マーケティングの仕事が辛いと感じてしまう理由8選【現役マーケターが語る】

この記事を見ているあなたは「マーケティングの仕事が大変で辛い…」と感じているかもしれません。

これからマーケティングの仕事を始めるという方は、「未経験からマーケティング職にチャレンジしたいけど自分にもできるか不安…」とネガティブな感情に囚われているかもしれません。

多くの悩みは、当初期待していたマーケティングの仕事と現実の仕事にギャップがあるから生まれます。

本記事では、マーケティングの仕事が辛いと感じてしまう理由を8つにまとめました。

私自身が現役マーケティング責任者として仕事をしながら大変だと感じたことや、これまで一緒に仕事をしてきた20名以上のマーケターから聞いた「こういうところマーケターは辛いよねえ」という話を総合的に踏まえています。

本記事を読んで、「ああ、マーケティングの仕事とはそういうものなのか」と期待値を調整してもらえると嬉しいです。また、ただ単に辛い理由を紹介するだけでなく、辛く感じないためにマーケターとしてどのようなマインドセットを持つべきかをセットでお伝えしていきたいと思います。

それではいきましょう!

Webマーケターの全体像を網羅的に理解したいという方は「【保存版】Webマーケターとは?仕事内容、必要なスキル、未経験からプロになる方法を徹底解説」の記事からご覧ください。

【辛い理由①】予算100%達成は当たり前

まず1つ目の理由は、「予算100%達成は当たり前」ということです。予算100%程度で褒められることはまずないでしょう。

マーケティングチームは利益、売上、集客数など会社経営において重要な指標を担っていることがほとんどです。結果を出すと、自分たちの力で会社を成長させているという実感を得られるでしょう。確かにその快感はあります。

けれど、その快感は自分の中だけに止めておく必要があります。他の部署や経営陣から見ると、予算達成は「当たり前」のことなのです。売上を伸ばしていようが、集客を伸ばしていようが、予算を100%達成することはマーケターの最低限の仕事だからです。

これはマーケターに限ったことではありません。ビジネスマンは給料という形で報酬を受け取っているので、予算を100%達成ではじめて「仕事をした」ということになります。

もちろん外部環境など実際は様々な要因で未達になってしまうこともあります。あくまで、期待値として100%達成は当たり前という話です。

仮に予算を当初の事業計画よりもストレッチしていたとしても達成度100%に変わりはありません。上司はストレッチした目標を達成したことを分かってくれますが、自部署以外から見るとストレッチした目標であろうがなかろうが、「達成度100%」に見えます。

もしあなたが賞賛を得たいと考えるなら150%、200%達成を目指しましょう。

マーケターが持つべきマインドセット

予算を100%達成するのは当たり前だということを胸に刻む。賞賛を得たいなら最低でも150%達成を目指そう。

【辛い理由②】ただし、予算未達はめちゃくちゃ詰められる

2つ目の理由は、「予算未達はめちゃくちゃ詰められる」です。

ここでの「詰められる」は、感情的に怒鳴られるということではありません。結果に対しての説明責任を求められるという意味です。

理由1でもお伝えした通り、マーケティングチームは利益、売上、集客数など会社経営において重要な指標を担っています。そのため、マーケティングチームの予算未達は会社の業績を左右します

全社の売上未達の理由もマーケティングの不調となり、大きなマイナス影響を及ぼすことになります。

未達になると、経営陣や様々な部署から未達要因の説明を求められるでしょう。「こういうケースは想定していたか?」「改善するための打ち手は?」など、矢継ぎ早に飛んでくる質問に答えなければいけません。

どれだけ詰められても、落ち込んでいる暇はありません。予算を達成するために素早くアクションを取ることが求められます。予算を達成するのは当たり前、未達になると詰められる、それがマーケターの宿命です。

一方で、このような環境下で仕事をすれば、メンタル的にもタフになり、思考体力が身につき、ビジネスマンとしての能力も飛躍的に上げられるでしょう。

マーケターが持つべきマインドセット

マーケティングチームの予算未達は会社の業績と密に連動するため、真っ先に説明が求められる。未達の要因が何で、どう改善すべきかを常に思考し続ける必要がある。

【辛い理由③】大幅達成するとオペレーションが追いつかない

3つ目の理由は、「大幅達成するとオペレーションが追いつかない」です。大幅達成というのは200~300%達成レベルで、さすがに予想していないレベルのことです。

マーケティングの仕事をしていると稀にこれが起こることがあります。アイデアを捻り出して、とにかく多くの施策を打っていると、施策が大当たりします。

120%くらいの成果を見込んでいたが、200~300%まで伸びたといった具合です。施策がバズって予想以上に拡散されたりするケースが考えられます。

当然オペレーションサイドは想定していないので、ビジネスモデルによっては大慌てです。在庫を抱えるビジネスの場合、在庫がなくなり売り切れにしないといけなくなるでしょう。店舗ビジネスの場合は、定員オーバーとなり受け入れを一時停止する必要が出てきます。

せっかく施策が当たってアクセルの踏みどころなので、マーケターとしてはもっと広告を出して成果をあげたいと考えたくなります。

しかし、キャパシティーを超えてしまうとアクセルは踏めません。キャパシティー以上は広告の無駄打ちとなるため、停止せざるを得ません。

会社としては嬉しい悲鳴ですが、マーケターとしては大きな成果をあげられるタイミングで踏み止まらなければいけない歯痒さが辛いです。(もちろんやってやったという嬉しさも大きいですが。)

マーケターが持つべきマインドセット

施策が大当たりして想定以上に伸びたとしても、オペレーションとの関係上アクセルを踏む限界があることを理解しておく。(ただしビジネスモデルによる)

【辛い理由④】他部署からリスペクトされない

4つ目の理由は、「他部署からリスペクトされない」です。

これは少し語弊が生まれそうなので補足すると、リスペクトはされます。いつも新規顧客を集めてくれて有難う、集客を伸ばしていてすごい、と感謝もされます。

ここで言うリスペクトされないとは、マーケターの業務内容が全く理解されないということです。理解されない理由は2つあり、「仕事内容が決まっている訳ではない」ことと、「やっていることが専門的すぎる」からです。

まず1つ目の「仕事内容が決まっている訳ではない」についてですが、マーケターの仕事は売上や利益を上げることです。その過程は重要ではありません。よって、何をやるかはマーケターの裁量にかかっています。

極端な話、月によってやることがコロコロ変わっていきます。1つの施策を試してダメだったらまた別の施策をやるというサイクルを繰り返すので、具体的な業務において何をやっているかを説明することが難しいです。説明できたとしても、毎月言っていることが変わったりします。

そのため、プロセスを理解してもらうことが難しく、他部署の人は売上がいくら上がったとか、集客がどれだけ伸びたという結果でマーケターの仕事を見ます

2つ目の「やっていることが専門的すぎる」についてですが、言葉の意味の通り、マーケターの話している言葉や仕事で使っているツールが専門的過ぎます。

コンバージョン、CPA、CTR、LTVなど、一般的には聞き慣れない言葉を多用します。また、広告配信ツールやCRMなど使っているツールが専門知識を必要とするものが多く、すぐに内容を理解できるものではありません。

結果が出ている時は分かりやすくていいですが、結果が出なかったときはプロセスを説明しても理解され辛いでしょう。

マーケターが持つべきマインドセット

マーケターの仕事をマーケター以外に理解してもらうことは難しい。プロセスではなく結果でアピールしよう。

【辛い理由⑤】驚くほど施策を外す

5つ目の理由は、「驚くほど施策を外す」です。

企画した施策がうまくいくなんて思ってはいけません。施策は外れるものです。

こんなことを言うと、最初から外れると思ってるから外れるんだと突っ込みがくるかもしれません。しかし、どんなに敏腕マーケターでも百発百中なんてことは有り得ません。

ユニクロを運営するファーストリテイリングの創業者である柳井正さんは、「一勝九敗」という著書の中で、「10回新しいことを始めれば9回は失敗する」とおっしゃられています。柳生さんほどの方でも多くの失敗をしているのですから、挑戦に失敗はつきものです。

緻密にデータ分析をして、仮説を立てて、企画を作っていざリリースしても無風なんてことはしょっちゅうあります。市場が求めるもの、お客様が求めるものが全部分かっていて、出した企画が全て当たるのであれば、みんな成功しています。

一方で、施策を外したからといって悲観的になる必要もありません。施策を外したと言うことは、言い換えれば仮説が違っていたことが分かったということです。これは貴重な結果です。仮説が違っていたことが分かったのであれば、何が問題だったかを分析してまた次の仮説を立てるまでです。

仮説検証の積み重ねが大きな成果を生み出すことにつながります。仮説の精度を高める努力はしなければいけませんが、結果をコントロールすることはできません。

施策がうまくいくという前提を捨てましょう。検証ポイントが何で、施策の結果から何を得たいのかにフォーカスしましょう。

マーケターが持つべきマインドセット

施策は外れるものなので、いちいち落ち込まない。なぜ失敗したかを分析して、次の仮説を立てることに活かさなければいけない。

【辛い理由⑥】クリエイティビティを発揮し続けなければいけない

6つ目の理由は、「クリエイティビティを発揮し続けなければいけない」です。

クリエイティビティが必要な理由は、マーケティングの仕事に答えがないためです。

答えのある仕事であれば、やり方が全て決まっているのでマニュアル化されています。マニュアル通り実行していればいいので、考える余地はそれほどありません。

一方で、答えのない仕事はマニュアル化ができません。事業で起きる課題は一言で説明できるような単純なものではなく、様々な要因が絡んでいて複雑性が非常に高いです。

そのため、マーケターにできることは無数に考えられる打ち手の中から現時点での最善手を抽出し、最速で実行することです。考えて考えて生み出した施策に効果があろうがなかろうが、1つの仮説検証が終わるとすぐに次の仮説を考えて実行していかなければいけません。

新しい企画やマーケティングのアイデアを生み出す過程はクリエイティブ活動そのものです。脳みそがねじ切れる程必死に考えた企画を上司に突っぱねられるかもしれません。それでも、OKがもらえるまで粘り強く考え続ける忍耐力、思考体力が求められます。

常にクリエイティブな思考でいることは大きなストレスがかかります。出すまで結果が分からないことにストレスを感じる人もいいます。

しかし、マーケティングの仕事をする上でクリエイティブな思考を持つことを避けて通ることはできません。

マーケターが持つべきマインドセット

マーケティングの仕事に答えはないので、ゴールが見えない中でも最速で仮説検証をし続けなければいけない。

【辛い理由⑦】仕事内容が思ったよりも地味すぎる

7つ目の理由は、「仕事内容が思ったよりも地味すぎる」です。マーケティングや企画の仕事に華々しいイメージを持つ人もいるようですが、そんな幻想は捨てましょう。

マーケター以外の人から見えるマーケターの仕事は、テレビCMを作って放映したり、有名人を起用してキャンペーンを打っているといった分かりやすいもので捉えられがちです。確かに、ここだけを切り抜くと派手で面白いかもしれません。

しかし、テレビCMを1本世に公開するまでには、裏側では数え切れない程の地味な仕事を積み重ねています。

まず、テレビCMを本当にやる必要があるのかデータ分析をします。自社サービスの認知率がどれくらいあるのか知るために市場調査を行い、テレビCMによって認知率をどこまで上げられそうかシミュレーションします。認知率が目標通り上がった時に、どれくらいの売上増加に繋がるのかシミュレーションします。

次に、広告代理店に問い合わせをします。自社サービスの概要やテレビCM実施目的をまとめた資料を作成して代理店に共有します。コンペをして広告代理店を選定します。

代理店が決まったら数ヶ月に渡って企画や構成を練っていきます。そこから、撮影を行います。撮影したデータを使って、WebサイトやWeb広告のクリエイティブを企画します。広告配信戦略を決めて、配信の設定をします。そして、テレビCMの放映と同時にWeb広告も流し始めます。

かなり省略している部分もあるので、実際はもっとやることは多いです。このように、華々しく見える一面を支える多くの地味な仕事があります。

ここは最もイメージとのギャップが生まれる部分でもあるので、派手さや見た目の面白さだけでマーケティングの仕事を選ぶことだけはやってはいけません。

マーケターが持つべきマインドセット

数字を眺めて分析を行ったり、顧客の声を直接聞きに行ったり、社内調整を行ったり、マーケティングの仕事のほとんどは地味ということを理解する。

【辛い理由⑧】辛い理由が多すぎて辛い

最後に8つ目は、「辛い理由が多すぎて辛い」です。半分冗談ですが、既に理由7までで辛すぎますよね。でも、これらは紛れもない事実です。

もし、これからマーケティングの仕事をしたいと考えている方は、ここまで書いてきた内容は踏まえた上でそれでも挑戦したいか自分に問うてみましょう。

会社の上司が威圧的だとか、同僚との人間関係がうまくいかないとか、会社の文化が自分に合わないとか、今の仕事が辛いと感じる理由は他にもたくさんあると思います。

そういった、自分でコントロールできない要素が多い場合は転職も視野に入れましょう。まずは転職エージェントに登録して人に相談みるのがおすすめです。

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以上ここまで、マーケティングの仕事が辛い理由を話してきましたが、最後にポジティブな面にも触れたいと思います。

マーケティングの仕事が面白いと感じる点は、事業を自分の仕事によって成長させている手触り感を得られることだと思います。事業を拡大させることで、多くの人に価値提供できる機会を生み出すことができます。これがマーケティングの仕事をする一番の醍醐味だと私は感じます。

内容のまとめ

  • 【辛い理由①】予算100%達成は当たり前
  • 【辛い理由②】ただし、予算未達はめちゃくちゃ詰められる
  • 【辛い理由③】大幅達成するとオペレーションが追いつかない
  • 【辛い理由④】他部署からリスペクトされない
  • 【辛い理由⑤】驚くほど施策を外す
  • 【辛い理由⑥】クリエイティビティを発揮し続けなければいけない
  • 【辛い理由⑦】仕事内容が思ったよりも地味すぎる
  • 【辛い理由⑧】辛い理由が多すぎて辛い