マーケティング担当者が身につけるべきプログラミングスキルと勉強方法

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私は一時期エンジニアとして活動している時期があり、それからマーケターへとジョブチェンジをしました。元エンジニアからマーケターになった立場で言わせてもらうと、マーケターは全員プログラミングを身につけるべき!だということです。

何も難しい知識を学ぶ必要はなく、いくつかの言語の基本知識を押さえていれば十分に仕事を進める上で恩恵を受けることができます。

これまでの経験から、学習に投資した時間以上の価値を得られることを確信しています。

本記事では、マーケティング担当者が身につけるべきプログラミングスキルと、プログラミングを学ぶメリットをお伝えしたいと思います。また、後半では具体的な学習方法についても触れていきます。

マーケティング担当者がプログラミングを学ぶメリット

まず最初にマーケティング担当者がプログラミングを学ぶべきメリットをお伝えします。メリットは下記の3つです。

マーケ施策の実行スピードが上がる

マーケティングは施策の実行スピードが成果に直結します。しかし、データ分析やクリエイティブ修正などはエンジニアやデザイナーに依頼している場合が多いです。

この2つを自分で実行することができれば、それだけで優位性になり実行スピードを格段に上げることができます。

例えば、下記のような業務を自分で完結できます。

・LPやWebサイトの小さな修正ができる
・HTMLを編集してA/Bテストができる
・データベースから必要なデータを抽出できる
・MAやWeb接客をカスタマイズできる

エンジニアとのコミュニケーションが円滑になる

マーケターは様々な部署の人たちと連携してプロジェクトを主導する立場にあります。多くの人が苦戦するのがエンジニアとのコミュニケーションです。技術のことが分かっていないと意思疎通をすることが困難だからです。

プログラミングへの理解があれば、エンジニアとのコミュニケーションが円滑になり、プロジェクトの推進がスムーズになります。

具体的に得られるメリットは下記のようなもので、その恩恵は大きいです。

・エンジニアに具体的な開発依頼が出せるので、認識の齟齬が起きない
・エンジニアに無茶な依頼をすることがなくなる
・エンジニアと良好な関係を築くことができる

データドリブンな意思決定ができる

自分でデータ分析をすることができれば、必要なデータをすぐに抽出することができます。もちろん、エンジニアやデータサイエンティストに毎回依頼をすれば、データ抽出ができます。

最大の恩恵は、データドリブンの意識を持てることだと思います。

急いで定量分析がしたい時に自分でデータが抽出ができないと「まあ多分合っているからいいか」と自分の主観に頼って終わらせてしまうかもしれません。

しかし、自分でデータ抽出ができれば10分程度でデータ抽出して定量チェックができるので、正確な意思決定ができるようになります。他人に依頼すると手間がかかってしまい、その手間が意識の違いを生むのです。

マーケターが身につけるべきプログラミングスキル

マーケティング担当者が具体的に身につけるべきプログラミングスキルを4つご紹介します。

HTML・CSS

1つ目はHTML・CSSです。Webサイトで情報を表示させるためにはHTML・CSS以外を使う選択肢はありません。HTMLはWebページ上の文書を作成していく言語で、CSSはHTMLで作成した文書を装飾していくための言語です。

今読んでいるこの記事もHTML/CSSで構成されており、実際のコードは下記のようになっています。

HTML
<h3>
 <span class="ez-toc-section" id="HTML%E3%83%BBCSS"></span>
 HTML・CSS
 <span class="ez-toc-section-end"></span>
</h3>
<p>
 1つ目はHTML・CSSです。
 <strong>
   Webサイトで情報を表示させるためにはHTML・CSS以外を使う選択肢はありません
 </strong>。
 HTMLはWebページ上の文書を作成していく言語で、CSSはHTMLで作成した文書を装飾していくための言語です。
</p>

<h3>や<p>のように括弧付きで表示されている部分は「HTMLタグ」と呼ばれるもので、見出しや段落などを意味します。

CSS
.entry-content h3 {
    padding: 0 16px;
    margin: 2.6em 0 0.7em;
    border-left-width: 4px;
    border-left-style: solid;
    font-size: 1.2em;
    line-height: 1.5;
}

.entry-content p {
    margin: 0 0 1.5em;
    line-height: 1.93;
}

p {
    word-wrap: break-word;
    display: block;
    margin-block-start: 1em;
    margin-block-end: 1em;
    margin-inline-start: 0px;
    margin-inline-end: 0px;
}

CSSでは、先ほどのHTMLタグのh3やpタグを指定して装飾をしています。

このように、数あるプログラミング言語の中でも最もシンプルで、習得しやすい言語がHTML・CSSです。全てを覚える必要はなく、マーケターとしてはHTML・CSSの仕組みを理解できればOKです。

一度仕組みを理解してしまえば、後は調べながら実装できます。これができるだけで見える世界が変わってくるでしょう。

HTML・CSSを身につけると出来ること

  • WebサイトやLPの作成・修正
  • A/Bテストの実装
  • 技術的な観点でのSEO対策
  • Webサイト制作のディレクション
  • ワードプレス等のCMSのカスタマイズ

SQL(一番おすすめ!)

SQLはデータを扱うことができる言語で、データの作成・抽出・削除などができます。基本的にマーケターが行う操作はデータの抽出のみです。

データはデータベースと呼ばれる表形式になった箱のようなものに保存されており、SQLを使ってデータを操作できます。

こちらもHTML・CSS同様に複雑なコードが書ける必要はありません。ちょっとデータが知りたいと思った時に必要なデータを自分で引っ張ってくる程度でOKで、難しいことではありません。

マーケターは数字を見て意思決定をしていく仕事です。SQLができれば自分でデータ分析ができるようになるため、マーケターには一番習得をおすすめする言語です。

SQLを身につけると出来ること

  • 必要なデータの抽出
  • 自社で扱っているデータの把握
  • データベース構造に配慮したUX設計
  • エンジニアとの円滑なコミュニケーション

Python

Pythonはサーバーサイド言語と呼ばれる種類に分類されるプログラミング言語です。サーバーサイド言語ではシステムのロジックを決めることができます

ロジックとは、例えばFacebookのようなSNSを例に取ると、同じURLにアクセスしても、ユーザーがログインしている場合はタイムラインを表示し、ログアウトしている場合はログインページへ遷移させるという出し訳のことです。

このロジックを実現できるのがPythonのようなサーバーサイド言語です。

しかし、これだとマーケターの仕事にどう役立つのかがまだ見えてきませんね。マーケターが実務に活かせる技術にスクレイピングがあります。スクレイピングはネット上にある特定のデータを自動で収集してくる技術のことです。

例えば、特定のキーワードが含まれているネット上の口コミを自動で収集することができたりします。このように、主にデータ分析や業務の自動化をPythonでできるようになります。

PythonはHTML・CSS、SQLよりも覚えることが非常に多く難易度は上がるため、SQL、HTML・CSSを先に学習することをおすすめします。

Pythonを身につけると出来ること

  • Web上の特定のデータを自動で収集
  • 予測モデルを用いて自社商品の需要を予測
  • 自社商品の口コミ分析・可視化

マーケターにおすすめのプログラミング学習方法

ここからはおすすめのプログラミング学習方法を紹介していきます。プログラミングは座学だけではなく、自分で実際に手を動かして学んでいくことが重要です。

どの方法で学ぶにしても、アウトプットしながら学びましょう。

本を読んで学ぶ

本で学ぶ場合は全てのページを読む必要はありません。それよりも、実際に何かを作り始めたり、実務で使い始めましょう。

基本知識をインプットした後は、必要なところだけを都度調べながら学んでいくのが効率的です。

HTML・CSSを学べる本

1冊ですべて身につくHTML & CSSとWebデザイン入門講座 (DL特典: CSS Flexbox チートシート)

Web界隈やデザイナーに大人気!Web関連の情報やデザインについて記事が学べる『Webクリエイターボックス』の管理人、Manaによる渾身のHTML & CSSとWebデザインが学べる本

スラスラわかるHTML&CSSのきほん 第2版

小さなサイト作りを通してHTMLとCSSの基礎が学べる入門書の決定版!第2版ではPCだけでなくスマホやタブレットにも対応したサイトが完成します。ソースコードは現在のトレンドに合わせ、解説もいっそう丁寧にわかりやすくなりました。

SQLを学べる本

スッキリわかるSQL入門 第2版 ドリル222問付き! (スッキリわかる入門シリーズ)

SQLの入門書において、発売から数年で不動の定番テキストとなった大人気SQL入門書に、最新のDBに対応した改訂版が登場!本書は豊富な図解とていねいな解説により、やさしく・楽しくデータベースとSQLを学習できる入門書です。

SQL 第2版 ゼロからはじめるデータベース操作 (プログラミング学習シリーズ)

プログラミング学習シリーズ『SQL ゼロからはじめるデータベース操作』は、「データベースやSQLがはじめて」という初心者を対象に、プロのデータベース(DB)エンジニアである著者がSQLの基礎とコツをやさしく丁寧に教える入門書です。

Pythonを学べる本

Marketing Python マーケティング・パイソン AI時代マーケターの独習プログラミング入門 (できるビジネス)

――PythonはAIや機械学習との相性が良いとされる言語です。これからAIが私たちの業務により浸透してくるであろう未来を考えると、マーケティングなどに携わるビジネスパーソンがPythonプログラミングの基本を身につけることは、将来への有益な投資とも言えると思います。

スッキリわかるPython入門 (スッキリわかる入門シリーズ)

データ分析やAIの分野で注目のプログラミング言語「Python」(パイソン)は、WebやIoTをはじめとした幅広い分野で活用されています。汎用性の高さに加え、文法がシンプルで、簡潔なプログラムを書くことができるため、教育用プログラミング言語としても採用が増えてきました。

Webサイトで学ぶ

Webサイトも本と同様に、基本知識をインプットしたら実務で必要なところを都度調べながら学んでいくのが効率的です。

1. Progate(プロゲート)

Progate(プロゲート)は「初心者から、創れる人を生み出す」という理念の元運営されているプログラミング学習サービスです。無料版と有料版がありますが、無料版だけでも基礎を学ぶには十分です。

HTML・CSS、SQL、Pythonを全て学ぶことができ、その上実際にブラウザ上でプログラムを書きながら学習できるため、本では得られない実践力が身に付きます。

また、学習を進めていくと自分のレベルがアップしていくというゲーミフィケーションの要素もあって楽しく学べます。

公式サイト:https://prog-8.com/

2. PyQ(パイキュー)

PyQ(パイキュー)はPythonをオンライン上で学べるプログラミング学習サービスです。初心者から実務レベルまで幅広いレベルのコンテンツが提供されています。

ブラウザ上でプログラムを動作させることができるため、実践的に学べることが特徴です。月額3,000円程度で始められるため、本1冊買うと思えば安いですね。

PyQの公式サイト:https://pyq.jp/

3. Udemy

Udemyはオンライン学習のプラットフォームで15万以上のコースが提供されています。HTML・CSS、SQL、Pythonに関しても様々なコースが提供されているため、自分が学びたい内容を選んで買い切りで学習できます

期限設定がないため、自分のペースで学習したい方にはおすすめです。

Udemyの公式サイト:https://www.udemy.com/ja/

はじめてのSQL ・データ分析入門 -データベースのデータをビジネスパーソンが現場で活用するためのSQL初心者向コース | Udemy

MySQL 使用。エクセル作業からのステップアップ!データベースのデータを取得し、効果的にレポーティングしたいビジネスパーソンにおすすめ!データベースを操作する言語SQLを短期間で身につけビジネスの現場で使うための実践型カリキュラム。

誰でもわかる HTML基礎&CSS基礎

Webアプリケーション開発の第一歩となるコースです。必須となるHTMLの基礎と、デザインレイアウトに必要なCSSの基礎を学ぶことができます。

プログラミングスクールで学ぶ

プログラミングスクールの最大の価値は講師に質問ができる点です。よって、講師に質問ができるスクールを選びましょう。

本や学習サイトに比べると料金はかかってしまいますが、短期間で効率的に学習したいのであれば投資する価値ありです。自分のペースでゆっくりマイペースに学習したいのであれば、本や学習サイトでも良いでしょう。

・TECH CAMP(テックキャンプ)| プログラミングスクールNo.1の実績
※講師に質問し放題で、Webサイト制作やDXプログラミングが学べます
・テックアカデミー | オンライン特化のプログラミングスクール
※講師が現役エンジニアのみで、HTML・CSS、データサイエンスが学べるコースも有り
・コードキャンプ | オンラインかつマンツーマン指導のスクール
※講師が現役エンジニアのみで、ニーズに合わせた様々なコースを提供

スクールがたくさんあって中々選べないという方は、中立的な立場であなたの要望に合ったスクールを紹介してくれるスクマドに話しを聞きに行くと良いでしょう。イメージは、不動産仲介やほけんの窓口みたいな感じです。

スクールの無料相談に行くとそのスクールの営業を受けてしまいますが、スクマドの無料カウンセリングであれば中立的な立場で向いているスクールを案内してくれます。

マーケターが挫折せずにプログラミングを習得する方法

プログラミング学習の最大のハードルは「途中で挫折してしまうこと」です。普段聞き馴染みのない言葉がたくさん出てきて嫌になったり、目的を見失ってモチベーションを落とすなど、途中で辞めてしまう人は少なくありません。

私の周りでも、プログラミングの学習をすると言って意気込んでいたけれど、気づいたら辞めていた人がいます。挫折しないためには、「挫折しない環境」を自分で作ることが重要です。

挫折しない環境を作るためのポイントは下記の3つです。全て満たしていればベストですが、少なくとも1つは満たした状態にしましょう。

実務で使う具体的なイメージを持つ

まず、何事も学習には目的(ゴール)があった方がいいです。プログラミングの場合は実務に活かして成果を上げることがゴールになるでしょう。

よって、学習を始める前にどのように実務で活かしていくか具体的なゴールイメージを持っておくことをおすすめします。

例えば、下記のような感じです。

・コーディング担当者に依頼しているサイト改修を自分でできるようにする
・毎回エンジニアに依頼しているデータ抽出を自分でできるようにする

すぐに質問できる環境を作る

どれだけ分かりやすい参考書や学習サイトが合ったとしても、プログラミング学習では必ず不明点が出てきます。自分が使っているPCの環境が参考書と違ったり、参考書では説明されていないようなエラーが出たりします。

特に学習初期が最も大変です。分からないところで躓いたとしても、何を質問すればいいかすら分からない状態に陥るからです。この場合、テキストで説明しようがないので非常に厄介です。

1つのエラーを解決するのに平気で半日かかったりします

よって、すぐに質問できる環境を作っておくことは挫折しないためにも重要です。気軽に聞けるエンジニアの知り合いがいればそれで解決ですが、知り合いがいない人も多いはずです。そのような場合は下記のようなサービスを活用してみましょう。

MENTA(メンタ)

有料にはなりますが、オンライン上でメンターを探せるサービスです。エンジニアのメンターを探して、詰まっているところを質問しましょう。

MENTA(メンタ)メンター登録数国内No.1|「教えたい人」と「学びたい人」のメンタープラットフォーム

MENTAはオンラインのスキルシェアサービス。月額数千円からプログラミングなどメンターをつけて自分の好きな場所、時間で学べます。

teratail(テラテイル)

質問内容を言語化できるのであれば、プログラミング学習のQ&Aサイトであるteratailはおすすめです。回答までに時間はかかってしまいますが、無料で質問をすることができます。

teratail【テラテイル】|ITエンジニア特化型Q&Aサイト

teratail(テラテイル)はプログラミングに特化したQ&Aサイトです。実現したい機能や作業中に発生したエラーについて質問すると、他のエンジニアから回答を得られます。

もし、いつでも質問したらすぐに回答がもらえる環境が欲しいということであれば、お金を払ってプログラミングスクールに通いましょう!

それだけの高いモチベーションがあれば、良い自己投資になるはずです。

人(できれば利害関係のある人)と約束をする

最後は人と約束をすることです。人と約束をすることで、「裏切ることはできない」という心理効果が働きます。特に、自分と利害関係のある人と約束をすると、より効果があります

例えば、会社の上司や部下です。

上司と約束すれば、もしやらなかった場合に、「こいつは口だけだな」と思われるリスクがあります。部下と約束すれば、「私の上司は行動できない人なんだ…」と失望されるリスクが付き纏います。

これだけ自分を追い込む環境を作ることができれば、やらざるを得なくなるでしょう。

本気でプログラミングを身につけたいという人にはおすすめです。

内容のまとめ

  • マーケティング担当者がプログラミングを学ぶべきメリットは下記の3つ
    • マーケ施策の実行スピードが上がる
    • エンジニアとのコミュニケーションが円滑になる
    • データドリブンな意思決定ができる
  • マーケティング担当者が身につけるべきプログラミングスキルはHTML・CSS、SQL、Pythonの3つ。中でもSQLは即実務に活かせて難易度も高くないためおすすめ
  • マーケターにおすすめのプログラミング学習方法は、本で学ぶ、Webサイトで学ぶ、スクールに通う、の3つです。どの方法にも一長一短があるため、自分に合った方法を選ぶことが重要
  • プログラミング学習最大のハードルは挫折してしまうことなので、最初に「挫折しない環境」を作ることを強くお勧めしたい
  • 挫折しない環境を作る方法は下記の3つ
    • 実務で使う具体的なイメージを持つ
    • すぐに質問できる環境を作る
    • 人(できれば利害関係のある人)と約束をする