この記事を読んでいるあなたは、タイアップ広告のことを聞いたことがあると思います。
しかし、タイアップ広告が何で、何を目的に実施すべき施策なのかを説明できる人はあまり多くないかもしれません。
本記事では、タイアップ広告がそもそも何か。そして、タイアップ広告を始めるべきタイミングや1回あたりに必要な予算、実施するメリットについて詳しく説明します。
こんな課題感がある方におすすめの内容です
・タイアップ広告が何か分からない
・タイアップ広告のメリット・デメリットが分からない
・タイアップ広告を今やるべきなのか悩んでいる
目次
タイアップ広告とは?
タイアップ広告とは、企業(広告主)とメディア(媒体社)が協力して制作した広告のことを指します。
タイアップには「結びつく」という意味があり、一般的には「協力・提携」という形でお互いが利益を共有できる関係を築こうとする場合に使われます。
企業(広告主)には商品を宣伝できるメリットがあり、メディア(媒体社)にはマネタイズのメリットがあるため、この二者が協力して制作するという意味でタイアップ広告と呼ばれます。
企業(広告主)が自社の商品やサービスの広告を出稿したいメディアを探して、記事や動画などのPRコンテンツ制作を依頼します。依頼されたメディア(媒体社)は、メディアのコンテンツの一部のようにPRコンテンツを制作し、広告を配信します。
Webメディアの場合、記事を制作してタイアップすることから、「記事広告」「記事広(きじこう)」と呼ばれることも多いです。
タイアップ広告の特徴
SNS広告やリスティング広告のような運用型広告と比較して、タイアップ広告にはどんな特徴があるのかを説明していきます。
毎回、メディアに広告を発注する必要がある
運用型広告であれば、好きな時に広告を配信できて好きな時に配信を停止することができます。また、使う広告費用も自分たちで決めることができます。
一方、タイアップ広告の場合は1回実施するごとにメディア(媒体社)に広告を発注する必要があります。また、広告費用もメディア(媒体社)によって決められているので、こちらでコントロールすることはできません。(もちろん値段交渉はできますが)
メディア(媒体社)と契約を交わして、密にコミュニケーションを取りながら広告の制作を進めていきます。
コンテンツ制作と配信がセットになっている
運用方広告では、広告コンテンツの制作(広告バナーや動画広告など)と広告運用が業務としては切り分けることができるので、役割分担をすることができます。
例えば、広告コンテンツの制作は外部の制作会社に発注して、広告の運用は自社で行うといった具合です。
一方、タイアップ広告の場合は発注するメディア(媒体社)で広告コンテンツの制作と配信をセットで実施することが一般的です。Webメディアであれば記事をメディアに掲載することが配信になり、YouTuberであればYouTubeチャンネルの動画を公開することが配信になります。
広告のリリースまでに1~2ヶ月程度の時間がかかる
運用型広告であれば、広告バナーを1週間程度で作成して広告配信を開始することができます。
しかし、タイアップ広告の場合はコンテンツ制作に時間がかかるため、問い合わせから広告コンテンツの公開まで1~2ヶ月の時間を要することは覚悟しておいた方がいいです。
具体的には下記のような手順で広告コンテンツを制作していきます。
コンテンツを二次利用できる(有料の場合が多い)
タイアップ広告では、制作したコンテンツを二次利用できるケースが多いです。二次利用とは、タイアップ広告で制作したコンテンツを広告配信に利用したり、サービスサイトへ掲載するなど、メインで配信予定のメディア以外の場所でコンテンツを利用することです。
タイアップ広告の効果が高かった際に、広告やサービスサイトにも展開することでユーザー獲得をさらに伸ばせる可能性があります。
ただし、コンテンツの二次利用は多くの場合有料オプションとなるため、予め費用感を確認しておくことをおすすめします。
タイアップ広告を活用するメリット
では、タイアップ広告を活用することでどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
1. メディアが蓄積してきたブランド力を使える
なんといっても一番のメリットはこれです。メディアのブランド力を使えることです。言い換えると、これまでメディアが蓄積してきたユーザー(読者や視聴者)からの信用力を借りることができることです。
例えば、あなたがビジネススクールの経営者だとします。
自分たちがSNS広告で「私たちのビジネススクールはこんなに優れています!」とアピールしてもビジネスパーソンには響かないかもしれません。しかし、大手ビジネスメディアを使って「○○が運営するビジネススクールはここが凄い!」という広告を出すことで、興味を惹ける可能性が高まります。
ユーザーがいつも見ていて信用している大手ビジネスメディアから情報を提供するからこそ、人は興味を持って行動してくれます。つまり、「何を言っているか」ではなく「誰が言っているか」で人は動くということです。
2. 芸能人やインフルエンサーをキャスティングできる
2つ目のメリットは、全てのケースに当てはまる訳ではありません。主に芸能人やインフルエンサーを積極的に起用しているメディアであればこのメリットを享受できます。
芸能人やインフルエンサーを起用するメディアでは、タイアップ広告のプランの中にオプションとしてキャスティングが含まれていることがあります(当然追加費用がかかります)。含まれていなかったとしても、この記事に登場しているこのインフルエンサーを起用することはできますか?と聞いてみると調整してくれる場合もあります。
芸能人やインフルエンサーを起用するメリットは、個人のブランド力(= 信用力)を借りることができる点です。メディアの信用力に加えて、インフルエンサーの信用力も上乗せされるのでより強力なプロモーションを展開できます。
また、自社のCMやWebサイトでの広告利用ができないような方を、タイアップ広告だと起用できるといったケースもあります。これは、既にメディアとインフルエンサーの信頼関係が構築できており、あくまでそのメディアのコンテンツに出演するという見え方になるためです。
ちなみに、YouTuberとのタイアップの場合は、「タイアップを実施する = インフルエンサーのキャスティング」ということになりますね。
3. 広告の配信対象を細かく絞り込める(ターゲティングができる)
タイアップ広告の3つ目のメリットは、ターゲティングして広告を配信できることです。つまり、サービスを知ってもらいたい人を細かく絞り込むことができます。
ターゲットを絞り込める理由は、メディアには必ず想定されるペルソナ(= 読者層、視聴者層)があるからです。ペルソナが決まっているからこそ、企業(広告主)はどのメディアに広告を出すか比較検討することができます。
例えば料理レシピサイトであれば、下記のようなペルソナが想定されます。
・30 ~ 50代の女性
・料理を作る習慣がある
・結婚をして子供がいる
料理をしていて、日々のレシピに困っている主婦層にアプローチできそうですね。
SNS広告のような運用型広告でも、配信対象を絞ることはできますが、せいぜい30~50代の女性で料理に興味関心がある人、程度です。ユーザーの心理の深さが全然違うことが分かると思います。タイアップ広告の方が深く配信対象を絞り込むことができます。
上記の料理レシピサイトであれば、食料品や料理教室などの広告は相性が良さそうです。
タイアップ広告の種類
タイアップ広告と一括りに言っても、色んなパターンが考えられます。今回は、代表的な3つのタイアップ広告をご紹介します。
Webメディアとのタイアップ
これが最も一般的なタイアップ広告の形だと思います。冒頭でも説明した「記事広告」と呼ばれるものが、Webメディアとのタイアップです。
WebメディアとはWeb上に公開されているサイトを指すので、その数は無限です。ニュースサイト、料理レシピサイト、女性向けサイト、金融情報サイト、個人ブログなど、ジャンルも様々です。
ただし、タイアップ広告を提供するためには相当のPV数が必要です(PV数がないとそもそも企業は広告を出そうと思わないですよね)。
よって、タイアップ広告を検討する際は、大手のWebメディアから検討していくことになるでしょう。
タイアップ広告を検討したいメディアが決まっていれば「媒体名 タイアップ広告」で検索してみましょう!そのメディアがタイアップ広告を提供していれば、検索結果に出てきます。
YouTuberとのタイアップ
YouTuberタイアップ広告は、YouTuberが動画内でタイアップしている企業の商品を紹介するケースが多く、実際に見たことがある人も多いのではないでしょうか。
YouTuberタイアップはここ数年でかなり増えた印象があります。その理由は、マスメディアからデジタルに広告予算をシフトする企業が増えているからです。
Webメディアが記事中心にコンテンツを作ることに比べて、YouTuberタイアップは動画で商品をプロモーションすることができます。また、Webメディアに比べて個人のイメージに広告効果が左右されるのがYouTuberタイアップの特徴です。
YouTuberが公開している動画がタイアップか否かは下記のような点で見分けることができます。
- 動画の冒頭で左下に「プロモーションを含みます」というテロップが入る
- 概要欄に「提供:株式会社○○」という記載がある
- 動画の冒頭や途中でタイアップしている商品やサービスのロゴが紹介される
個人の発信力・影響力は大きくなっているので、商品との相性が良ければ大きな反響を得ることができます。
テレビ番組とのタイアップ
テレビ番組タイアップは、テレビの番組内でタイアップ企業の商品を紹介する取り組みです。分かりやすい例だと、バラエティ番組などでクイズやゲームの賞品としてタイアップ企業の商品を紹介するという手法です。
また、ロケを中心としたグルメ番組で、立ち寄ったお店のお土産が紹介されるのもタイアップの一部でしょう。
番組内の自然な流れで商品が紹介されるので、テレビCMに比べて売り感を出さずに商品をプロモーションできるのが特徴です。
ここで紹介した代表的な3種類以外にも、オフラインイベントのタイアップや、Twitterと連動したタイアップなど、様々なイベントやメディアでタイアップが行われています。
タイアップ広告の費用
タイアップ広告の費用は媒体によって本当に様々です。
Webメディアであれば1回あたり50万円程度からできるプランもあれば、連載などになってくると1000万円を超えるプランもあります。私の肌感としては1本あたり100 ~ 300万程度の金額設定が多いと感じます。
YouTuberタイアップも、チャンネル登録者数が数万クラスの方であれば数十万円、100万登録を超えるトップYouTuberになると、百万単位から千万単位にも及びます。
テレビ番組タイアップも、ローカル番組からゴールデン番組で費用感が異なりますが、テレビという媒体の特性上比較的高めの金額設定になっています。百万単位で費用が発生するでしょう。
どのレベルのメディアとタイアップすべきかは、使える広告予算やマーケティングフェーズによって異なるため一概には言えませんが、最初は検証の意味合いが大きいため予算の少額を使って実施していくのがおすすめです。
タイアップ広告を始めるべきタイミング
ここまでタイアップ広告の基本情報について説明してきました。では次に、タイアップ広告はどのタイミングで始めるべきなのかを話していきます。
正解はないので、あくまで私個人の経験を元にした一つの目安としてお考えください。
結論、運用型広告のみ実施している企業であれば、運用型広告のCPAが悪化して許容値を上回ってくるタイミングがいいと思います。
運用型広告では動いてくれない層に対してタイアップ広告で接触することで、興味を持ってもらえるからです。結果、新しい顧客を獲得することができ、CPAの低下に繋げられる可能性があります。
また、最初はメディアとの相性が不明確なので検証要素が大きくなります。よって、タイアップ広告費が最大でも全体の広告予算の10~20%程度の範囲に収まるように予算をマネジメントすることをおすすめします。万が一、効果が全くなかった場合でも売上への影響を小さく抑えることができます。
一方で、運用型広告でまだまだ獲得ができている状態であれば、運用型広告の予算を増やした方がいいでしょう。
また、大企業のように潤沢に広告予算があってテレビCMを中心にプロモーションを行なっているような企業であれば、テレビを見ない層にアプローチするためにYouTuberやSNSのタイアップなどが1つの選択肢として考えらます。
いずれの場合でも、実施の目的を明確にしてなぜ今やるべきかを社内で言語化しておくことが大切です。
タイアップ広告はメディア選定が最重要
最後に、タイアップ広告で失敗しないために最も気をつけるべきことについて説明します。タイアップ広告では、メディア選定が広告の成否を左右します。
もちろん、制作するコンテンツのクオリティも大事です。しかし、想定するユーザー層がいないメディアにどれだけクオリティの高いコンテンツを配信しても効果は出ません。
極端な話、子供向けのメディアに金融商品のコンテンツを配信するようなものです。
では、どのようにメディア選定をすればいいのか?
それは、自社サービスのペルソナと、タイアップするメディアのペルソナの重複率を最大化することです。
メディアは媒体資料と呼ばれる、読者・視聴者の年代、男女比、地域などの情報をまとめた資料を提供しているので、媒体資料をダウンロードしてペルソナを確認しましょう。
そして、自社サービスが狙っている顧客層と最も読者・視聴者層が重複しそうなメディアを選定することをおすすめします。
内容のまとめ
- タイアップ広告は企業(広告主)とメディア(媒体社)が協力して制作した広告のことを指す
- タイアップ広告は、コンテンツ制作と配信がセットになっており、実施するためには毎回メディア(媒体社)に発注する必要がある
- 運用方広告と違って、タイアップ広告は着想から広告のリリースまで1~2ヶ月の時間がかかる
- タイアップ広告を実施する一番のメリットはメディアのブランド力を使えること
- 運用型広告を中心に行なっている企業は、運用型広告のCPAが悪化して許容値を上回るタイミングで実施を検討するのがおすすめ
- タイアップ広告では、メディアの選定が最重要なので、自社サービスとタイアップするメディアのペルソナの重複率を最大化する