インハウスマーケティングのメリット・デメリットまとめ【実体験を語る】

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本記事はインハウスマーケティングについて知りたい方や、これからインハウスのマーケティング組織を作っていきたいと考えている方向けになっています。

私自身、事業会社にてゼロからマーケティング組織を立ち上げて、責任者としてインハウス組織を率いてきた経験があります。これらの経験を元にインハウスマーケティングのメリット・デメリットをお伝えしていきます。

インハウスマーケティングとは

インハウスマーケティングとは、社内にマーケターを採用してマーケティング活動を行なっていく方法を指します。広告運用やクリエイティブの制作、コンテンツマーケティング(SEO)などを全て社内の人材で賄います。

インハウスマーケティングの反対が、広告代理店や制作会社へ外部委託(アウトソース)する方法です。

最近では、事業会社でマーケターを採用するケースも増えています。私自身も事業会社でマーケティングチームを立ち上げてインハウスでマーケティングを行なってきました。

その経験も踏まえてインハウスマーケティングを行うメリット・デメリットをお伝えします。

インハウスマーケティングのメリット

まず、メリットは大きく4つあります。

コストを抑えられる

マーケティングを外注すると思ったよりもコストがかかります。もし、広告運用を外注するのであれば、一般的に広告運用額×20%が手数料として取られます

月間100万円の広告運用予算であれば手数料が20万円ですが、月間1億円なら手数料は2000万円にも上ります。事業が拡大して予算が大きくなるに連れてコストも拡大していく構造になっているのです。

年収600万円でマーケターを2名採用しても月間のコストは100万円程です。事業規模にもよりますが、コスト観点ではインハウスにすることでかなり削減できることは間違いありません。

施策実行スピードが数倍は早い

私はインハウス・外部委託のどちらも経験があるのである程度比較ができるのですが、インハウスにすることで施策の実行スピードは数倍早くなると思います。

例えば、新しい訴求を検証するために新規LPを作成して広告を出稿する場合の、インハウスと外部委託それぞれのスピード感を見てみましょう。

【例】インハウスの場合

LPの企画:1日
LPの制作:1.5日
広告出稿:0.5日
ーーーーー
合計:3日

【例】外部委託の場合

初回MTGの設定:0.5日
LPの企画:2日
LP企画の提案MTG:0.5日
LPの制作:3日
修正依頼のMTG設定:0.5日
広告出稿:1日
ーーーーー
合計:7.5日

少なく見積もってのこれくらいの違いはあります。外部委託の場合はもう少しかかるかもしれません。ざっと2.5倍のスピードの違いがあることが分かります。

スピード命のベンチャー企業などはインハウス化をすべきでしょう。

外部委託の場合はコミュニケーションを取るためのMTGをするまでに最低でも半日かかったりするため、コミュニケーションコストが大きいです。

インハウスであれば隣の席で仕事をしているマーケターやデザイナーとすぐに会話をして軌道修正したり、追加の依頼ができるため、早さに差が出るのは当然なのです。

マーケティングノウハウを蓄積できる

インハウスでマーケティングを行うと、マーケティングノウハウが企業に蓄積しています。これはその会社の資産となります。

確かに、経験者がいなければ最初はマーケティングノウハウがなくて苦労することがあるかもしれません。しかし、だからと言って全てを外注してしまうと一向にノウハウが貯まらないので、永遠に外注先の企業にお願いするしかなくなります

先ほどもお伝えしたように広告代理店は事業が拡大するに連れて手数料も比例して上がっていきます。代理店との契約を切りたいと思っても自社にノウハウがないのでできません。完全なる依存状態の出来上がりです。

インハウス化していれば、ノウハウが蓄積されるため担当者が入れ替わっても安定的に運用を続けていくことができるのです。

商品理解が高いので成果を出しやすい

成果を出しやすいと言いましたが、定量的な調査等はないため実際のところはわかりません。私の主観では外部委託のみに絞るよりもインハウスのマーケターがいた方が施策の幅・深さ共にでると実感しています。

その一番の理由は「自社サービスに向き合う本気度の違い」だと思っています。

もちろん、外部委託もクライアントからお金をもらう立場として本気で企画案を考えてくれます。とは言え、自社だけを担当しているのではなく、他にも何社かを担当しているケースが多いです。

毎日100%自社サービスの成長を考えているインハウスマーケターと毎日50%のリソースを割いて考えてくれている外部委託とでは差が生まれます。

さらにインハウスマーケターは、競合がどんな手を打っているのか、顧客からどんな問い合わせが来ているのか、営業マンが売りやすいセールストークは何か、などリアルタイムに事業の情報を収集できます。

これらのフィードバックを即座にマーケティング施策に落とし込むことができるのはインハウスならではです。

インハウスマーケティングのデメリット

デメリットは主に4つです。

採用・育成コストがかかる

まず、マーケターの採用・育成にコストがかかります。優秀なマーケターを採用する難易度は高く、媒体やエージェントを使えば採用コストはかさみます。

だからと言って未経験者を採用すると独り立ちするまでに最低でも半年程度はかかるでしょう。既存のマーケターから教育リソースも出さなければいけません。

大企業であれば新卒や中途未経験者をゆっくり教育していく余裕もありますが、ベンチャーや中小企業はそうもいきません。マーケティング組織を立ち上げ時の一人目マーケターの採用が特に大変です。

一方で外部委託であれば採用・育成コストはかかりません。

マネジメントコストがかかる

インハウスマーケティングを行う場合は、マーケティング組織を作っていく必要があります。組織を作るということは当然ながらマネジメントが必要になります。

メンバーのモチベーションを高く維持しなければ十分なパフォーマンスが出なかったり、退職リスクが上がります。パフォーマンスが出なければせっかくインハウス化した意味が薄れてしまうため、マネジメントできる人材の確保も重要になります。

一方で、外部委託であればマネジメントコストはかかりません。モチベーション如何に関わらず、成果を求めることができます。

テクニカルなノウハウは代理店に劣る

3つ目はテクニカルなノウハウは代理店や制作会社には劣るということです。

代理店や制作会社はその特性上、何社もの会社と付き合って様々な業界・業種の事例を蓄えています。また、広告代理店であれば、広告の成果で結果を出すことがミッションになるため、広告技術の最新情報にはアンテナを貼っています。

特定領域の情報量やノウハウでは外部委託会社に勝つことはできないでしょう。これは構造上仕方ありません。

視野が狭くなりがち

インハウスマーケターには自社のサービスを伸ばしたいという強い思いがあるので、自分たちは今取れる選択肢の中でできる限りのことをやっていると過信してしまうケースがあります。

もし、外部のアドバイザーや代理店など、客観的な視点を持ち込んでくれる存在がいれば、自分たちにはなかった視点や気づきを与えてくれるでしょう。

実際に、自分たちが考えている以上のもっと良い選択肢があるとしたら機会損失にも繋がります。

インハウスだけでなく外部委託も併用するのがおすすめ

ここまでインハウスマーケティングのメリット・デメリットをお伝えしてきましたが、インハウスと外部委託のハイブリッドはおすすめです。

実際に私の所属する会社でもインハウスを基本としながらも常に数社の代理店と付き合いがあります。

基本的にはインハウス化のメリットは大きいためインハウス化を行うのですが、デメリットもあるため、そこは外部委託を利用することで補っていくという考え方です。

外部委託を利用する理由は、広告運用のような特定領域における豊富なノウハウや知見を得られるからです。やはり、インハウスだけで得られるノウハウや知見には限界があります。

自分たちでは思い付かないようなアイデアや知見を得られることもあるため、予算が許すのであれば一度代理店等の外部委託会社ど導入するのも選択肢の一つとして考えてみることをおすすめします。

内容のまとめ

  • インハウスマーケティングのメリット
    • コストを抑えられる
    • 施策実行スピードが数倍は早い
    • マーケティングノウハウを蓄積できる
    • 商品理解が高いので成果を出しやすい
  • インハウスマーケティングのデメリット
    • 採用・育成コストがかかる
    • マネジメントコストがかかる
    • テクニカルなノウハウは代理店に劣る
    • 視野が狭くなりがち
  • インハウスだけでなく外部委託も併用するのがおすすめ
  • その理由は、特定領域(広告運用など)における豊富なノウハウや知見を得られるから