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CMO(シーエムオー)とはChief Marketing Officerの頭文字を取った略称で、企業の最高マーケティング責任者という役職を指します。
元は欧米企業を中心にCMOの役職を設置する事例が多かったですが、近年は日本でもCMOを設ける企業が出てきていることから注目度が増しています。
将来的なキャリアパスとしてCMOを目指したいと考えている人もいるでしょう。
本記事では、CMOとは何か?その役割や仕事内容、CMOに必要なスキルまで幅広く解説していきます。
目次
CMO(チーフマーケティングオフィサー)とは?
CMO(シーエムオー)は一言で言うと、経営戦略をマーケティング戦略に落とし込んで実行する人です。企業におけるマーケティングの最終責任を担います。
全社を横断してマーケティング戦略を考え、経営レベルでの意思決定を行います。売上や利益に対して責任を持つ場合が多いでしょう。
日本ではまだCMOは定着していない
日本ではまだまだ欧米に比べるとCMOを設置している企業が少ないのが実態です。2018年3月時点において、役員レベルでのCMOを設置している上場企業は全体の7.9%しかありません。マーケティング本部長やマーケティング担当部長なども含めた広義のCMOでも11.3%程度です。
参考:日本マーケティング学会『日本型 CMO の現状と展望』
一方で、2013年に経済産業省によって行われた調査では、アメリカのフォーチュン500社のうち62%の企業がCMOを導入しているという結果があります。
このことからも、欧米に比べて日本はまだCMOという役職の定着率が低いと言えます。
CMOを設置している日本企業
CMOを設置している国内企業には下記のような企業があります。
- 富士通株式会社
- 株式会社ファミリーマート
- 株式会社日立製作所
- 日清食品ホールディングス株式会社
- 日本電気株式会社
※2021年9月時点
CMOとその他CXOの役割の違い
一般的に、CMOを始めとした幹部役職のことをCXO(Chief X Officer)と呼びます。特定の役割や業務の中で、最も責任あるポジションがCXOであり、「X」のところに業務の名称が入ります。
マーケティングの最高責任者であれば、CMO(Chief Marketing Officer)であり、財務の最高責任者であれば、CFO(Chief Financial Officer)といった具合です。
法的な裏付けはないため、定義や意味づけは企業によって異なる場合があり、これらの役職を設置する・しないも企業次第ということになります。
具体的にCMO以外のCXO役職の役割について解説していきます。
CEO(最高経営責任者)
CEOはChief Executive Officerの略称であり、最高経営責任者を指します。CXOの中で最も一般的であり聞き馴染みがあるかもしれません。
CEOは企業経営のトップであり、会社の経営方針や業績に対して責任を負います。単に「代表取締役社長」としたり、「代表取締役CEO」と訳すこともあります。
COO(最高執行責任者)
COOはChief Operating Officerの略称であり、最高執行責任者を指します。CEOを始めとした経営陣が定めた経営方針や事業計画の実行に責任を持ちます。
CEOに次ぐ実質No.2と見られることも多く、副社長がCOOを務めるケースもあります。
CTO(最高技術責任者)
CTOはChief Technology Officerの略称であり、最高技術責任者を指します。企業における技術領域の責任者や担当役員などがこの肩書きを背負います。
特にITサービスを提供している企業では技術力が経営の競争力に直結するため、CTOを設置するケースが多いです。
CFO(最高財務責任者)
CFOはChief Financial Officerの略称であり、最高財務責任者を指します。CFOは企業の財務・経理における最終的な責任を持ちます。
財務部長や経理部長に比べてより経営視点が必要となり、経営資源の配分から資金調達の実施、投資戦略など、経営と連動した意思決定が要求されます。
上場を目指すベンチャー企業などでは、上場準備業務もCFOの担当領域となることが一般的です。
CHRO(最高人事責任者)
CHROはChief Human Resource Officerの略称であり、最高人事責任者を指します。組織の「人」に関する領域に対して最終的な責任を持ちます。
人事労務の実務だけでなく、より経営視点で人事戦略を考える必要があります。具体的には、採用戦略の策定、人事評価制度の整備、社員の育成、理念・ビジョンの浸透、経営戦略に基づいた組織構築などです。
CMOの仕事内容
次に、CMOの仕事内容について見ていきます。CMOの業務範囲は幅広く、企業のフェーズによっても役割が徐々に変わってきますが、代表的なものだと下記の3つがあります。
- マーケティング戦略の立案・実行計画の作成
- マーケティング組織の構築
- 社内・社外へのコミュニケーション
マーケティング戦略の立案・実行計画の作成
CMOはマーケティング領域を管掌する経営陣の一人です。期待されていることは、経営戦略を軸にマーケティング戦略を作成し実行に移すことです。そして、戦略をを実行した結果、売上や利益を向上することです。
マーケティングは事業の行方を左右する重要な職務領域であるため、結果数値に対しての高いコミットメントを求められます。
CMOが作成した最終的な戦略を元に組織は動いていくため、マーケティング戦略の立案はCMOの腕の見せ所であり、最も重要性の高い仕事だと言えます。
マーケティング組織の構築
描いた戦略を実行するために必要なマーケティング組織を作ることもCMOの仕事の一つです。人が不足していれば自ら優秀な人材を求めて採用活動にコミットメントし、組織が大きくなってきたらマーケティング組織の文化を形成することに時間を使う必要も出てくるでしょう。
また、優秀な人材を連れてくるために、マーケターとして成長できる環境を用意することもCMOの仕事です。
社内・社外へのコミュニケーション
マーケティング部署だけで進められる仕事には限界があります。大きなプロジェクトになればなるほど、関係各所との連携は不可欠になります。
そのような環境下で、CMOは先頭に立って関係者が同じ方向に向かって進めるようにコミュニケーションを取る必要があります。
また、社外の投資家や利害関係者に対しても、自社のマーケティング戦略を説明する責任が発生します。意思決定の背景や戦略立案のプロセスなどを自身の言葉で伝えなければいけません。
CMOに必要なスキル
では次に、CMOになるために必要なスキルについて見ていきましょう。ここでは重要度の高い4つのスキルについてご紹介します。
- ビジネスを伸ばす力
- 強力なリーダーシップ
- 誰よりも顧客のことを考え抜く力
- データ分析力
ビジネスを伸ばす力
結果を出せるリーダーに人はついていきます。マーケティングにおける結果とはビジネスを成長させることです。よって、ビジネスを伸ばす能力がCMOには必須と言えるでしょう。
ボトルネックを特定し、素早く改善のためのアクションを決める行動力と意思決定力が求められます。
これは一朝一夕で身につくものではないため、いちマーケターとして仕事をする20代の頃から目の前の仕事で成果を積み上げていく必要があります。
経験に裏打ちされた本物のマーケティング力を育むことが自信に繋がり、次に説明するリーダーシップの醸成にも繋がっていくのです。
強力なリーダーシップ
先ほど説明した通り、マーケティングは1人で実行することはできません。大きなプロジェクトになればなるほど、社内外の多くの人を巻き込まなければいけません。
目標を語り、具体的な行動計画を示すことで関係者を一つの方向へと導く力が求められます。
従って、CMOになるためには過去にリーダーとして結果を出した経験は必須です。そこで得た結果が自信に繋がり、さらに自身のリーダーシップを強固なものにしてくれます。
誰よりも顧客のことを考え抜く力
マーケティングを成功に導くためには「顧客が求めるもの」を作る必要があります。CMOは先頭に立って顧客と会い、何が求められているかを考え続けなければいけません。
自分一人が顧客に向き合うのではなく、チーム全体として顧客にフォーカスを当てるような組織文化を作っていくことも求められます。
データ分析力
デジタルデータを用いてデータ分析をすることは、正確なマーケティングの意思決定に欠かせません。顧客属性ごと、時間帯、性別、志向性、売れ行き商品など、様々な切り口でデータを分析して次の施策に活かします。
データ分析においてテクノロジーの理解も必要です。マーケティングの分析に必要なデジタルデータを収集するために、システム設計にも精通する必要があります。エンジニアとコミュニケーションを取る機会も多いでしょう。
CMOの求人例・年収
転職情報サイトに掲載されているCMO求人をいくつかピックアップして紹介します。
CMOに対してどのようなスキルや経験が求められて、どのくらいの年収提示がされるのかイメージが湧くかと思います。
ITサービス・ソリューション会社の求人
募集職種
CMO候補
提示年収
1,000万円 ~ 1,600万円
従業員数
100名以上200名未満
必須スキル・経験
- 記事広告やランディングページを作成したことがある経験
- 商品企画からダイレクトマーケティングを一気通貫で担当したことがある経験
- ゼロイチのフェーズで楽しみながらポジティブに業務推進できる方
- 急拡大に伴う変化を楽しめる方(組織が急拡大しているフェーズのため)
歓迎スキル・経験
- 既存の枠にとらわれずに新たなスキームを用いて業務を追求した経験
- 事業やサービス、プロダクトの責任者としての実務経験
コスメメーカーの求人
募集職種
デジタルマーケティング責任者(CMO候補)
提示年収
600万円 ~ 1,000万円
従業員数
50名以上100名未満
必須スキル・経験
- デジタルマーケティング領域で運営責任者として豊富なご経験・ご実績をお持ちの方
- SNS、広告などWebマーケティング領域で運営に関わるご経験をお持ちの方
- 組織マネジメント経験をお持ちの方
テック系スタートアップの求人
募集職種
CMO候補
提示年収
750万円 ~ 1,500万円
従業員数
30名以上50名未満
必須スキル・経験
- 自社のマインドへの共感
- スタートアップに対応可能な柔軟性や能動性
- CMO経験、もしくはそれに準ずる責任者経験
内容のまとめ
- CMO(シーエムオー)は経営戦略をマーケティング戦略に落とし込んで実行する人で、企業におけるマーケティングの最終責任を担う
- 2018年3月時点において、役員レベルでのCMOを設置している上場企業は全体の7.9%しかなく、欧米に比べるとかなり遅れをとっている
- CMOを始めとした幹部役職のことをCXO(Chief X Officer)と呼び、CEO・COO・CTO・CFO・CHROなどがある
- CMOの最も重要な仕事はマーケティング戦略の立案・実行計画の作成をすることで、作成した戦略をもとに売上や利益を向上させること
- また、戦略を実行するためのマーケティング組織を構築するのもCMOの重要な仕事の一つ
- CMOに求められるスキルはたくさんありますが、特に欠かせないのはビジネスを伸ばす力とリーダーシップ
- CMOの求人は候補生として募集しているものが多く、年収は1000万円を超えるものも多い