マーケティングについて学びたい!と思ったらまず最初に思い浮かぶのが本から学ぶことではないでしょうか。
私自身も本から多くの情報を得てきました。
マーケティングの仕事を始めた当時の私は、本当にマーケティングに関して何も分かりませんでした。マーケティングがそもそも何か分からない。どんな業務をすればいいのか分からない。広告の出し方が分からない。社内にマーケティング経験が豊富な人もいない。
そこから実務を通じてアウトプットをする傍ら、とにかく業務時間外の多くを本を読む時間に充て、累計で200冊以上のマーケティング関連の書籍を手に取ってきました。
その結果、全くの未経験からマーケティングを独学で学び、急成長企業のマーケティング責任者として売上を10倍以上にする経験を積むことができました。
今回の記事では、当時マーケティングに関して右も左も分からなかった自分に、これだけは必ず読め!と伝えたい本を厳選してまとめました。
目次
マーケティングの考え方が学べる6冊
まず最初に、マーケティングとは何か、マーケティングという概念を基礎からが学べる本を紹介します。
ハイパワー・マーケティング
世界一のマーケターとも言われるジェイ・エイブラハム氏が書いた著書。タイトルではマーケティングとは言っているものの、ビジネスに関わる全ての人に役立つ内容が詰まっています。
自分の利益よりも常に顧客の利益を優先させる「卓越論」は、ビジネスを成功させるだけでなく、あなたの人生をも豊かにするマインドセットだと言います。
電話を活用して顧客を獲得する「テレマーケティング」、究極のオファー戦略「リスクリバーサル」、商品同士を交換して利益を得る「バーター」、などマーケティングに活かせる施策や具体例も豊富なので、読んでいる最中にたくさんのアイデアが浮かんできます。
マーケターなら必ず読むべき一冊です。
売り切れている場合は新訳が出ているのでこちらを。
ドリルを売るには穴を売れ
マーケターであれば知らない人がいないくらい有名な入門書です。タイトルからも分かるように難しい専門用語を使わず、初心者にも分かりやすい例えでマーケティングを解説してくれています。
「ドリルを売るには穴を売れ」とは、人は手段を欲しているのではなく、価値や成果を欲しているという例えです。穴を開けられるならドリルじゃなくても、別の手段や方法でもいいわけです。
これは、マーケティングに限らずビジネスの本質を突いた話で、これからマーケティングを始めるには最適の1冊です。
100円のコーラを1000円で売る方法
いかにもマーケティングっぽいタイトルの本ですね。物語形式でスラスラ読めるので、入門書としては非常におすすめの1冊です。
本書では主に、商品を売るために必要な考え方を学ぶことができます。
商品の売り方には2つ方法があり、1つは商品を値引きすること、2つ目は商品の付加価値をつけること。本書は値引きではなく、商品に付加価値を付けなければいけないと主張しています。
なぜ値引きをすることが悪手なのか、商品に付加価値を付けるには具体的に何をすればいいのか、を理由とともに解説してくれています。
マーケティングの中でも、特に商品開発やプライシングについて示唆を得られる良書です。
ジョブ理論
顧客が解決したいと考えている課題のことを本書ではジョブ(=顧客の進歩)という言葉で言い表しています。
ジョブはニーズともインサイトとも異なる新しい概念で、ニーズやインサイトよりも高い解像度で顧客を理解することができます。
ジョブの概念を理解することで、顧客が抱えている本質的な課題を見抜くことができるようになり、あなたのビジネスやマーケティングが成功する手助けになります。
顧客の深いインサイトを得られるようになりたい方におすすめの一冊です。
キャズム
キャズム理論はマーケターであれば必ず押さえておくべき普遍的な概念で、本書はキャズムの教科書的な一冊です。
ハイテク製品にはテクノロジーのライフサイクルがあり、最初は「イノベーター(テクノロジーオタク)」に受け入れられ、次に「アーリーアダプター」「アーリーマジョリティー」「レイト・マジョリティ」と続いていきます。
これらのライフサイクルの間に存在する溝のことを”キャズム”と定義しており、キャズムを超えてライフサイクルを進めていけるかが成否を分けると言います。
特に、ハイテク製品のマーケティングに携わる方は必見です。
世界的優良企業の実例に学ぶ 「あなたの知らない」マーケティング大原則
本書は、マーケターとして豊富な実績を持つお二方によって書かれています。
1人は、日本マクドナルドのマーケティング本部長としてマクドナルドの業績をV字回復させ、ファミリーマートCMOなどを歴任されている足立光さん。
もう1人は、日本コカ・コーラでファンタ、ドクターペッパー、アクエリアス、爽健美茶などのブランドマーケティングを担当し、「綾鷹」の開発・プロモーションを主導された実績を持つ土合朋宏さん。
圧倒的な実績を持つお二方が語るからこそ、内容には非常に説得力があります。
「データドリブン・マーケティングだけで消費者のことは理解できない」「話題化できるソーシャルメディアはTwitterしかない」など、主張もはっきりしていて読んでいて痛快です。
最新のマーケティングトレンドも踏まえて、戦略から施策レベルの話まで幅広く網羅されています。マーケターであれば一度は読んでおきたい1冊です。
マーケティング戦略が学べる6冊
マーケティングで最も重要なものは戦略です。その戦略の立て方を学べる本を紹介します。
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
元USJのマーケティング責任者としてV字回復させた森岡毅氏による著書。マーケターの中ではあまりにも有名な方で、現在はマーケターのプロ集団「刀」を経営されています。
この本では、マーケティングの戦略的思考が学べます。戦略って何?といった人でも明快なフレームワークを用いて分かりやすく説明されているので、挫折せずに読み終えられるはずです。
初心者の方でもマーケティング戦略を理解できる1冊です。
顧客起点マーケティング
本書は、P&Gジャパン、ロート製薬、ロクシタンジャポンの代表取締役、スマートニュースのマーケティング責任者を歴任された西口一希氏によって書かれています。
顧客起点マーケティングとは、1人の顧客を徹底的に理解することからはじめて、商品やサービスの新たな可能性を見つける考え方です。1人の顧客にフォーカスすることを「N1分析」と表現しています。
マーケティング戦略を作る上で1000人を対象にアンケートを取るよりも1人のことを深く知る方が重要で、N1から離れると思考が浅くなると主張しています。
その他にも、9セグマップと呼ばれる顧客を分類するためのフレームワークや、アイデアの生み出し方など、マーケティング戦略を作る上での考え方を学ぶことができます。
確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力
USJをマーケティング責任者としてV字回復に導いた森岡氏と同じ時期にUSJでシニアアナリストを務めていた今西氏の共著です。
先ほどご紹介した「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」は未経験者向けにマーケティングの基礎から解説した本ですが、本書は企業戦略に役立つ知恵と数式が詰まった上級者向けのマーケティング本です。
森岡氏と今西氏がどのように数学マーケティングを使って戦略を立てていくのか、その真髄を学ぶことができます。
著書も言っているように、後半部分は特に難解な数式が増えるので、興味がない人は読み飛ばしても問題ありません。文系の人はすぐに理解できない部分もあると思います。
経営者、マーケティング責任者、データアナリストの方は必読の一冊です。
アフターコロナのマーケティング戦略 最重要ポイント40
先ほども出てきた、日本マクドナルドV字回復の立役者・足立氏と、スマートニュースのマーケティング責任者を務めた・西口氏のお二人によって執筆された著書です。
コロナ後に書かれているため、時代に合った最新のマーケティング戦略について学べる一冊です。
・コロナによって経営やマーケティングがどう変わるのか?
・これからのマーケティング活動は、デジタルネイティブが圧倒的に有利なのか?
・SNSでバズれば、売上が伸びるのか?
など、誰もが一度は気になったことがあるようなテーマ設定に対して、お二方の見解が伺えます。
初心者の方でも読み進められますが、基本を一通り学び終えてさらに飛躍したいと考えている方や、マーケティングを始めて1~3年経って壁に当たっているような方にもおすすめしたい一冊です。
THE MODEL (ザ・モデル)
初期のセールスフォースに入社して成長期を支え、今はMAツール「マルケト」の代表を務める福田氏の本。
セールスフォースと言えば、営業力の強さにフォーカスが当たることが多いですが、その源泉となるのが優れた顧客管理体制です。リード獲得から成約に至るまでの組織体制、担当者の役割、KPI設定など、セールスフォースの成長を支えてきた営業システムの真髄が見て取れます。
特に、BtoBマーケティングの戦略立案や施策の実行に活きる一冊です。
マーケティングとは「組織革命」である
USJをV字回復させた森岡氏による著書。これにて3冊目の紹介です。3冊目の本書は組織・マネジメント論について書かれています。
戦略は成果を出すためのリソース配分を決めることでもあるため、組織マネジメントを理解することも成果を出す上では重要です。
本書では強いマーケティング組織は、「今ある商品を売る」ためのプロモーション部隊ではなく、「売れる商品を作る」ことを目的とした編成になっていなければならないと主張しています。
森岡氏が実践する強いマーケティング組織の作り方や、成果を出すチームマネジメントについて学ぶことができます。
デジタルマーケティングが学べる5冊
デジタルマーケティング、Webマーケティングはあらゆる企業で欠かせなくなってきています。デジタルマーケティングの戦略から戦術まで学べる本を紹介します。
デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法
オイシックス・ラ・大地の執行役員兼CMT(チーフマーケティングテクノロジスト)を務める西井氏の著書。
マーケティングの中でもデジタル領域に特化していて、戦略から戦術まで幅広く説明されています。F2転換などECサービスのマーケティングで語られるワードも出てきますが、ECサービスでなくても応用できる汎用性の高い内容が多いです。
明日からの具体的なアクションプランに落とし込みやすく、これからデジタルマーケティング(Webマーケティング)を始める人には必ずおすすめする一冊です。
ネット広告運用“打ち手”大全
タイトルにある通り、インターネット広告の施策が102個も記載されていて、ネット広告の施策に特化した一冊です。これ程までに施策の数が書かれているマーケ本を他に知りません。
ネット広告の中でも特に、Google広告(リスティング広告、GDN)とFacebook広告の施策が中心で、一通り読むだけで引き出しの数が桁違いに増えます。
とにかく打ち手の数を増やして、早く成果を出したいと考えている方におすすめです。
いちばんやさしい リスティング広告の教本
ゼロからリスティング広告を学ぶならこの本で決まりです。全くの未経験からでも段階を踏んでリスティング広告の全容が理解できる教科書のような一冊です。
単なる手順だけでなく、運用をする上での「考え方」まで丁寧に解説されているので、学んだことを自社サービスの広告運用に応用することができます。
リスティング広告での集客を伸ばしていきたい、リスティング広告やったことないけどチャレンジしたみたいという方におすすめです。
沈黙のWebマーケティング −Webマーケッター ボーンの逆襲−
Webマーケティングの全体像から、事業フェーズごとのマーケティングの考え方を学べる一冊です。
経営危機に瀕しているオーダー家具の販売会社をWebマーケターの主人公が救うマンガ風のストーリー仕立てになっており、この上なく読みやすいです。
Webマーケティングとは何か?からスタートして、SEOやWebライティングの具体的な施策内容を学ぶことができます。
デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール
初心者向けにブランディングの全体像が非常に分かりやすくまとめられた一冊です。
「ブランドとは?」「ブランド戦略とは?」「強いブランドを作る方法は?」といった素朴な疑問を丁寧に解説してくれています。
また、ブランディングと聞くとマス広告をはじめとしてお金がかかるという印象を持っている方もいるかもしれませんが、本書ではタイトルに「デジタル時代の」とある通り、デジタルを活用したブランディング戦略についても詳しく書かれています。
豊富な図解を使って説明されているので、サクサク読み進めることができるのも評価ポイントです。
新規事業担当者が読むべき2冊
新規事業担当者向けと書きましたが、マーケターにも必ず読んで欲しい2冊を紹介します。
ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか
PayPalの共同創業者であり、Facebookの初期投資家としても有名なピーター・ティール氏がスタンフォード大学の学生向けに行った起業論の講義を元に書いた一冊。起業家や新規事業担当者のバイブルとも言える本です。
「競争を避けて独占しろ」「2番手の製品より10倍優れたものを作れ」「賛成する人がほとんどいない、大切な真実を探せ」など好奇心を掻き立てるワードが次々と出てきます。
一見ぶっ飛んだ発想のように思いますが、社会の本質を突いたものばかりで、起業家だけでなくビジネスマンであれば誰もが知っておくべき真理が書かれています。物事を違った視点から見る擬似体験ができるでしょう。
トラクション ―スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル
トラクションという言葉を聞き慣れない方も多いでしょう。トラクションとは顧客の数(ユーザー数)のことで、スタートアップでしばしば用いられる言葉です。
スタートアップを成功させるために必要なことの50%は製品開発で、残りの50%は集客力であり、多くのスタートアップや新規事業が十分な集客ができずに失敗してしまうと本書では述べられています。
トラクションの重要性を説明した後、スタートアップが顧客を獲得するための集客チャネルが19個紹介されています。1つ1つのチャネルの特徴や活用方法も具体的に説明されているのでかなり実践的です。
スタートアップに限らず、新規事業や伸び盛りのサービスでも使える手法なので、マーケティング担当者も必見です。
その他
今回のカテゴリーには分類できませんでしたが、マーケターが成果を出すための手助けとなる本をご紹介します。
アイデアのつくり方
今回紹介する本の中で最も古い1988年に出版された著書。Amazonが選ぶ「これだけは読んでおきたいオールタイムベストビジネス書100」という全てのビジネス書のTOP100にも選ばれています。
驚くべきことに本書は全部で102ページしかなく、後半はほとんど訳者のあとがきなので、それを除けば実質60ページ程しかありません。
本書が主張していることは、「アイデアの作成は一定の明確な過程である」ということ。そして、アイデアを作る能力は後天的に鍛えることが出来るということです。
アイデアの作成プロセスを鮮やかに言語化して説明しており、非常に納得感があります。すぐ使える実践本というよりは、メカニズムを理解することに主眼を置いた科学本に近いです。
人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている
本書は、心理学的な要素が強い一冊です。
セミナー講師の経歴、サービスの実績、溢れるNo.1証明、これらの権威付けをサービスサイトやLPで良く目にしますが、これらは全て本書で言うところの「錯覚資産」を活用したものです。
マーケティングではもちろんのこと、転職活動など自分を売り込む場面でも錯覚資産は役に立ちます。本書では、錯覚資産が果たす影響について見事に言語化しています。
商品や自分を売る力を身につけたいと考えている方におすすめです。
イシューからはじめよ ー 知的生産の「シンプルな本質」
マッキンゼーを経て、YahooのCSOを務めた安宅氏による仕事の本質を学べる一冊。
本書で出てくるイシューとは「本当に説くべき課題」を指しており、良いイシューを見極めることが成果を出す上で重要だと言います。
少しネタバレになりますが、下記3つを満たしているものが良いイシューだと説明されています。
①本質的な選択肢であること
②深い仮説があること
③答えを出せること
質の高い仕事をするためにはどうすればいいのか?が具体的かつ明快に紐解かれており、マーケターに限らず全てのビジネスマン必読です。
内容のまとめ
マーケティングに携わる人の役に立つ厳選書籍を紹介してきました。最後にもう一度、今回紹介した22冊をまとめておきます。
- ハイパワー・マーケティング
- ドリルを売るには穴を売れ
- 100円のコーラを1000円で売る方法
- ジョブ理論
- キャズム
- 世界的優良企業の実例に学ぶ 「あなたの知らない」マーケティング大原則
- USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
- 顧客起点マーケティング
- 確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力
- アフターコロナのマーケティング戦略 最重要ポイント40
- THE MODEL (ザ・モデル)
- マーケティングとは「組織革命」である
- デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法
- ネット広告運用“打ち手”大全
- いちばんやさしい リスティング広告の教本
- 沈黙のWebマーケティング −Webマーケッター ボーンの逆襲−
- デジタル時代の基礎知識『ブランディング』 「顧客体験」で差がつく時代の新しいルール
- ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか
- トラクション ―スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル
- アイデアのつくり方
- 人生は運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている
- イシューからはじめよ ー 知的生産の「シンプルな本質」