年以上の歴史をもつ、人材サービス会社のパーソルキャリア株式会社のグループ会社で、数多くの転職実績やノウハウを持っているという特徴があります。
会員以外には公開していない「非公開求人」を数多く抱えているので、掘り出し物の求人情報を見つけられるかもしれないので、登録しておくのがおすすめです。
リクルートエージェント
3つ目は「リクルートエージェント」です。転職エージェント業界の中でも最大手であり、多種多様の業界の求人を扱いつつ、広告業界に特化したサービスも展開しています。
そのため、広告代理店への転職対策も豊富に受けられるとともに、大手のエージェント特有の手厚いサポートも受けられるでしょう。
Green
最後は「Green」で、筆者も実際に利用し、Green経由でスムーズに内定を貰えたので、おすすめです。
ITやWeb経験者採用が中心のサービスなため、未経験向けの求人は他と比べて少なめではありますが、先述したように中小やベンチャーは人手不足の企業が多数存在します。そのため、スカウトも活発に行われているとともに、2〜30代向けの求人は特に多いので、ぜひ2〜30代の方には使用してほしいです。
内容のまとめ
本記事では「広告代理店の転職難易度や面接で見られるポイント」を解説しました。未経験での転職を考えている場合、特に「うまくいくか・内定をもらえるか」など不安に感じることが多くあると思います。
ただ広告代理店の転職難易度は、冒頭でお伝えしたように「一般的な転職活動と変わらない」と筆者は考えていますし、しっかりとポイントを抑え対策を行えば、未経験の人でも内定を貰える可能性は大いにあるでしょう。
広告代理店への転職を考えている人にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。