Business vector created by pch.vector – www.freepik.com
マーケティングの仕事に興味はあるけれど、業務の中身が見えずらくて実際は何やってるのか分からない。
と思っている方は多いかもしれません。
本記事では、現役マーケターとして働く筆者が1日のスケジュールをご紹介します。筆者は現在マーケティングの責任者をしているため、メンバー時代のスケジュールとマネージャー時代のスケジュールに分けて紹介したいと思います。
マーケティングの仕事のリアルが伝わると嬉しいです!
Webマーケターの全体像を網羅的に理解したいという方は「【保存版】Webマーケターとは?仕事内容、必要なスキル、未経験からプロになる方法を徹底解説」の記事からご覧ください。
目次
前提
マーケティングの仕事と一言で言っても、事業会社か代理店か、また業種やビジネスの規模によってもマーケティング手法は異なります。
本記事では、下記のような企業に勤めるマーケターの1日であることを前置きしておきます。
- 事業会社
- テクノロジー関連企業で無形商材を扱っている
- 売上数十億円規模
それでは、具体的なスケジュールと業務内容を見ていきましょう!
マーケターの1日のスケジュール(メンバー・よくある1日編)
メンバー編は2パターンに分けて紹介します。まずはよくある1日のスケジュールから見ていきましょう。
10時から勤務開始ですが余裕をもって30分前には出勤します。出勤したらまず席についてメールをチェックします。この時間にメールの対応は全て終わらせます。
業務を開始したらまずやることは前日の数値チェックです。月の売上目標や集客目標があるため、目標に対しての進捗を確認します。また、集客チャネル別でも細かく異常がないかチェックを行い、悪化しているチャネルがあれば、なぜ悪化したのか仮説を立てます。
マーケティングチームで朝のミーティングを行います。このミーティングではチームのリーダーがファシリテーションを担当し、前日の数値の進捗確認とその日のメンバーの業務内容を確認します。
売上進捗や集客進捗が悪化している場合は、チーム全員でなぜ悪化しているのかを議論して、改善のための打ち手を考えます。短期的に改善できる場合は、このミーティングの間に打ち手を考えて納期を決めます。
午前中は自分が持っている業務の中でもクリエイティブな仕事を優先的に行うようにしています。午前中は疲れがなくて、頭がよく働くからですね。
この日は来月から開始する新しいキャンペーンの企画書を作成します。誰をターゲットにして、どのようなキャンペーンを実施するのか、使用する予算とキャンペーン実施によって見込める効果、などを文章に落とし込んでいく仕事です。
この時間は一人で黙々と作業します。たまに歌詞なしの音楽を聞いたりしています。
ランチはコンビニで買って社内のラウンジなどで同僚と話をしながら食べることが多いです。チームメンバーや他部署の人とランチに行くこともあります。
午後一発目の業務はマーケティングチームでブレスト会議です。1つのお題に対して自由にアイデアを出して施策を決めることがゴールです。
この日のお題は、「Webサイトの申込率を改善するためには?」でした。
午前に実施していたキャンペーンの企画書作成の続きを行います。企画書が完成したら上司に確認依頼を投げます。
毎週見込み顧客に送っているメールマガジンの文章を作成します。これは毎週発生する定例業務で、30分程で書き上げます。
文章を作成したら、メール配信ツールを使って配信設定まで行います。
17時から広告代理店とのミーティングがあるため、ミーティングに向けてアジェンダを作成します。主にこちらから提案したい内容をまとめます。
もちろん、広告代理店から施策の提案もきますが、こちらからも積極的に提案をして一緒に改善をしていくスタンスを取ったが良いアイデアが生まれることが多いです。
広告代理店からの報告や、こちらで用意したアジェンダを元にミーティングを行います。自社から2~3名、先方から2~3名、合計4~6名程で実施することが多いです。
代理店とは下記のようなテーマで議論をします。
- プロモーションの結果共有
- 代理店から改善策の提案
- これから取り組む施策の決定
広告代理店とのミーティングで決まった内容を文章にまとめ、担当者を決めます。時間があれば、ミーティングで発生した優先度の高いTODOに取り掛かります。
終業前に再度チームミーティングを行い、その日やったことや業務の進捗を報告します。
業務終了です。業務量が多くなった時は残業をすることもあります。
いかがでしょうか。
企画をつくったり、文章を書いたり、マーケティング施策を実行する業務がメインになります。また、ミーティングも複数あって、ミーティングのための資料作りや報告にも時間を使っています。
マーケターの1日のスケジュール(メンバー・CM撮影編)
次は、やや特殊でCMの撮影があった日の1日のスケジュールを見ていきましょう。ここで言うCMとはテレビCMの場合もあれば、YouTube等で流すWebCMの場合もあります。どちらの場合であってもスケジュールに大きな変化はありません。
11時までは「メンバー・よくある1日編」と同じなので詳細は割愛します。
新しくLPを制作することになったので、その企画を行います。具体的には、LPのキャッチコピーや本文、画像配置などを文章にまとめていく作業です。
完成したら上司に確認依頼を投げます。
CM撮影場所は広告代理店が事前に調整してくれます。この日指定された場所はオフィスから約1時間程かかるため、電車で移動をします。
撮影場所に到着したらCMの撮影開始です。基本的にこちらでやることはなく、現場の指揮などは全て広告代理店が調整してくれています。到着したら出演者の方々と挨拶を行います。
有名人を起用していたら、直接挨拶ができるのでちょっぴりテンションが上がります。挨拶を終えたら、広告主の我々がやることはカットごとで撮影内容に問題がないか確認することです。
カットがたくさんある場合は、撮影場所を変えるために移動をする必要があったりして1日がかりのこともあります。この日は半日の撮影でした。
撮影が終了したので、これから1時間程かけて家に帰ります。撮影した内容は広告代理店がCMにして、後日ミーティングで共有していただきます。
CMの撮影がある場合は、1日の大半を外で過ごすことになります。移動したり人に気を遣ったりするので、普段とは少し違う疲労感がありますね。
今回のように業務時間外を超えて撮影がある場合は、別日で半休をもらったり、午前中は休みにすることができます。
マーケターの1日のスケジュール(マネージャー編)
次はマネージャー編です。メンバーと比べて時間の使い方がどのように変わっているかに注目することで、違いを捉えやすいと思います。
マネージャーになっても、毎日の数値チェックは欠かせません。自分の目で確認をして、異常があればすぐに対策を考えて実行に移せるようにするためです。
年間のマーケティング方針は年初に決めていますが、四半期ごとで戦略の見直しを行います。事業を運営していると想定外の事象や計画とのズレは必ず起きます。
計画とのズレを踏まえてマーケティングプランを見直したり、逆に想定より上手くいっていることがあれば、その部分を強化していくようなプランに変更したりします。
いずれにしても、ここで決まった戦略に沿ってメンバーは実行していくため、戦略を使うことには時間を使います。
15時からの責任者会議に向けてアジェンダを作成します。マーケティング部門の進捗報告や提案を文章で記載します。
メンバーが主催するブレスト会議に参加します。1人で考え過ぎるよりもみんなでアイデアを出し合った方が良いアイデアが生まれることも多いので、ブレスト会議には積極的に参加しています。
メンバーからは日々、様々な企画書や提案書の確認依頼が社内チャットツールで飛んできます。それらの文面に目を通し、気になった点をフィードバックします。
フィードバックが遅れてしまうと、チーム全体としてプロジェクトの推進スピードが落ちてしまうため、自分がボトルネックにならないようフィードバックは優先的に行います。
各部門の責任者や役員が集まって事業の進捗や課題について議論します。事前に記入されたアジェンダを元に話し合いを行い、決まった内容を責任者が持ち帰って部門ごとに実行していきます。
プロジェクトを進める時は、マーケティング部門だけで進められることはほとんどなく、顧客対応部門やオペレーション部門、開発部門など、様々な部門と連携しなければいけません。
まずは各部門の責任者との合意を取るためにキックオフミーティングを行い、プロジェクト完了までのスケジュールや各部門のTODOを擦り合わせます。
責任者会議やキックオフミーティングで発生したTODOを取りまとめて、必要があればメンバーに業務を依頼します。
戦略を考えたり、責任者会議で議論して生まれた仮説が正しそうかを確認するために数値分析を行います。
プログラミング言語のSQLを使って必要なデータを抽出したり、抽出したデータをエクセルにまとめて分析を行います。定量分析だけでは足りない場合は、顧客に直接会いに行って生の声を聞くこともあります。
上司との1on1です。1on1では週に一度30分間、上司と業務上の課題についてディスカッションします。目の前の短期的な課題というよりは、今後どのようにマーケティングをしていくかなど抽象度高いテーマ設定をすることが多いです。
また、業務以外で何か気になっていることを気軽に話す場としても活用しています。
1on1って何?という方は下記の書籍を読んでみてください。
ヤフーの1on1―――部下を成長させるコミュニケーションの技法
2012年、社長交代による新体制発足と同時に始まった「1on1ミーティング」は、ヤフーの組織を活性化させた。毎週1回、原則30分を部下とのコミュニケーションに充てる。たったそれだけのことが、実は難しい。では、ヤフーはどうやって制度として定着させ、風土を変えたのか。本書は部下の「才能と情熱を解き放つ」ことを目的とする「1on1ミーティング」のメソッドを公開するだけでなく、実際の「1on1ミーティング」のやりとりをスクリプトとして見せ、読んで実践できる内容である。
www.amazon.co.jp
経費申請の承認、勤怠管理、メール返信、メンバーの依頼へのフィードバック、など溜まっている自身のTODOを消化する時間です。
いかがだったでしょうか。
メンバー時代と比べて他部署と合意形成をするためにミーティングをしたり、マーケティング戦略を考えたり、部下の企画に対してフィードバックする時間が格段に増えていることが分かると思います。
このように、役職が上位になるほど自分で手を動かしてマーケティング施策を動かしていく機会は減り、意思決定に時間を使う比重が大きくなっていきます。
マーケティング職は激務なのか?
根も葉もないですが、会社の文化によると思います。例えば、代理店はクライアント第一という考え方になるので、夜遅くであっても対応しないといけない場合があり、激務と捉えられることも多いです。
私の勤務する事業会社は、プロジェクトが立て込んだ時は残業が続くこともあります。しかし、上司から残業を強要されることはありません。あくまで、結果を出したいと思って自分の意思で残業をしているため、激務だと感じることはありません。
ちなみに、自分で自分を追い込んで激務にすることは可能です(笑)。やるべき仕事をやった上でさらに成果を出したいのであれば、自分でアイデアを考えて新しい仕事をどんどん生み出せばいいからです。
そうすると猛烈に忙しくなってきます。私も入社数年はこのような働き方をしていて、好んで夜遅くまで仕事をする時期がありました。
個人的にはずっとこのような働き方はすべきだとは思いませんが、キャリアのある一定期間経験することで、自分のスキル・経験値を大幅アップさせることができるのでアリ派です。
マーケティング職は休日出勤もある?
これも事業内容によって異なると思いますが、私の会社では休日出勤が必要な時もあります。例えば、個人向けにイベントを企画する際、平日よりも休日の方が集客ができるため、休日開催となることが多いです。
このような場合は、平日に代休を取ることで調整ができます。イベントのような例外はあれど、マーケターはデスクワークなので基本的には休日出勤はない職業だと言えます。
とはいえ、休日中であっても自分が関わっている事業の数値は気になるためチェックしてしまいます。これは職業病で、マーケターであれば同じように感じる人は多いと思います。
内容のまとめ
いかがだったでしょうか。メンバーとマネージャーでは、同じマーケターであっても仕事内容が異なります。
これからマーケターを目指す人にとって一参考となっていれば嬉しいです。改めてスケジュールを見直したいという方は、下記からご確認ください。