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AIの発達によって様々な仕事がなくなると言われています。そして、マーケティングも例に漏れず仕事が減っていくのでは?と危惧する声も聞こえてきます。
本記事では、マーケティングの仕事の需要は今後どうなっていくのか?を下記の3つの観点から紐解いていきます。
- 現役マーケティング責任者を務める私の主観
- 客観的な事実に基づいたデータ
- 日本を代表する著名マーケターの見解
マーケティングの仕事の将来性を知りたい方は必見です。
Webマーケターの全体像を網羅的に理解したいという方は「【保存版】Webマーケターとは?仕事内容、必要なスキル、未経験からプロになる方法を徹底解説」の記事からご覧ください。
目次
マーケティングの仕事はなくなるのか?
私の主観から言わせてもらうと結論、無くなりません。これは断言できます。
マーケティングの目的を考えれば当然のことだと思います。広義の意味においてマーケティングの究極のゴールは企業の利益(売上)を創出することであり、それを実現するために頭を使ってプランを考え、実行していくことです。
資本主義社会であり続ける限り、すべての営利企業は利益の創出を目的として運営されます。利益創出の役割を持つマーケティングの仕事がなくなることは考えられません。答えがない複雑な問いを解決する力は機械にはないためです。
一方で、狭義の意味でのマーケティングは少しずつ無くなっていく可能性があると思います。例えば、広告運用などは、徐々に機械に置き換わることが考えられます。膨大な運用データから最適解を導くことは、人間よりも機械が得意な領域だからです。
まとめると、機械が得意な特定の領域のマーケティング業務はなくなる(縮小)する可能性はありますが、広義の意味での利益を創出することをゴールと考えるマーケティング業務はなくなることは考えづらいです。
マーケティングができる人材は不足している
次に、客観的なデータから読み取れる情報を共有します。こちらも結論から言うと、マーケティング人材は不足している状況が続いています。
マーケター不足を実感している企業は多い
複業・複業マッチングサービス「KAIKOKU(カイコク)」を運営する株式会社BLAMが2020年に、マーケティング業務に携わる100名を対象にマーケティング人材に関する調査した結果、9割以上(98%)のマーケターが自社の人材不足を感じていることが分かりました。
特に、マーケティング戦略設計ができる人材の不足を実感している人が多いようです。
出典:【マーケティング人材に関する調査】9割以上のマーケターが社内の人材不足を実感
また、Agenda noteとコラーニングが共同で実施した、経営者およびマーケティング責任者・マネージャー101名を対象とした、マーケティング組織・人材育成についてのアンケート調査によると、過半数が「現場のマーケター人材が足りていない」と回答しています。
出典:【プレスリリース】重要度が高まるアフターコロナのデジタルマーケティング。9割の組織がもつマーケター育成の課題とは?~マーケティング教育についてのアンケート結果まとめ~
以上の調査データから、マーケティング人材不足を感じている経営者やマネージャーは多いことが分かります。
ビズリーチでスカウトが山のように届く
この調査データの結果を肌で感じるエピソードがあります。
私は転職サイト「ビズリーチ」に登録しているのですが、登録して以降毎日のように企業の採用担当者やヘッドハンターからマーケティング職のスカウトが届きます。
メンバーポジションから幹部ポジションまで、企業規模はベンチャーから大企業まで要件も様々です。4ヶ月で送られてきたスカウトの数は約100件にも上ります。マーケターの需要が高いことを裏付けていると思います。
ビズリーチは自分の現在の市場価値を測る物差しになるため、「転職を検討していない」人の登録も推奨しています。私も転職は検討していませんが、常にビズリーチからくるスカウトをチェックして、今世の中ではどのような仕事があって、自分を求める企業がどのような企業なのかを観測するようにしています。
まだ登録したことがない方は一度登録してみることをお勧めします。無料で使えて無理な勧誘もありません。
ビズリーチの登録はこちら:https://www.bizreach.jp/
ビズリーチは経験者向けですが、マーケティング未経験の方にはdodaがおすすめです。希望職種の項目でマーケターを選択すれば、未経験OKのマーケター求人のスカウトが届くかもしれません。
【無くなる派の意見】AIで自動化される
マーケティングの仕事がなくなる派の意見の大半は、AIで自動化されるというものでしょう。どのような仕事がAIに代替される可能性があるのか見ていきましょう。
AIができる仕事とできない仕事
AIが得意なことは「決められた目的のために膨大なデータを処理すること」です。例えば、膨大な広告クリエイティブのパターンから特定のユーザーに最も効果的なクリエイティブを見つけるのは、人間よりもAIの方が正確かつ何倍ものスピードで実現できるでしょう。
しかし、AIは仮説を立てることはできません。特定の悩みを抱えているユーザーがいることを認知して、その解決策を考えることは人間にしかできません。
有名なオックスフォード大学などの調査結果では、今後10~20年の間で約半数の仕事がAIの登場によって消える可能性があるといいます。
AIによってなくなる仕事・なくならない仕事して紹介されている中からいくつかピックアップしたものが下記です。
マーケティングの仕事でAIに取って替えられる領域
以上の内容から、マーケティングの仕事領域においてAIに取って替えられる可能性がある仕事と、取って替えられない仕事を考えてみます。
AIに取って替わる可能性があるマーケティングの仕事
- クリエイティブの効果測定
- 広告運用の最適化
- データのレポーティング業務
AIに取って替えることは難しいマーケティングの仕事
- 得られたデータから仮説を構築すること
- 目的から逆算して戦略を立てること
- 社会情勢やユーザー心理を捉えて企画を作ること
- 人を動かして成果を最大化すること
いかがでしょうか。
過去の結果からデータを分析したり、最適解を見つけることはAIの方が優れていますが、「考えること」は人間にしかできないと言えます。
マーケティングの仕事がAIに置き換わっている例
では、実際にマーケターの仕事がAIに置き換わっている事例をご紹介します。
Google広告の運用最適化の提案
Google広告にはAIが導入されており、広告の結果改善を助けてくれる提案機能が備わっています。過去の配信結果やキャンペーン設定等に基づいて、AIが自動で最適化案を作成するのです。
これにより、広告の管理者は以前に比べて運用がしやすくなりました。運用担当者が行っていた運用改善の一部をGoogle広告のAIが担うようになったのです。
AIでクリエイティブ制作を自動化
サイバーエージェントは2020年に「極予測AI」と呼ばれる、勝てるクリエイティブをAIが制作するツールを発表しました。
極予測AIを使えば、既存の最も効果の良いクリエイティブに、AIが勝てると判断した新しいクリエイティブを提案してくれると言うのです。
クリエイティブのアイデアは属人的な能力に依存していた部分が大きく、継続的に成果の出るアイデアを生み出し続けることは困難を極めていましたが、AIがクリエイティブの創出を代替してくれるようになったのです。
チャットボットで問い合わせ対応の自動化
チャットボットの登場により、Webページに来訪したユーザーの疑問をAIが解消してくれるようになりました。
これまでは、マーケターやカスタマーサポートが問い合わせ対応をする必要がありましたが、機械(チャットボット)が代替してくれることで、問い合わせ対応の負担を軽減できるようになったのです。
AIの発達でむしろマーケターは成果を出しやすくなる
私はAIが発達してくれたおかげで、マーケターはこれまでよりも成果を出しやすい環境になっているのではないかと感じています。
いわゆるマーケターが意思決定をするために必要な材料集めをAIが代替してくれるようになるからです。意思決定をするための材料集めには馬鹿にならない時間がかかっています。
仮説を検証するために必要なデータがどこに蓄積されているかを探して、見つけたデータを抽出し、傾向を掴むために分析を行います。
これらの業務を丸っとAIに任せられるのであれば、本来マーケターが注力すべき「ビジネスを伸ばすためにやるべきこと」を考えることに時間を費やせるのです。
マーケティングの将来性に関する著名マーケターの見解
ここまでは私の主観や、調査データや事例を引用した事実をお伝えしてきましたが、マーケティングの権威と呼ばれるような方がAIの発達に関してどのような見解を持っているのかも見てみましょう。
経営不振に陥ったUSJをV字回復したことで知られている森岡毅さんは、自身で執筆した「苦しかった時の話をしようか」の中で下記のように述べています。
能力の低い人ほどAIを過度に恐れる。先日、マーケターですらAIにとってかわられる時代が来ると真顔で言っていた残念な人がいた。私は人工知能を使ってマーケティングの研究を進めている張本人なので言わせてもらうが、AIに陳腐化されるようなマーケターは、そもそも今日においてもマーケターとしての仕事はまともにできていないだろう。
著書『苦しかったときの話をしようか』
強烈なメッセージですね。
また、AIが苦手なこととして下記の2つを挙げられており、逆にこれらができるマーケターの仕事は無くなることはないと言えるでしょう。
- AIは意志を持たないため仮説を立てることが苦手
- 人間を満足させる情緒的な”肌触り”を扱うのも苦手
本書の中身が気になった方は是非読んでみてください。
苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」
「何をしたいのかわからない」「今の会社にずっといていいのか」と悩むあなたに贈る必勝ノウハウ。悩んだ分だけ、君はもっと高く飛べる!USJ復活の立役者が教える「自分をマーケティングする方法」。後半の怒涛の展開で激しい感動に巻き込む10年に1冊の傑作ビジネス書!
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市場価値の高いマーケターになるためにやるべきこと
ここまでマーケティングの仕事の将来性について見てきました。仕事を失いたくない人は、AIに代替されない市場価値の高いマーケターになる必要があります。
最後に、市場価値の高いマーケターになるためにやるべきことを3つご紹介します。
自分なりの考えを提案する
仕組み化されたルーティーン業務や、手順が決まった仕事はAIに置き換わっていきます。言われたことをただ粛々とやるだけでは市場価値は上がらないでしょう。
自分なりの考えをまとめて提案する頻度を増やすことで価値を出しましょう。私も数十人をマネジメントした経験があるので分かりますが、提案が多い人と少ない人では、提案が多い人の方が上司や周囲から高い評価を得る傾向にあります。
提案をするということは、現状をより良くするためにコミットしていることの意思表示でもあり、そういった前向きな姿勢を示す人に仕事も回ってくるものです。
一つの領域に固執せず、ビジネスを伸ばすことにコミットする
マーケティング戦略ができる人材を求めている声が多かったことからも、手段に囚われずビジネスを伸ばすことにコミットできるマーケターが求められています。
例えば、広告運用はマーケティングにおける重要な技術ではありますが、あくまで手段でしかありません。広告運用に囚われず、自分の得意な領域を増やしてビジネスの上流から携われるようになれば市場価値は上がるでしょう。
組織を率いて結果を出す経験を積む
機械は人をマネジメントすることができません。人には感情があり、常に論理的な意思決定が行われる訳ではないからです。機械は情緒を扱うことができないのです。
よって、マーケティングの能力に加えて人をマネジメントして結果を出すことができる人材になれば、希少価値は上がります。
マネジメントはあらゆる企業で求められる汎用的なスキルです。組織を率いる能力を身につければ経営人材として活躍することもでき、年収水準も大幅に向上するでしょう。
内容のまとめ
- マーケティングの仕事はなくなることは考えられない。広義の意味においてマーケティングの究極のゴールは企業の利益(売上)を創出することであり、資本主義社会である以上求め続けられる仕事であるから
- 一方で、狭義の意味でのマーケティング(広告運用やデータ分析、レポーティング業務など)は部分的にAIに代替される可能性がある
- マーケター不足を実感している経営者やマーケティング責任者は多く、実際に転職サイトに登録すると4ヶ月で約100件弱のスカウトメールが届いた
- 既にマーケティングの一部の業務はAIに代替されており、Google広告の最適化提案や、サイバーエージェントの極予測AI、チャットボットなどが例として挙げられる
- 日本を代表するマーケターである森岡毅さんは、「AIに陳腐化されるようなマーケターでは今現在でもマーケターとしての仕事をまともにできていないだろう」と著書で述べている
- AIに代替されないマーケターになるためには市場価値を高めていく必要がある。提案の数を増やす、手段に囚われずビジネスを伸ばすことにコミットする、組織を率いて結果を出す経験を積むことで市場価値を高めることができる