本記事では、広告のターゲットを絞る2つの考え方について説明します。
下記のような悩みを抱えている方には最適です。
- 広告出稿量を増やしたいけれど、どの媒体に出せばいいか判断つかない
- 広告効果を改善するために広告の配信ターゲットを見直したい
- 広告でターゲティングする方法が分からない
記事を読み終えると、ターゲティングの考え方を理解することができ、どのように媒体選定をしていくべきか具体的なアクションが取れるようになります。
では早速見ていきましょう!
目次
【前提】ターゲティングするならデジタル広告一本
大前提、広告でターゲティングを考えるのであれば、手段はデジタル広告だけになります。マス広告やオフライン広告ではターゲティングはできません。
4マス媒体と言われる、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌はどれも見る人、購入する人を絞ることができません。また、電車を始めとした交通広告は出す場所で多少はターゲットを絞れるかもしれませんが、それでも精度は低く、デジタル広告の足元にも及ばないです。基本的には老若男女に広告が露出されてしまいます。
テレビCMが向いている商材
飲料品やお酒、化粧品のような利用対象者の広いマス向け商品であれば、各社テレビCMを打って認知を獲得しようとします。いかに競合からシェアを奪うかが大事になるからです。
下記の表は、株式会社エム・データが発表した「2020年TV-CM会社ランキング」のトップ10企業と扱っているブランドを可視化したものです。
日用品、飲料、食品、携帯キャリアなど日頃から私たちが馴染みのあるブランドばかりであることが分かります。マス広告は高額なため、このように万人に使われるような商品・サービスでないと採算も合いません。
ニッチ商品はターゲティングが命
一方で、ニッチ商品であればマスの認知を取る必要がありません。
例えば、富裕層向けの金融商品を販売している会社がテレビCMを打つでしょうか?野村総合研究所が行った調査によると、2019年の日本における世帯の純金融資産保有額において、資産5億円以上の超富裕層は全体の0.16%しか存在しません。1億円以上の富裕層に絞っても人口全体の2.46%です。
出典:野村総合研究所、日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計
ターゲットが少なすぎるので、大衆に向けて露出するマス広告の費用対効果は悪くなることが想定できると思います。
また、認知を拡大するということは、競合に自社の商品が売れているということを暗にアピールすることになるため、競合が増えます。ニッチな市場であるにも関わらず、競合が増えてしまうと旨味がなくなってしまうでしょう。
よって、ニッチ商品はどれだけターゲットに向けて広告を配信できるかが肝になります。
広告のターゲットを絞る2つの考え方
では、本題のターゲットを絞る際の2つの考え方について見ていきます。
結論はすごくシンプルです。
- 大きなリーチが取れる媒体を使って、配信ターゲットを絞る
- ターゲティングされた媒体を使う
この2つです。この2つは全く逆のアプローチになります。前者は膨大な配信先からターゲットを絞る考え方で、後者は特定のターゲットにのみリーチできる媒体を使う考え方です。
では、それぞれ詳しく解説していきます。
①大きなリーチが取れる媒体を使って、配信ターゲットを絞る
1つ目は、大規模なリーチができる媒体を使って、配信設定で細かくターゲティングする考え方です。大規模なリーチとは、主に月間の利用ユーザーが数千万単位でいて、ほぼマスに向けてリーチができる媒体を想定しています。
例えば、YouTubeは月間のアクティブユーザー数が6500万人(2020年9月時点)いるため、マスにリーチできる媒体です。今ではテレビのような感覚で使っている人も多いでしょう。時間がある時になんとなくYouTubeを見るといった習慣が浸透してきていると思います。
何千万単位のリーチを安定的に稼ぐ媒体は限られており、基本的にはSNSと検索エンジンと考えてもらってOKです。主要なSNS、検索エンジンは月間何千万のアクティブユーザーがいます。
主要SNSと検索エンジンは運用型広告を提供しており、自分たちで配信設定をして細かくターゲティングすることが可能です。
媒体例
- Facebok
- YouTube
- LINE
- リスティング広告
運用型広告について知りたい方は下記をご覧ください。
【超基礎】運用型広告とは何か?種類、特徴、開始までのステップを解説ターゲティングの種類
運用担当者が頻繁に利用する代表的なターゲティングの種類を見ていきましょう。
リターゲティング
ユーザーの特定の行動に応じて広告を出し分けるターゲティング手法です。サービスサイトに訪れたユーザーや商品の詳細ページに訪れたユーザーなどを狙い撃ちすることができます。
一度、自社の商品やサービスに対してアクションをしているため、購入に近いユーザーに訴求できるのが特徴です。広告効果も高くなる傾向にあるため、運用担当者はまず最初にリターゲティングから設定するケースが多いです。
デモグラフィックターゲティング
ユーザーの年齢、性別、所得、職業などの属性に応じてターゲティングする手法です。特定の年代に対して商品を訴求したい、女性だけに訴求したいといった場合などに有効です。
インタレストターゲティング
ユーザーの興味・関心を元にターゲティングする手法です。
例えば、Twitter広告で車のインタレストターゲティングを設定すると、Twitter上で車に関する情報収集をしたり、車に関する情報への反応率が高いユーザーなどに対して広告を配信することができます。
類似ユーザーターゲティング
特定のターゲティングと似た人を探し出してターゲティングができる手法です。
これを使えば、自社の商品を最近購入してくれた人と「似ている人」に対して広告を配信することができます。商品を購入してくれた人と似ている人なので、購入に繋がる可能性も高いです。
ジオターゲティング
「ジオ」とは地理という意味を有する英単語であり、位置情報のことを指します。つまり、ジオターゲティングとは位置情報を元にしたターゲティング手法のことです。
スマホのGPS情報などを使って、特定のエリアにいる人やそのエリアに住んでいる可能性の高い人に対して広告を配信することができます。商圏が決まっている場合や、実店舗を構えている場合などに有効なターゲティング手法です。
検索キーワードターゲティング
ユーザーがGoogle、Yahoo!といった検索エンジンで使用したキーワードに応じてターゲティングする手法です。主にリスティング広告で実施できます。
ユーザーが「検索をする」ということは課題やニーズが顕在化していることを表しているため、キーワード次第では購入意欲の高いユーザーにアプローチできます。リターゲティングと同様に、まず最初にリスティング広告にトライする運用担当者は多いです。
掛け算でターゲティングをしていく
このように、様々な配信設定ができることが分かったと思います。
実際に設定をしていく際は、1つのみ設定するのではなく、複数の設定を掛け合わせてターゲティングを行っていくケースが多いです。
例えば、下記のような掛け算があります。
- 30代男性(デモグラフィックターゲティング) × 車に興味がある(インタレストターゲティング)
- 「車 おすすめ」で検索したユーザー(検索キーワードターゲティング)× 関東圏在住(ジオターゲティング)
- 直近1ヶ月以内にサービスサイトに訪れたユーザー(リターゲティング)× 20代女性(デモグラフィックターゲティング)
このように、SNSや検索エンジンのような大きなリーチを稼げる媒体を使って、細かくターゲティングをするのが1つ目の考え方になります。
②ターゲティングされた媒体を使う
2つ目は、ターゲティングされている媒体を使う考え方です。1つ目の考え方とは異なり、リーチの大きさにはあまり囚われなくてOKです。もちろんリーチ数が大きければ大きいに越したことはありません。
ターゲティングされている媒体とはつまり、誰向けに運営されているか明確に言語化できる媒体ということです。
SNSや検索エンジンは特定の誰向けかを説明することは難しいでしょう。SNSは暇を持て余す全ての人、検索エンジンは悩みを解決したい全ての人といった感じで、説明しようとすると抽象度が高くなってしまいます。
一方で、世の中の多くのWeb媒体はターゲットが絞られていて、誰向けなのかが明確になっています。例えば、日経電子版は「情報収集意識の高いビジネスマン」がターゲットであり、モデルプレスは「トレンドに敏感な女性」がターゲットです。
この記事を運営しているZ MARKETINGは「駆け出しのマーケターやマーケティングを学びたい経営者」がターゲットです。
その他にも例として下記のような媒体が挙げられます。
媒体例
- クックパッド(料理をする主婦がターゲット)
- OTONA SALONE(アラフォーの働く女性がターゲット)
- 看護roo!(看護師がターゲット)
- dot LIFE(富裕層のペットオーナーがターゲット)
- GameWith(ゲームをする人がターゲット)
- MOBY(車好きがターゲット)
このように、ジャンルごとで様々なWeb媒体が存在します。自分がターゲットでなければ知らないような媒体も多いでしょう。
また、ターゲティングされた媒体に広告を出稿する場合は、運用型広告ではなく、広告主と媒体社が協力して広告を制作するタイアップ広告となるケースが多いです。
タイアップ広告とは?特徴やメリット、始めるべきタイミングを解説媒体選定のポイントはターゲットの重複率を高めること
媒体を選定するまでの流れは下記です。
- プロモーションで訴求したいターゲット層を決める
- 「①で決めたターゲット層 = 媒体のターゲット層」となる媒体をピックアップする
- 媒体の規模や広告プランを加味して、広告出稿する媒体を決める
最も重要なのは②です。自分たちが提供する商品やサービスのターゲットと媒体のターゲット層を重複させなければいけません。重複率が高ければ高いほど、広告効果もよくなる可能性が高いです。
例えば、あなたは食品会社に勤めていて、新商品の調味料に関する広告を出したいと考えます。調味料のメインターゲットは主婦層だと考えています。この場合、「料理をする習慣がある主婦層」をメインターゲットとしている媒体を活用することで広告効果を高められそうです。
料理レシピサイトのクックパッドやクラシル、DELISH KITCHENなどが候補になるでしょう。これらの媒体は「料理をする習慣がある主婦層」をメインターゲットにしている可能性が高いからです。
まずは①の考え方から始めるのがおすすめ
ターゲットを絞る2つの考え方を紹介してきましたが、どちらから始めればいいか迷っている方は①の考え方から取り組むことをおすすめします。
理由は以下の3つです。
ターゲティングを詳細に決められる
自分たちで細かくターゲティングの設定ができるので、誰に向けて広告を配信した時に、一番広告効果が高くなるのかを素早く検証することができます。
少額から検証できる
1円から広告配信ができるので、予算が少ない企業であっても広告を出して検証することができます。
リアルタイムに改善できる
24時間どのタイミングでも広告の改善ができます。タイアップ広告の場合は決められた予算を使い切るまでは変更をすることができません。
このように、リスクを抑えながら精度高いターゲティングができるため、運用型広告から取り組むと良いでしょう。
内容のまとめ
- 広告でターゲティングをしたいのであれば、選択肢はデジタル広告一本となる
- 特にニッチな商品は、マス認知が必要なくターゲティングが命
- 広告のターゲットを絞る考え方は2つあり、1つ目は「大きなリーチが取れる媒体を使って、配信ターゲットを絞る」こと。2つ目は「ターゲティングされた媒体を使う」こと
- 大きなリーチが取れる媒体は限られており、SNSや検索エンジンが該当する
- SNSや検索エンジンが提供する運用型広告では様々なターゲティングができるようになっており、例としてリターゲティング、デモグラフィックターゲティング、インタレストターゲティングなどがある
- 2つ目のターゲティングされた媒体とは、誰向けに運営されているか言語化できる媒体のことで、世の中のWeb媒体は基本的にターゲティングされている
- ターゲティングされた媒体を選定する上で重要なポイントは、自社のターゲットと媒体のターゲットの重複率を高めること
- どっちの考え方から始めるべきか迷っている人は1つ目の大きなリーチができる媒体で運用型広告を配信することから取り組むのがおすすめ